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ユイスをもって秋田に行った。 温泉入りに行ったわけじゃなくて、秋田で「ユイス」展の巡回をするためだ。 よく考えたら、杉の本場 秋田に 東京の杉をもっていくなんてどうかしている。 |
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正直言って、秋田での展示は、自分で積極的に動いたわけじゃなくて、いつのまにかお膳立てがされていた感じだ。ユイスの8人のデザイナーのひとりである武藤貴臣さん、そして、スギダラ秋田支部長の菅原香織さんを中心に、知らないうちに着々と準備がすすめられていた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2010年2月21日に武藤さんからこんなメールがきた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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もちろん、ことわる理由もなく、他の予定もはいっていなかったので、 「やりましょう。もちろん、ぼくも行きますよ。秋田は、いつか行ってみたかったし、菅原さんにも会いたし」と答えた。田んぼ、乳頭も気になった。 |
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そして、4月1日のエープリルフールの日には、こんなメールが。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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まあ、まじめな武藤さんが嘘をつくわけもなく、話はどんどんと進んでいるようだった。 さらに、5月3日には、より具体的なメールが。 |
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追加で会場についての説明。 |
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1週間前には、こんな連絡が。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ぼくとしては、何も考えることなく、秋田に行くすべてが整っていた。ついでに、この文章も武藤さんのメールをつなぎあわせることでできてしまった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
あまりにも考えないうちに、秋田に行くことになったので、出発の当日になって心配になったのは、ふたつ。ひとつは、「はたして展示はうまくいくのか」ということ。会場も見ていないし、どんな設営をするのか、まったくわかっていない。展示台や照明はどうなっているのか、そもそも設営をする人はたりているのか。短い時間で設営できるのか。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
もうひとつは、「トークでは何を話せばいいのか」。ユイスの話だけで、何時間も話ができるのだろうか。有料で来た人を満足させられるのか。そもそも、ユイスの話を聞きにくる人がそんなにいるのか。などなど、不安はつのるばかりだ。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
結果的には、何も心配はいらなかった。武藤さん、菅原さん、そして、地元秋田のサポート、会場の優秀なスタッフのおかげで、その場で考えたとは思えない、展示会場ができあがった。これまでの会場で一番よかったと思えたほどだった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
トークは、ビールを飲みながらのゆるい感じになった。人前で話すのが苦手なぼくには好都合だった。ユイスとあんまり関係ない話をしながら、最後は、武藤さんを引きずりだして、つくし文具店の商品をじゃんけんで勝った人に配ったりして、なんとかその場をのりきった。もちろん、スギダラらしく、来ていた人全員に自己紹介してもらった。菅原さんがずいぶんと声をかけて、人が集まったことを知った。うれしかった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
その後の飲み会は、弘前、盛岡から来た人もいっしょに、いい感じでもりあがった。北の人と貴重な交流ができた。ぼくの地味で実直な性格は、北にむいているのだと感じた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
次の日には、ささっと展示替えして、菅原さんの案内で秋田めぐり。古い街道や建物、町中の試み、大学にも寄ってきた。しょっぱい温泉にもはいった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
どんよりとした空が似合う秋田。県全体で100万人しかいない秋田。それでも、活き活きと活動している人がいる。地元を愛し、地域にあるものを活かしながら、人を呼び戻し、呼び込み、さまざまな試みをしていることを知った。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
せっかくできた縁を大事にして、ふたたび秋田に行ける日を楽しみにしている。 いつかユイス秋田杉バージョンもできるかもしれない。 |
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●<はぎわら・しゅう>デザインディレクター。つくし文具店店主。 1961年東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。 大日本印刷、リビングデザインセンターOZONEを経て、2004年独立。日用品、店、展覧会、書籍などの企画、プロデュースをてがける。著書に「9坪の家」「デザインスタンス」「コドモのどうぐばこ」などがある。 つくし文具店:http://www.tsu-ku-shi.net/ 『東京の杉を考える』web単行本:http://www.m-sugi.com/books/books_tokyo.htm |
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