特集 「だっこのいす」プロジェクト  
  「だっこのいす」への想い
文/ 日當和孝
   
 
 
   遠い九州宮崎の女の子の純粋でやさしい小さな想いを、大勢の大人が「なんとか」との想いで、壮大な計画が実現しました。
   
   安田圭沙ちゃんのメッセージを初めて読んだのは、暮れもおしせまった夜の事務所でした。読みながらとめどなく泪があふれてきました。「なんて気持ちのやさしい」「なんて純粋な」よくわからない感動がこみあげてきました。多くの悲劇がおき、大勢の子どもたちもまきこまれました。あまりのショックの大きさに現実を受け入れられず、悲しみを表現できない子どもたちもいました。いつもの家族に囲まれたやさしさを突然奪われた子どもたちになぐさめる上手な言葉もなく、ただ愛おしく見つめるだけでした。圭沙ちゃんはしっかりと子どもたちの心を理解し、子どもらしい方法を思いついてくれました。
   
   遠く宮崎の地で始まった「杉コレ」の想いが岩手・野田の地で新しい芽を出すことになります。贈呈式での圭沙ちゃんはすごく立派でした。野田小の子どもたちも遠来のお客様をお迎えするということで大変緊張しておりました。贈呈式そして圭沙ちゃんと同じ3年生との交流会は、まさに「だっこのいす」の取り持つ「縁」がつながった瞬間でした。野田小の子どもたちが「だっこのいす」に抱かれたとき、緊張から解放されたいつもの野田っ子の笑顔になっていました。野田小の子どもたちのお礼の合唱は、被災の現実を受け入れながら、健気に育つ子どもたちの心からの気持ちがよく伝わるすばらしい歌声でした。
   
   これから、「だっこのいす」は野田の地で野田小の子どもたちと楽しい生活が始まります。いつまでも圭沙ちゃんのやさしさを忘れることはないでしょう。
   
   ひとりの小さな女の子のやさしい想いは、杉コレの舞台を得たおかげで大きな想いにふくらみました。圭沙ちゃんの夢をかなえることに木青連の活動が、お手伝いできたことを誇りに思います。
   
   
   
   
  ●<ひなた・かずゆき>  木青会岩手
有限会社マルヒ製材 専務取締役 http://www.maruhiseizai.co.jp/
   
 
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