連載
 

杉で仕掛ける/第33回 「海印 杉屋 開店!」

文/ 海野洋光
   
 
「貧乏暇なし」と言う言葉がありますが、海杉には、ぴったりの言葉です。ひとつのプロジェクトが終了すると不思議にも、証拠にもなく複数のプロジェクトを立ち上げてしまうのです。もっとマトモな仕事に専念しなければ…と自戒しているのですが…。自分で自分の首を絞めていることにようやく気づきました。もう遅いのですが…。
   
 
   
  杉材で、オーダー品を作りたい。プロジェクトで杉の特注品を作ってシンボルにしたい。杉材でデザインしたい!あらゆる、杉フリークの要望に応えるべく、海野建設鰍ノは、「杉屋」を立ち上げた訳です。海杉に持ち込まれるこの手の仕事は、海野建設内の事業部「杉屋」で対応することにしました。しかし、社内では、誰も手伝ってくれません。みんな忙しいのです。
   
 
   
  これは日向市のボラード  
   
  ここまで製作するのに紆余曲折がありましたが、形にしました。ステンレス製の車止めが、折れやすく、機能しないという行政(日向市)の担当の方からの依頼ではじめたプロジェクトです。
   
  簡単にボラードと言っても既製品に対抗する訳ですから、中途半端なものはできません。しかも、コストを意識した製品でなければなりません。ちなみに既存の直径50mmのステンレス製車止めポールが、27000円前後です。どうしてもこの金額が基準となります。木材は、材料費は、安いのですが、どうしても、加工が高くなります。数が増えれば、安くなるかと言うと一概に言えないことがあります。最近は、材価は、変動が少ないのですが、かつては、かなり大きく変動をしていました。要するに人件費なのです。加工の手間を少しでも少なくして、と考えるのですが…。 まあ、そう言っても、なんだかんだと言ってやってしまうので、何だか麻薬のようです。切れる寸前で次のプロジェクトに走っています。
   
 
 
海杉がデザインすると   「海印 杉屋 特製ボラード」となります。
   
 
 
これが、南雲勝志氏がデザインすると   「雲印 杉屋 特製ボラード」となるのです。
   
  今回のボラードも初めは、簡単な角材でした。これなら安くできると踏んだのですが…。
   
 
 
角のボラードの試作   日向市さんも簡単には、OKがでません。
   
  上の写真は、ただの角材に見えますが、芯去り材なのです。元の丸太が、どのくらいの大きさが想像できますか?直径が80cm以上ある材です。
   
 
 
 
 
 
 
     
  最終形は、円筒形になりましたが、割れを防ぐには、多少、価格が上がっても芯去り材を使用した方が良いと判断しました。
   
 

これが、日向市の新しいボラードです。

   
   
 

杉屋の流れ

 
   
  はじめにオーダーをしていただきます。電話でもメールでも受け付けますので何を作るのかをはっきり言ってください。杉屋は、杉の製品が世に出ることを喜びとしている事業ですから、遠慮はいりません。できれば、ここで寸法入りの図面があると見積もりも簡単なのですが…。
   
  今回は、雲印のプランターボックスを例に説明します。
   
 
 
図面1                               
   
  イメージスケッチでもいただければ、見積も早いです。
   
  いくつかの業者や大工さん、家具屋さん、建具屋さんに見積を依頼します。もちろん、自分でも見積をしますし、材料の選定や製作方法を考えます。 そして、試作を製作します。
   
 
 
これは、試作のパーツです。                  
   
  概ね、試作の値段は、販売価格の3倍から4倍くらいかかると思ってください。ここでは、事前に複数の職人さんと打ち合わせをします。このプランターボックスは、4社に見積もり依頼をして、3人の職人の方と打ち合わせをしました。試作を作るまでに時間がかかるのはこのためです。
   
 
 
     
  こうして、いくつかのパターンの作品を作っていきます。 そして、デザイナーや発注者の方と打ち合わせに入らせていただきます。
   
 
  当然、問題点も見つかります。
   
 
 
     
  そのために、試作を作るのですが、私の場合、制作方法はもとより、製作時間や費用、最低ロット数の検討材料になります。 杉屋では、最低ロット数を契約いただければ、試作の費用は無料にします。
   
 

どうです!

あなたも自分のデザインした杉のオーダー品を杉屋で作ってみませんか?

 
   
   
   
   
  ●<うみの・ひろみつ>木材コンシェルジュ
ほぼ、毎日更新しています。ブログ「海杉 木材コンシェルジュ」 http://blog.goo.ne.jp/umisugi/
2009年3月31日をもって、日向木の芽会 を卒業しました。
海野建設株式会社 代表取締役 / HN :海杉
『杉で仕掛ける』web単行本:http://www.m-sugi.com/books/books_umi.htm
   
 
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