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  スギダラ初心者講座第1回:キャッチコピー「一家に一台、杉の家具」
文/ 袴田彩子
   
 
 

まずは最初の最初、スギダラのキャッチコピーから。

「一家に一台、杉の家具」

さあ、なぜわざわざ声を大にして「杉の家具を使おう!」と呼びかける必要があるのか?
まず、直感的に、木を使った家具って、触ってもやさしくて見飽きない、そしていい香りもして、気持ちいい!
私は杉の無垢の椅子を使っていますが、木目は色も模様も複雑で、目に入ったとき"楽しい"と感じます。小さい頃、おばあちゃんちで布団に入ったとき、天井の板の模様で空想して遊んだ・・・それに近い感じでしょうか。個人的には、木の家具は表面が柔らく、音や光が強く反射してこないこともお気に入りです。
なによりもまず、木の家具には、そうやって実物から五感で実感する"良さ"があります。

さらに2つの側面から。

いま、身の回りにあるものを思い浮かべてみてください。大半が工業的に大量生産されたものです。便利で、品質もちゃんとしていてなおかつ安い。
ただ、どうもちょっと便利が行き過ぎてしまった感じがしています。
  壊れたら捨て、新しいものを買う。
  どこの誰が作ったか知らない、捨てた後どうなるかは気にしてない。
  使うのはあくまで機能、それ以外の手間暇はそぎ落とす!
いやあ、便利が進みすぎて、ちょっと事務的で無機質な感じが日に日に増しているなと感じる今日この頃。

対して、木の家具は、来し方と行き先を知りやすい材料でもあります。
私は部屋の一部を杉の床板にしています。自分の住んでいる地域を真北に車で60分上ったあたりの杉。長く使うつもりですが、いつか不要になった時には、燃えるゴミに出すのは忍びないですから、DIYの椅子か机の材料にするか、または実家の薪ストーブにくべるか。

木材は手をかける余地のある面白い材料です。料理でも服でも、自分で作ったオリジナルは愛着がわきます。右から左へ物や情報が流れ去って行くのとはちょっと趣向を変えて、家具や道具にじっくり向き合って愛着を持つのも新鮮ではないでしょうか。

そして最後に、今、山には、ちょっと世知辛い諸事情があります。

日本全国、どこにも広がる緑の山。
ああなんて緑豊かな国なんだろう・・と喜ばしいのですが、実はその緑の山林の70%が「人工林」で、戦後に植林された山々です。

人工林は天然林と違い、「植える→育てる→収穫する(切る)→植える」というサイクルを前提としています。「切る(伐採)」と聞くと、どうしも自然破壊な印象が強いと思いますが、切って使って、経済的に山に還元して、また植えるという60年以上をかける持続可能な調和を想定していました。

しかし、今・・・・、収穫期(伐採期)をむかえていながら、木材の需要が少なく価格は安く、サイクルがうまく回りません。結果、「植える」「育てる(整備する)」工程も回らず、こんもりとした緑の葉の下で、山は荒れてきています。
なお、植林された木の多くはスギとヒノキです。

全国の山林どこもが、スギダラケ。
せっかくの杉という財産、使えば心地いいし、どこにでもたくさんあるし、
どんどん使っていこーーーーう!
というわけで、その最初の一歩、「一家に一台、杉の家具」!

   
   
   
   
  ●<はかまた・さいこ> またの名をキャッシー。スギダラ天竜支部広報宣伝部長。 6年間の株式会社内田洋行勤務を経て、Uターンにて現在デジタルセンセーション株式会社勤務。
   
 
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