特集 「杉コレクションIN西都」とこの一年
  杉コレを終えて

文/池水 隆寿

 
 
  試練はやってきた。2月5日、私は東京にいました。
   
  今年の杉コレで火を使いたいとの審査員の先生のご要望があり、県や市に問い合わせたところ、西都原では火の使用は一切厳禁であるために火は使えない、との旨を先生に報告するためでした。南雲さんは、「火は絶対に使う」、「そのための努力はしたのか」、「使えるようにしないと意味がない」、とのお言葉でした。私も報告に上がるまでには、市の担当者に何度もお願いあがった末のことでしたので、心が折れそうになりました。がしかし、実行委員長の役目を果たすべく、また、南雲さんを見返してやる一心でいろんなルートを頼りお願いにあがりました。その結果、かがり火ならばOKという返事を頂きました。(これは、後にわかったのですが、林業協会の役員の方が県や市の働きかけてくれていたお陰でした。)この難題を突破してからは、口蹄疫、台風などありましたが、無事当日を迎えることができました。この試練を敢えて与えて下さった南雲さんには大変感謝しております。今では、「成せば成る、成さねば成らぬ。成さぬは、人の成さぬなりけり。」との心の支えになっております。
   
  そして、「杉コレクション2010in西都」の当日は心配された季節外れの台風を寄せ付けず、清天の下、コスモスが咲き乱れる西都原鬼の巌で開催できました。当日は、ライトアップされた普段は見ることのできない鬼の巌の美しさに、長年西都に住んでいながら、見とれてしまいました。多くのご来場、また通りがかった方も一様に同じ思いだったと思います。西都の良い面を新たに発見でき、また多くの方々に見てもらうことができて本当によかったと思っております。
   
  今回、「杉コレクション」はメンバーが開催に向けて動いて行く過程で、今まであまり関わることのなかった方々(県、市、商店街の方々、スギダラ倶楽部の方々等)にいろんな助言や支援を頂きました。その方々と交流する事ができ、西都木青会メンバー一同、視野が広がりまた、西都が持つ魅力を自分達で体感でました。そのことを、新たに交流出来た方々と西都の魅力をどう伝えていこうか、また、商店街の方々からは、具体的に商店街の街並みに杉をたくさん使いたいけどどうすれば良いだろうか、という相談も頂き、今後の西都木青会の新たな活動の場が広がりました。いろんなことが見えて、いろんな人と知り合えて、いろんな話ができて、自分たちに可能性や具体的な今後の目標を持つことが出来ました。
   
  そして、なんと今回のグランプリ作品「すべすべすべり台」はスポンサー企業である「鞄燗c洋行」様の周年事業に使いたいとのお話がありました。これは凄いことだと思っております。作品出品者の有馬晋平氏は杉コレクション発の有名デザイナーになっていくのでは、ないのかと今後の活躍に大変注目しております。今後も杉コレは続いて行くと思いますが、デザイナーの方が杉コレでグランプリを獲りたいと思ってくれるようなものになることを確信しております。また、主管させて頂いた我々西都木青会メンバーも冒頭に書いた体験など、自分自身、また、メンバー一同成長できたと思っております。  最後になりますが、「杉コレクション2,010in西都」をご支援、ご協力を頂いた皆様本当に、ありがとうございました。皆様がいなければ、開催できなかったと思っております。
   
   
   
   
  ●<いけみず・たかひさ> 西都木青会 杉コレ2010実行委員長
   
 
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