特集 「杉コレクションIN西都」とこの一年
  杉コレに行こう!

文/写真 原 章

 
杉コレを初めて知ったのは、大学の講義。今回の審査員でもある篠原修先生の講座にゲストでいらしたスギダラ代表・南雲さんのレクチャーだった。誘われるままスギダラに会員登録。しばらくは月刊杉を読んでいるだけだったが、いつかは杉コ レにも応募してみたいと思っていた。そこに今年の口蹄疫被害である。杉コレの開催も危ぶまれていることがスギダラやtwitterなどで伝わってきた。いざ宮崎、今こ そ応募せねば。友人見沢を誘ってアイデアを練ることにした。
   
  さて、今年のお題は「コーフンする杉の台」である。西都原の古墳と興奮をかけたダジャレはわかるが台とは、何だいそれは?という感じ。まさに難台いや難題である。人は台でコーフンできるのだろうか?逆引き辞書を使って「台」と名のつ くものをしらみつぶしにあたったり、生活の中でコーフンする場面を思い浮かべてみる。そのうちに思い出したのが、ある友人の誕生日のこと。大学の売店で30円 のお菓子をひとり一つずつ、数十人ぶん買って大量にプレゼントしたことがあっ た。そういえばあれはコーフンしたな。一つだけなら貧弱なプレゼントだろうけれどみんなで持ち寄ればたいした物に思えてくる。あんなふうにチョットしたもの を持ち寄るための台はどうだろう。不景気な今の時代向きのつつましい発想じゃないだろうかクリスマスにプレゼントや飾りを並べたり皆で育てた花を持ち寄ってみたり、ロウソクを飾ったりと、いろいろな場面が想定できる。
   
  そんな考えから、ぽってりした胴体から29本の小さな台と4本の脚が突き出した奇 妙な形の台にたどり着いた。小さな台が多数あるのは、多くのものを一つの台にまとめて置くよりも、一つずつに専用の台をあてがった方が大げさな感じで良いと考えたからだ。4本脚は、「生き物のようでかわいいから」。親しみやすさも大事であ る。放射状に広がる支柱の様子から「ハリネズミ台」と命名した。
   
 
  「鬼の窟」を背景に。キャンドルを載せて演出してみた。
   
  他の案と合わせて3案提出したが、他2案は1次審査で落選。この案だけが最終審査 に進むことができた。ハリネズミ台だけはCGモデリングが間に合わず手書きの拙いスケッチをプレゼンシートに載せたのだが、さすが審査員の先生方はプロ、プレゼ ンの表面的な完成度に関係なく選んでくださった。何が言いたいのかというと、良 いアイデアを思いついたら絵に自信がなくても出すべし、ということ。
   
  さて、最終審査に残った後の流れが他のコンペと異なるところで杉コレの大き な魅力でもあるまず、宮崎木青会が木製の実物を製作してくださること。これは大きい。大学でも設計課題はたびたびあるのだが、建築ということもあって自分のアイデアが実現する機会はまずない。製作過程で木青会の方とやりとりしたことは実に勉強になったし、西都で実物に対面したときは、模型では感じなかった摩訶不思議な存在感に驚きつつもとても嬉しかった。
   
  また、杉コレが「やまんかん祭り」の一環であることもあってか審査会が本当に 楽しい。会場でかがり火を焚くとか、審査員が古代の神様に扮装しているとか、質 問に混じってダジャレが飛んで来るなんて杉コレならではだろう。来場した一般の 方からも意見や感想を聞けるのが嬉しい。特に子どもたちが 「かわいい!」と喜ん でくれて、参加して本当に良かったと思った。さすがに自分のプレゼンの番は緊張した(共同制作者のタカミ沢は、私の後ろでタカミの見物だったが・・・)けれど、終わってみればとにかく楽しかったという記憶しかない。審査の結果は、残念ながらトロフィーには手が届かなかった。またがんばりなサイトいうことだろうか。 ヒュウガないな。もっとスギェ〜デザインとダジャレを用意して、来年また応募した いと思う。
   
 
 
陽が落ちて暗くなるとなかなか幻想的な感じに。    
   
  ダラダラと書きスギてしまったが、杉コレ未体験の読者の皆様にも来年は応募をおすすめしたい。良い体験になること請け合いである。
   
  最後に、口蹄疫や当日の台風など多くの困難を乗り越えてこのすばらしい企画を実現してくださった実行委員会をはじめとする皆さん、面倒なつくりのデザインを見 事な技術で形にしてくださった木青会の皆さん、ありがとうございました。またの会う日を楽しみにしています。
   
 
 
実物制作担当の横山さん(中)と筆者(右)、見沢(左)    
   
 
  コスモス畑とハリネズミ台。なんだか動き出しそう。
   
   
   
   
  ●<はら・あきら> 東京理科大学工学部建築学科 スギダラ会員No.848
   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved