特集宮崎

 
飫肥杉キャラ オビータ誕生秘話
文・写真/蒔田有美子
 
 
 

 秘話というほど秘話ではない、日南生まれ、オビータの誕生秘話。

昨年の10月、我が事務所で石田さんと南雲さん、私の3人で顔を寄せ合いエコプロダクトのパンフレットのレイアウトについて打合せをしていた。最初にあがってきた案をみながら細かい修正をしていたのだ。このパンフレット自体、展示後も使っていけるしっかりしたものにしよう、と決めていたのでかなり真剣だった。その中に飫肥杉の特徴を紹介する飫肥杉キャラクターが描かれていて、3人は少し気になった。どうせならパンフレット同様今後も通用する飫肥杉のマスコットをちゃんとデザインしてはどうか?
そこからは早かった。

「かたちは?」「もっとシンプルにした方が良いね」「木とおにぎりって同じ三角で似てるよね。オビスギコロリンとかどう?」「単純にスギダラ会員証みたいな角材でもいいよ。」「名前は何にする?」「オビスギか・・・オビスギ君じゃ単純かな?」

こういう話しになると俄然勢いづく。時折冗談を交えながら何となく大まかなかたちと方向性は決まっていった。木全体のかたちではなく、飫肥杉の特徴である"節"がだせるよう、製材した角材をイメージしたマスコットだ。このマスコットを立体ものにし、それを撮影、合成写真等の画像処理をしてパンフレット内で飫肥杉の特徴紹介をしようという事になった。
「これはおもしろそうだ!どうしてもこれはやりたい!!」と思い、私は担当にしてほしいと頼んだ。とにかく先ず立体にしてみない事には始まらない、と事務所にあったは材でつくってみたがうまくいかない。胴が長すぎるのかな?脚の出し方が変かな?試行錯誤して何とか第一号ができた。一人の判断では不安もあり、再び石田さんを交えてみてもらった。アドバイスをもらって角材の大きさや胴の長さ、手の位置等細かい所を決めて再度制作開始。この頃になると展示期間中にこれも置こうなんて話しもでていたので、やはり胴体部はホンモノの飫肥杉でないと!という事で、参加メンバーの谷材木店の谷さんに頼んでは材を送ってもらった。正真正銘飫肥杉でつくった飫肥杉マスコットだ。

 
  ノリスケさんの初期スケッチ(左)を元に試作第一号(中)と第二号(右)

  11月中旬、顔は最後のお楽しみ〜という事で、顔無しオビータを数体つくり、パンフレット用の写真撮影と最終打合せの為に日南へ乗り込んだ。パンフレットに載せるなら、バックはやはり宮崎の青い空の下でないとダメでしょうー
宮崎空港から日南市へ直行し、打合せの前の少しの時間を使って撮影を開始。場所は最近できたばかりの堀川運河沿いのボードデッキ。(デザインは、今回日向の話を執筆されている小野寺康さん)一面の飫肥杉だ!
先ず飫肥杉の特徴である『シロアリに強い・曲げに強い・衝撃に強い・雨風に鍛えられている・腐りにくく水に強い』に合わせてポーズを決め、それに合った表情で顔を描いていく。ただの角材が、顔を描いた途端に生きもののように活き活きしてくるから不思議だ。顔をもらって命を吹き込まれた12mm角、長さ100mmのちいさなオビータ達を、石田さんと地面に這いつくばるようにして撮影していった。
「いいね〜いい感じだよ〜」「今すごく良い顔してる!」「君かわいいよ〜」
まるでアイドルを撮影しているカメラマンの心境だ。
時間がきたので撮影を中断し、残りはまた別の箇所で撮ろうという事にしてデッキをあとにした。この時の宮崎入りはエコプロダクツの打合せの他に各地でイベントが重なっていたので、宮崎をあちこち放浪する事になっていた。旅の最中オビーターズを肌身離さず持ち歩き、時間を見つけては撮影会をしてまわった。旅の途中に立寄った都城では飫肥杉らしきふるい板塀をみつけて、これは良い!とそこでも撮影開始。デザコンで訪れていたのでエコプロダクツの関係者ではないにも関わらず、一緒にいた杉鼓やスギさんも率先して撮影に協力してくれた。大の大人が数人板塀に向かって写真を撮りまくっている光景はちょっと怪しスギ。通り過ぎる人が不思議そうにこちらをみていた。(通報とかされなくて良かったなぁ)
そんなこんなで東京に戻り、撮って来た写真の画像処理を開始。足りないものは事務所の近所の公園で撮影して何とかまとまった。
我らがオビーターズ。しっかりパンフレットの表紙も飾り、あちこちで結構評判らしく売り出してみたらどうか?なんて話しももらっている。可能性を沢山秘めているかれらの活躍、今後も乞うご期待!したいです。

 
  撮影に臨むノリスケとユミスギ。日南堀川運河
 
  撮影場所を都城に移し、再び撮影会。杉鼓とユミスギ
 
  パンフレットに使用した画像1
 
 
パンフレットに使用した画像2
 
幻?のビキニスギ
 

  <まきた・ゆみこ> ナグモデザイン事務所勤務 4年目突入。

   
   
   
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