特集 祝!obisugi design グッドデザイン・日本商工会議所会頭賞!
  あらためて日南市飫肥杉課を振り返り、そして・・・

文/ 甲斐健一

 
今回のobisugi designグッドデザイン・日本商工会議所会頭賞受賞にあたり、改めて日南市飫肥杉課を振り返ってみたいと思います。
   
  平成19年1月、一人の男が、こともあろうに市長に自ら提案した。飫肥杉を核としたプロジェクトチームを創りたいと。スギが花粉症などにより全国的に邪魔者扱いされている時にである。
  多くの者は本気にしなかった?し、杉を核としたまちづくりなんて無理だろうと・・・・しかし、一人の男は本気だった。その本気モードに折れて?プロジェクトチーム結成のOKが出された。
  最初の作業は、メンバー選出である。飫肥杉をいっぱい使うためには、どこの課から出してもらった方がいいのか・・・・・・。そしてメンバー選出、平成19年4月飫肥杉課設置。そして何をやるのか?あんなこともやりたい、こんなこともやったらいいのでは・・・・・など。
   
 
  H19飫肥杉課設置(市長・副市長とともに設立時メンバーで「がんばるぞ!おー!」)
   
  そこで予算もいるよねと。早速予算の手配を・・・・のはずが、「まず、飫肥杉の歴史や製材などの過程も知らずに何をたわけたことを」とのキツイ言葉。
  そして、初年度は主に飫肥杉についていろんなことを学ぶことから始まった。当初メンバーは、8課9名。その年に、グッドデザイン・2008年度日本商工会議所会頭賞を受賞した「夢見橋」の建設に多くの地元の皆さんとかかわることができた。このことが、生まれたばかりの飫肥杉課にとって、大きな自信となったことは間違いない。
   
  翌20年度、自分が人事異動で飫肥杉課の当たり(笑)職である部署に異動した。ちなみに飫肥杉の印象は、小さい頃親父に連れられ、飫肥杉の山のこばれ(草刈り)をさせられたきつい思い出しかない。
なのにいきなり「飫肥杉を核としたまちづくり」の課題が重くのしかかった。この年の課題のひとつが飫肥杉商品開発研究会(現在の飫肥杉デザイン会)での作業であった。多くの皆さんの熱い思いで、試作品製作にこぎつけた年でもあった。また、この年は京都女子大の高桑教授との強烈な出会いの(笑)年でもあった。
   
  21年度になると、日南市・北郷町・南郷町が合併し、新日南市が誕生した。合併により一時的に飫肥杉課もなくなってしまった状態である。しかし、当初の一人の熱い男に感染されてか、仲間は増えていた。すぐに、飫肥杉課設置を・・・・やめないでと!
  そして、当初からのテーマであった「飫肥杉に触れる」、「飫肥杉を使う」、「飫肥杉と暮らす」、「飫肥杉を学ぶ」に積極的に取り組むとともに、今回受賞した「obisugi design 」の商品を完成し、販売まで行うという年でもあった。
   
 
  obisugi design カタログ用に市役所前の公園で撮影した。この直後に松山さんは異動になった。。。
   
  さらに、杉コレクションや宮崎やまんかん祭りなどを本市堀川夢見ひろばで開催することになり、これらを「飫肥杉大作戦」と称し、飫肥杉課はもとより、日南十日会、地元木材関係者、さらには内田洋行の皆さん、市内外の多くの方々が熱く一緒になって取り組み大成功であったことはご承知のとおりである。
   
  今年度、人事異動により、また飫肥杉課のメンバーに参加させてもらうことになった。前年とメンバーも大きく入れ替わり、構成も10課11名となった。
  いなくなったメンバーの中には、結成当初からいた「話し出したら止まらない歴史好きの岡本さん」や「自分と同い年で飫肥杉に熱い心を抱く松山さん」もいる。自分としては、さみしくてたまらないが・・・・。しかし、サポートメンバーとして今でも応援をいただいている。
   
 
  H22年度に入り、11人のうち昨年度から引き続き残ったのは3人。でも5代目飫肥杉課長には2代目でもあった筆者が復活!
   
  そして、今回多くの皆様のおかげで、「obisugi design グッドデザイン・日本商工会議所会頭賞!」を受賞させていただいた。
  改めて、皆様に感謝するとともに、一人の熱い男の思いが多くの人を巻き込みその結果このような賞をいただいたことに驚いている。
   
  その男はいつも言う。「大事なことは、やめないことだ!」と。
   
  自分は、少年ラグビーの指導を20年余り続けている。理由は子供たちの頑張っている姿を見ることで自分も勇気付けられるからだ。頑張っている人を応援するのは嫌いではない。
  そして今、自分が何でこの飫肥杉課にいるのか分かった気がする。自分は一生懸命やっているヤツが好きで、それを多くの仲間と一緒にやりたいからだと・・・・・。
  そして、これからは山だけじゃなく、街や住まいを杉ダラケにしていくために・・・・・・。
   
 
  W1800のテーブルも小さく見せる5代目(ラガーマン)。2010年6月福岡にて。
   
   
   
   
  ●<かい・けんいち> 日南市飫肥杉課 5代目課長
   
 
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