「足跡のダンス」は、下駄のみならず、サンダルや長靴、ふだん履きの靴に至るまで、可能性を広げる事ができると、コンペ入賞時から認識していた。そして、ゴムサンダルという分野への要望も多くあった。しかし、サンダルメーカーからのオファー等はない。そこで、まずは杉の普及、足跡のダンスとしての商品開発が先決だと、考えていた。

Magnetとのコラボレーションという事で、常に彼女はMagnetとコミュニケーションを取り続け、その意見を尊重してくれたし、Magnet（というよりも僕？）も、思う所を率直に伝える事が出来た。率直な意見がぶつかり、精査され、形へと落とし込まれる行為は、当然のようでありながらも、実際のところは単なる喧嘩のようになる事が多く、なかなかできる事ではない。

今まで、上手くいく事例に遭遇する機会はあまり無かったのだが、間違いなく、この人たちはプロであり、愛情を持ってこのアイテムに心血を注いで取り組んでくれていると、実感する出来事だった。表にはあまり出さないが、影では本当に苦労されていると思う。

彼女が運営する�階ukkiaがどういう事をする会社かは、HPを見て頂くのが一番いいかもしれない。ここでの紹介は控えるが、Magnetにとっては間違いなく、楽しくもあり、頼もしくもある、仲間だ。どんどん大きくなって、すばらしい商品をたくさん、世の中へ届けて欲しいと思う。

　「ashiato」は、下駄の歯の部分を、動物の足形としたアイテムだ。その前進である「足跡のダンス」は、宮崎（日本）の森に生きる野生動物たち、というくくりで、動物種を選定していた。しかし、今回は世界中の人々を対象としたアイテムとしての商品展開。動物種を選定しなおす事となった。世界にひそむ動物たち、というコンセプトのもと、新たな動物種として、ネコとティラノサウルスが仲間に加わる。その他の動物達も、自然とその形に興味と愛着が持てるよう選択し、５種類の動物とした。下駄に使う色は、動物特有の色、という選択肢から、その動物が生きた環境の色も含めて捉え直し、動物たちのストーリーとした。

それぞれの動物たちは、自分たちが生きている環境に合わせて、多様な足形をしている。
たとえば、私たちは、いつも２本足で歩いているが、手にもashiatoをはめ、ネコになったつもりで歩いてみる。二足歩行とは、かなり違う足の運びなんだと、その時に気づく。わかっているようで、意外にやってみないと実感できない。楽しみながらも、そうして、動物の多様な生き方、生きている環境に気づかされる。