特集 2周年 各支部から2周年を振り返って  

 
杉九報告 北部九州支部)
文・写真/ 池田陽子
 
 
 

まずは月刊杉発刊2周年おめでとうございます。様々な視点で綴られる執筆者のみなさんの熱い思いがこもった記事にいつもはっとさせられたり、よし私もがんばろうというやる気をいただいたりと大きな刺激を受けています。杉話に触れられる貴重な場として今後とも心より楽しみにさせていただきます。

   
   
 

○スギダラ北部九州の活動履歴
北部九州支部が立ち上がったのは去年の4月なので活動を始めて1年とちょっとになります。その少し前にあった上崎橋でのワークショップの3次会くらいの席で、ナグモさんから幼馴染みの薫杉さんこと佐藤さんと2人で福岡と大分から何か発信してよ、と言われたのが事の始まり。宮崎や秋田でのイベントやツアーに参加してみて、自分のいる地域でも何かできるといいな、という思いはありましたが、二人とも特にまちづくりなどに携わっているわけでもないので、その時は、何ができますかねえ、と軽く受け流したつもりでした。がしかし、すでにサイは投げられていたらしく、後日、北部九州支部の支部長と広報宣伝部長就任の辞令が・・。こうなったらできることからやってみよう、ということでとりあえずブログを立ち上げ、同時に一緒に活動してくれる仲間集めも開始。興味を持ってくれそうな人に出会うと、「杉九」キャラの入ったスギダラ名刺をすかさず渡し、九州森林フォーラムにも出かけて営業した甲斐あって、様々な職種のみなさんが仲間になってくださいました。
メンバーが集まったところで何をするかを話し合ったところ、折角いろんな立場の方がいらっしゃるのでそれを生かした活動にしましょう、ということになり、「楽しむ」ことを目的としつつ(スギダラの基本ですね)、山のことを知るための勉強会と杉のよさのPRと仲間集めのためにイベントへの参加の2本立てでいくことにしました。

   
 

 

  @山の勉強
   
 
 
  湯布院ツアーで杉山を見学。   スギダラ会員証もお供しました。
 

山の勉強としては、5月に九州林産さんのご好意でFSC認証を取得している山を見学する湯布院ツアーを実施することができました。手入れの行き届いた山は、杉や桧が立派に育ち、そこにいるだけで元気をもらえるような本当に気持ちの良い環境で、参加者一同から感嘆の声が終始上がっていました。これだけの環境を維持している背景には、綿密な施行計画に基づく作業や植生の把握調査、労働条件や安全対策面にいたるまでの徹底した管理が行われているとの説明に、また深く感心し、山づくりに関する理解を深めることができました。
11月にはそのFSCの年次監査が公開で行われるとのことでご案内をいただき、杉九メンバー数名が参加。FSC認証は一度取得したら終わりではなく、毎年現地調査や作業員へのインタビューなどが実施され、更なる環境維持向上に努めるための評価をもらうという非常にハードルの高い制度だということがよく分かりました。またFSCを取得することは、材に認証がつけられるということだけではなく、山を管理する人たちの意識向上という点でも大きなプラスになっているとの現場の声も聞けて、認証の効能についてより深く知ることもできました。
こうして山に入って山づくりのプロの方から話を聞くと、なおさら杉を使っていくことの大切さを実感しますし、山が確実に身近に感じられるようになったと思います。

   
   
