特集1 Obisugi design 発進!!
  いろんな壁を飛び越えて飫肥杉愛が繋がった日
文/写真 桑畑夏生
 
 
  2月1日に開催した「杉祭りin東京」には、在京宮崎県人、林業関係者を中心に90名近い方にお越しいただいた。
   
  この日、私は司会進行を担当。日本全国スギダラケ倶楽部宮崎支部の法被を羽織り、飫肥杉仮面、そしてウィッグを装着し臨んだ。
   
 
   飫肥杉仮面ガールの姿で司会に臨む筆者(独身)。
   
  ほんの2か月前までは、まさか自分自身がこんな格好になるとも思っていなかったし、杉の世界にどっぷりはまってしまうとは微塵も感じていなかった。なぜなら私の生活において“杉”という存在とは全く接点がなかったのだから。
   
  そもそものきっかけは、飫肥杉プロジェクト世界展開チーム代表の斎藤潤一氏との打ち合わせに同席したこと。「夏生さんも一緒にやりましょう!」と声をかけられ、ノリで「いいですね、やりましょう!」と言ったのが運の尽き…いや、違いますね。素晴らしい運命との出会いの瞬間だったのである。
   
  この時、杉に関する知識はほぼゼロ。飫肥杉こそ知っていたが、obisugi designの存在さえ知らない状態だった(関係者の皆さん、ごめんなさい)。
   
  斎藤代表に連れられ、日南市で開催されたobisugi design の会議に参加。行政、職人、企業、NPO、4つのセクターが枠を超え同じテーブル上で真剣に、だけど楽しげに議論する姿がそこにはあった。現状に悲観することなく、未来を向いて飫肥杉そしてobisugi designについて語るメンバーの様子が妙に印象的で、その後しばらく頭から離れなかった。
   
  気づけば、つらつらと飫肥杉のことを妄想している自分がいた。 「素晴らしい想いや取り組みが、あの会議室のなかだけでとどまっているのはもったいない。もっといろんな人に知ってもらったら、面白い化学反応が起きるんじゃないだろうか。」私の頭の中にはイベントの構想が自然と出来上がっていた。
   
 
  日南市で開かれたobisugi design会議の様子。
   
   そして、開催したのが11月30日に宮崎市内で開催した「obisugi designを世界に発信するための作戦会議をやってみよう。」市内在住の方を中心に約40名の方が参加してくれた。
   
 
  11月30日開催「obisugi designを世界に発信するための作戦会議をやってみよう。」
   
  この時のイベントで出たアイデアをもとに企画したのが、1月19日には日南市内で「obisugi design×女子大生 世界展開に向けた作戦会議」。林業と全く接点のない女子大生に、飫肥杉と触れてもらい、ついでにアイデアも出してもらおう!というもの。
   
 
  1月19日開催「obisugi design×女子大生 世界展開に向けた作戦会議」
   
  2つのイベントを企画・運営するなかで感じたこと。それは、みんな本当に「知らない」というだけ。obisugi designの取り組みやそれに関わる人の思いに直接触れたら、あっという間にファンが広がっていった。つまりは、obisugi designは、それだけ人を惹きつけるポテンシャルがあるのだ。また飫肥杉やobisugi designに興味・関心を持っている人同士がリアルな場で繋がっていく姿を目にして、私自身のなかの本プロジェクトに対する想いもどんどん強く確かなものへと変化していった。
   
  そして、第三弾となる「杉祭りin東京」。本イベントを開催したのは、FAAVOでの資金調達期限のおおよそ1週間前。一連の流れの集大成のような場でもあった。
   
  正直なところ仕事の合間を縫ってのイベント準備は、容易いことではなかった。途中何度か挫けそうになったが、ふと立ち止まると愚痴ひとつこぼさず、それぞれが担当するタスクに向かうプロジェクトメンバーの姿があった。いつもそんなメンバーの姿に支えられた。
   
  迎えた当日。次々に来場される参加者の姿を前に、涙がこみ上げてきそうになった。開始時には、会場に用意した席がほぼ埋まっていた!
   
 
  宮崎県のシンボルキャラクター、みやざき犬も登場
   
 
  宮崎県副知事の稲用博美氏も、挨拶に駆け付けてくれた。
   
  今回の『杉祭りin東京』のコンテンツを決めるうえで、2つの軸に重きをおいて構成を考えた。
   
  一つめは、『想いを伝える』こと。
  これまでobisugi designの取り組みに関わってきた行政、NPO、企業、それぞれの立場から想いを伝えてもらった。
   
  私自身、関係者の皆さんから直接その想いを聞くことで、obisugi designの魅力や可能性を感じることが出来たので、時間をかけてその思いの丈を参加者にぶつけてもらった。
   
 
  南雲さんのダジャレに大笑いをする若杉さん、河野さん
   
  二つめは、『想いを共有する』こと。 関係者の想いを知ってもらったうえで、それぞれの立場から飫肥杉そして、obisugi designに対する想いやアイデアを参加者の皆さん同士で共有してもらった。 『世界中の人に飫肥杉デザインのファンになってもらうために何が出来るだろう?』というテーマのもと、セッションスタートの合図を出すと、あっという間に盛り上がっていく会場。
   
 
  ダイアログの様子。5〜6人が輪になり、参加者同士で語り合ってもらった。
   
 
  イベント終了間際の様子。皆さん、笑顔!!
   
  イベント終了間際に会場全体を見渡すと、会場全体が温かな雰囲気に包まれていた。 この時、私たち飫肥杉プロジェクト世界展開チームの想いは、会場に来てくれた人たちにきっと届いた、そう思えた。
   
   
  ここで少しだけ参加してくださった皆さんの感想を紹介したい。
   
 
・日南がこれほど元気になろうとし、やっていることを知り、驚きと共に宮崎の者として嬉しく思いました。
・obisugi design を取り巻く環境は、人が創りだしていることを痛切に感じた。
・飫肥杉プロジェクトの人を介したムーブメントのファンになりました。応援しています。
・製品のかっこよさがきっかけだったが、扱いにくい杉を使ってることを初めて知り、さらに魅力的に映った。
・新しいものを新たに創造するのではなく、地域に古くからあった資源を使って先人の思いに関わる全ての人に想いを繋いでいる飫肥杉プロジェクト!熱いですね!
   
  このイベントの一週間後、無事FAAVOでのプロジェクトを達成。本当にいろいろな方のご支援、想いを肌で感じながら、この日を迎えることが出来た。
   
  これで終わりではなく、ここからが本当のスタート。気持ちを新たに、飫肥杉の世界展開に向けて、突き進んでいきたい。
   
  あらためて関係者の皆様、そしてご支援いただいた皆さまに感謝の気持ちを伝えたい。
  本当に本当にありがとうございまスギ!
   
 
  2月1日。関係者の皆さんとの打ち上げにて。杉ポーズ!
   
   
   
   
 

●<くわはた・なつき> みやざき県民協働支援センター ・ NPO法人宮崎文化本舗

   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved