特集 秋田駅西口バスターミナル
  秋田駅西口バスターミナル建替え完成
文/ 鈴木公昭
 
 
  秋田杉をふんだんに取り入れた新バスターミナルが今年5月に着工、10月14日に完成、15日から供用開始しました。
木質化された新バスターミナルは、安全面はもちろんの事、機能面でも暴風雨対策として各バース毎に風除室を設けました。又、秋田を代表する工芸技術である組子細工で「竿燈まつり」や「なまはげ」などを表現しております。
秋田杉の美しさとぬくもりが感じられる県都の玄関口にふさわしい施設として、県内外のお客様に秋田らしさをアピール出来るものと思います。
   
  このバスターミナル建替えのきっかけは東日本大震災を契機として実施した耐震性調査で、脚柱部に腐食がみられ補強対策が必要との調査結果が出たことからでした。築30年が経過し老朽化が進行している事を鑑み、一時しのぎの補強ではなく、建替を行うとの判断に達したものです。
   
  建替にあたり、秋田市の「秋田杉街並みづくり推進事業」に参画されていた、秋田公立 美術大学助教の菅原香織先生に相談し、全国各地で公共木造建築を手掛けているナグモデザイン事務所、小野寺康都市設計事務所をご紹介いただき、デザイン・設計をお願い致しました。
   
  また、建替工事には多額の費用を要する事もありバスターミナルの公共性、県産材のまちづくり利用促進の観点、持続可能な公共交通維持の為、秋田県・秋田市に支援を求め、県産材普及やPRモデル施設、木造・木質化を図る事業として、補助金の支援を受ける事が できました。
   
  今回の建替工事で思い浮かぶことは、県、市に提出する設計図書等の申請書類や、工事期限等のスケジュールがタイトで、常に時間との闘いであったことです。
また当方はデザインや建築については全くの素人で、経費削減のため170個余りの照明を半分にできないのかなど、平気で失礼な事を求めました。デザインより使い勝手、費用を重視して交渉し、その乖離によく自問自答しましたが、「誠意に勝る知恵はなし」の信条をもって対応して参りました。
   
  結果として、プロジェクトに関わった皆様のご尽力のお陰で、弊社のバスを利用くださるお客様のみならず、秋田駅前を訪れる多くの方々の目を楽しませてくれる立派なバスターミナルが完成したと自負しております。
   
  終わりにあたり、秋田県、秋田市の補助金担当の皆様、そして設計、施工にあたられたすべての関係者の方々の良きメンバーに恵まれたことに感謝し、心から御礼申し上げます。
   
   
 
  秋田駅西口バスターミナル photo/シブヤスタジオ
 
  秋田を代表する工芸技術 組子細工で「竿燈まつり」を表現 photo/シブヤスタジオ
   
   
   
   
   
   
  ●<すずき・まさあき> 秋田中央交通株式会社 管理部長 http://www.akita-chuoukotsu.co.jp/
   
 
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