  Aイベント
   
   
  「水面の盆」ポスター   杉の丸太を輪切りにしてつくった、杉ダーツ。
   
  三隈川に浮かぶ遊船が会場。とても素敵。   大人も子供も、みんなで杉ダーツを楽しむ。
 

イベント部門では、日田出身のバルスギさんこと合原さんが地元の仲間と新しいまつりをお盆の時期につくるとのことでお誘いを受け、「水面の盆」への参加が決まりました。このまつりは日田の三隈川の夏の風物詩、遊船を会場に使い、コンサートや屋台、市場などを楽しむというもの。時間も予算もない中、何か杉に注目してもらえる使い方はないかと考え、ダーツの的に輪切り丸太を使用することを提案したところ、建築のお仕事をされているネロ杉さんこと根路銘さんがすばらしいデザインを考案してくださって「杉ダーツ」が誕生しました。準備も地元の方の多大なるご協力をいただきながら(材の提供、製材、運搬など、すべて手弁当でまかなって下さいました)、杉九メンバーを含めた地元の有志と共にすすめ、ダーツをかたちにすることができました。当日は遠方からも杉九のみなさんがスタッフ参加してくださって、大いに盛り上がることができたので本当によかったと思います。杉ダーツは見た目にもインパクトがあり、ゲームとしても子供からお年寄りまで楽しめるものであったので評判も大変よく、地元の林業関係者の方がいつも見ている杉が思わぬ使われ方をしているととても喜んでくださっているのをみてこちらも嬉しくなったりしました。

 
   
  「千年あかり」会場の様子。   灯篭。花の模様が入っています。
   
  杉屋台も登場   杉屋台の看板娘
 

10月には先のまつり関係者の取り計らいにより、「千年あかり」へも参加させていただくことができました。こちらは日田の天領時代の街並みが残る地域を2万本の竹灯篭で灯し、秋の夜長を楽しむまつりです。地元の各団体による屋台が多数でるので、杉だらな屋台を出店することにしました。そんなことを決めていた頃、月刊杉1周年記念プレゼントでソラ杉さんこと空さんが杉屋台に見事当選!早速まつりで活用させていただくことができました。
日田は林業が盛んな地域ですから、そこで行われるイベントに杉を持ち込むのはごく自然に受け入れられ、地元の方にも大変喜ばれているという実感があります。このまつりでもスギダラ空間をつくることを知ると、巨大灯篭を浮かべる川沿いの一等地を提供してくださったりと、かなり優遇していただいて大変嬉しかったです。その代わり、巨大灯篭の製作などまつりの準備はできるだけお手伝いさせていただきました。まつりへの関わりを深めることでより楽しむことができたと思います。
当日は杉九のみなさんがまたスタッフ参加してくださったのはもちろん、地元の若者のみなさんが快く手伝ってくれたのには感謝のひとことにつきます。やりたいことをあれこれ詰め込みすぎておおわらわしてしまったという反省点もありましたが(次回からのよい教訓になりました)、大きなまつりでも杉をアピールできてよかったと思います。

   
 

イベントを通じてたくさんの人に出会えたことは大きな収穫でした。スギダラ活動に賛同してくださる方も多数いて、展示会のようなことをしたければ会場に提供できるところがあるよ、などとありがたい言葉を随分かけていただきました。まちを盛り上げるために頑張っている若者やそれを応援してくれる方々など、地元の結びつきの強さにも心打たれるものがありました。そしてみんなで何かを作り上げていく楽しさや感動、心地よい時間を共有できることもイベントの醍醐味だと改めて思った次第です。(これは中毒性あり、ですね。)

   
   
 

○今後の展望
なんの当てもなく始めた北部九州支部の活動ですが、できることからやってみていると、出会いがあり、そこから新たな展開があったりして、不思議とうまいこと物事が進んでいく感じがしています。まさに渡りに船を実感。
これまで得たつながりを大切にしながら、他の地域でも町づくりなどに携わっている会員の方々がいらっしゃるので、何かスギダラとして参戦させてもらえることがあれば共に活動できるといいなと思っています。
更なる出会いと感動を求めて、流れにまかせつつ、機会をうかがいながら勢力拡大に努める、が当面の目標です。

   
 

ついでに(どうでもいいことですが)、ブログの右側にある「旅するスギダラ棒」は、いろんなところに会員さんが増えればいいなあとの思いから、スギダラ棒が会員増加祈願のための全国行脚をしているとの意図が実はあります。今回は次号迎える月刊杉2周年を記念して南半球へも初上陸。チマチマしたことでも盛り上がっている杉九です。

 
      シドニーのパブにて。月刊杉2周年に乾杯。
   
   
   
 
 
  <いけだ・ようこ> 木工作家
1973年福岡市生まれ
日本語教師を目指すが手仕事に魅かれ木工を始める。現在「杉の木クラフト」にて杉の製作活動を行う。
スギダラ北部九州支部長
   
   
   
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