特集 杉と温泉ぐるぐる計画 報告
  杉と温泉ぐるぐる計画が終わって

文/ 北川 健太

 
 
  ことの始まりは主催者のユキヒラ氏との何気ない会話からだった。
   
  「2年前の杉モノの時にあった杉ダマを大浴場に浮かべて見たかったんですよね〜」
  「そうなの?浮かべちゃう?バスなんか出せる?」
  「出せますよ!」
   
  この会話から旅館大村屋もこの企画に参加するようになったのだ。
   
  佐賀県の旅館、観光業界から見てこのイベントは画期的なものだったようだ。 私達、実行委員からすればこの地域を超えた連携は当たり前の流れで 特別色々な思惑があったわけでもない。 しかし、周りの観光、旅館業界からは少し驚かれた。
   
  たいてい観光施策はその地域だけの魅力だけを持って 都市圏のお客様を呼ぼうとするが正直それは魅力が足りない。 広域連携の話も昔から沢山あるが何一つ成功した事例がない。
   
  お客様の旅の目的は様々。 嬉野温泉だけの魅力では今以上のお客様を呼ぶのは厳しいし 実際、嬉野温泉に来ているお客様も嬉野だけが目的ではないはずだ。 佐賀県嬉野から車で40分で長崎市内にも行けるし 福岡でも1時間40分。嬉野に宿泊するお客様にすればこの地域の魅力全てが “旅に出る理由”となりえるのではないだろうか。
   
  この広域の中には魅力ある“点”がたくさんある。 その点と点を繋げるのは難しいし、時間もかかる。 この“点と点を繋げる”ことは凄く重要なキーワードだと思う。 クラフト展、温泉、旅館、観光は世界中に溢れるほどあって今や珍しいものではなくなった。 しかし、このひとつひとつをひとつのテーマで繋いだら、他にない魅力が出るだろう。 実際、杉と温泉ぐるぐる計画は他にはない魅力があったからあれだけの人が来た。
   
  今まであった県や市が音頭を取った広域連携は 点と点の情熱や考えをうまく結びつけることができなかったからかもしれない。 実現するまでは色々な苦労があったと思うが 杉と温泉ぐるぐる計画(ユキヒラ氏)はそれを実現した。 それは企画あってこその組織(集まり)だからかもしれない。 通常、組織か予算が先にあって それから何をしようか?という話になる。
   
  杉ぐるは企画ありきの組織(集まり)だったから地域や職業も関係ない。 主催者のアイディアや企画に賛同し集まった“バンド”なのだ。
   
 
これからこんな小さな点と点の集まりの“光”を“観”ることが観光の柱となると期待している。
 
 
   
 
 
   
   
  ●<きたがわ・けんた> 嬉野温泉 旅館大村屋社長http://www.oomuraya.co.jp/
   
 
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