特集 吉野「吉野材を使った暮らしの道具デザインコンペ」

  奈良の木、愛!
文/ 北村達也
 
 
 

な〜んにもないところに、杉の木が一本ころがってた。

まず、足を使って軽く蹴ってみた。
「おっ、反応がないぞ。」

よし、では次にじっくりと眺めてやれ。
「何か、線がいっぱいあってキレイに並んでいるぞ。」

むむっ、では手に持ってみよう。
「軽いぞ〜。」

おおっ。次はくんくん匂いを嗅いでやろう。
「ええ匂いやんか。」

ここは、思いっきり噛んでやろう。
「痛っ。なかなか固いぞ。」
「おやっ。」
「何か、いい味だぞっ。」
「いいねえ〜。いいねえ〜。」

僕の一人杉遊び。

   
  こんな感じで、杉との出会いが僕の頭の中でありました。実際、僕が本当に杉と出会ったのは、今年(平成24年)の春。それまでは、いっぽんの単なる木でした。
   
  奈良県庁内に、「奈良の木ブランド課」という課が、この4月に設置され、僕が、たまたまその中の木材利用促進係というところに配属されました。
ちなみに、「奈良の木ブランド課は、何をしている課なの」と言われると、奈良県産材を使用した新築住宅への助成や、公共施設への木材利用についての支援、県産材であることの産地認証や品質保証制度を推進、県産材を利用したみやげ物開発や木製品の商品化などに取り組んでおり、奈良の木(県産材)の良さを多くの人に知ってもらい、また、住宅や身近な道具などに使ってもらえたらということで、日々頑張っている課です。
ぜひ、奈良県へお越しの際は、県庁の「奈良の木ブランド課」へお越しください。
   
  そこで、奈良の木を扱う担当が奈良の木を知らないでどうするのかということだったので、吉野郡川上村の山奥へと連れてってもらい、「吉野杉」と名乗る木に、木として初めて、しっかりと出会わせていただきました。
まだ、他の木については、あまり知りません。
そんな僕が、いっちょまえに「木」の話なんてできるわけがないので、素直な気持ちを文にさせてもらいます。
   
  今、目の前に「吉野杉を使った暮らしの道具デザインコンペ」&「吉野貯木まちあるき」のチラシがあります。僕は正直言って、「な〜んかしらんけど、吉野かっこええやん。」という言葉が頭に浮かんできました。
古風なというか、古くて新しいというか、どう言葉にしていいのかがわからないですが、とにかく「かっこええ。」んです。吉野の街、吉野人に愛されている「吉野杉」は「ほんまもんのかっこ良さがあるやん。」と思ってしまいました。
   
  話は変わりますが、「貯木」って知ってました?
「ちょぼく」って言うんですよ。「貯金」なら知ってましたけど・・・。
   
  でもね、僕、思うんです。
   
  この「貯木」って、みんなの大切な「木」を預かっている街なんですよね。
み〜んなで、大切な「木」を扱っている。
み〜んなで、大事に「木」を守っている。
そんな街だからこそ、「木」の神さまは、この街を愛し、この街から出ていく「木」を応援し、見守り、そして、この「木」を愛してくれる人達を「貯木へ連れておいでや」と、言っているような木(気)がしてなりません。
   
  こんな街(貯木)に、ちょこっと顔を出して見ませんか。
まず、「木」の神がいい匂いでお迎えしてくれますよ。
  「こんな田舎によう来てくれたなあ。」って。さりげない木の香りのお出迎え。
   
  だから、「かっこええねんなあ。」
だから、「吉野杉(吉野好き)や。」
   
 
  最近の筆者。木愛の眼差し!
   
   
   
   
  ●<きたむら・たつや> 奈良県農林部・奈良の木ブランド課・木材利用促進係・係長
吉野町議員の中井章太さんと同窓生。川上と川下の連携をはかり、奈良の木の利用促進を目指す。

   
 
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