特集"スギダラ秋の陣"vol1 「秋田デザイン会議&WS」

 
遅々としながらも進む窓山再生の道
文/写真 加藤長光
 
 
 
 

今年の桜前線は、2週間近く早かった上に全県一区の開花。例年は青森・弘前城の開花後に前線が南下し、きみまち阪の桜が咲き、ゴールデンウィークには盛りとなるのが常でした。
窓山にも異変、白神山麓一区で山菜盛り、「いつもは奥山から徐々に里に下り、朝市や直売所で良い値が付くが、今年は何処の店先にも一度に山菜が並び○○にならない」。無口なアドベンチャーガイド(窓山の半住人)真下さんの弁でした。
そんな中、真下さんには元気を取り戻してもらい、窓山の野呂忠一さんにとっては豊作と窓山再生を願う春祭りを、友人たちも交えて賑やかに催しました。(春祭りは、集落毎に5月3日一斉開催)

昨年11月には、活動拠点と成るべく待望?の「縁側の作れる小さな家」を設置。地主の畠山昭さんが白神山系の最もよく見える場所を整備し、提供して下さいました。

   
  (左)ハウスの山道運搬・トラックとラフターをだまして窓山へ  (右)設置作業・ラフターが倒れる程奥へ
実はこの運搬は大変でした。道のない山道と農道に能代の会社に別々に頼んで私が先導しました。 運ちゃん達は、知っていたらこなかったと行っていました。 しかし、場所は良いところだと感心していました

 
  移築終了。白神山地が最もよく見える場所
 

今年の野呂さんの田植えでは、新しい試みとして一部(2反歩)大豆の豆播き機を活用した苗代に籾の直播きを行い、残り5反歩は通常の苗植え(機械)をしました。籾の直播きは今後の再生にとって意義ある試みの一つです。窓山での直播きが成功すると人手や期間など農作業が大幅に省力化し、取り組み易い農作業環境になります。秋の収穫(10月11〜13日頃?)が楽しみです。直播きの指導者は、きみまち塾「ふたつい将来研究会」会員の菊池康紀さん(県内では直播きの第一人者)でした。

 
  春、野呂さんの田の代掻き
   
 

今年の田植え風景。野呂さんの親戚の笠原さん(オレンジ色)が手伝いに来てくれました。
笠原さんは、名古屋で大工さんを営んで居て、毎年春の田植えと秋の稲刈りには麻生集落の実家田植えを手伝いに来られる。今年は同時に窓山のこともお願いしました。

 

「ふたつい将来研究会」は、自然の資源や景観、郷土の食やモノづくりを活かした地域観光のまちづくりを描いた上で、それぞれの会員が担う得意な分野、地域資源を活かす起業などを視野に優先順位を決め、できるところから互いを支援、連携しながら具体的な課題に取り組んでいます。例えば、水害で営業停止した旅館の再建を目指す会員と温(冷)泉をつくりたい会員、さらに秋田杉の町を象徴した文化遺産・天神荘を活用したい会員が連携して新たな観光拠点づくりに動く、シャッター商店街に構える店舗の改装を行う会員は、地域観光・木の町に相応しい景観を醸し出すファサード事業を他の店に先駆け、他の会員と協力して行うなどがあります。

秋田杉を活かした家や店などの街並み、樹木や草、水や石などを活かした街路、里山など地域観光に相応しい景観づくりの大枠を担うまちづくりNPO法人の設立も視野に“かたち”づくりを目指しています。会員の持つ具体的な問題や課題について毎月数回話し合いをきみまち塾舎で行っています。
また、きみまち塾では会員の仕事や地域づくりに活かすため、世の中の現状、流れを知り、近・中長期の将来を見通すことで役立てようと経済アナリストを定期的に招き、国際的な政治経済・金融についての時事講座や生き方講座、まちづくりの担い手・大工塾なども併せて開催しています。

菊池さんは、街場の景観づくりと共に農業を里山・窓山の景観を本来の姿に戻すことで地元の人たちの再確認を願い窓山再生に協力し、頑張っております。嬉しいことです。
5月末は、根曲がり竹の子が盛りのはずですが今年は異常に雨が少なく不作です。窓山のジュンサイ沼も涸れかかり、田んぼの代掻きもままなりませんでした。白神山系・窓山にも確実に地球の異変が影響を与えています。

「ふたつい将来研究会」も10月のデザイン会議・収穫祭に参加します。楽しみです。

 
  復元された窓山の田
   
   
   
 
   
   
   
 

●<かとう ながみつ> モクネット事業協同組合理事長
モクネットhttp://mokunet.or.jp/

   
   
 
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