特集 いよいよ迫った 日南飫肥杉大作戦
  にちなんにちなんだ飫肥杉商品開発 "obisugi design”
文/ 河野健一
 
10月4日、宮崎空港でこの原稿を書いている。にちなんにちなんだ飫肥杉商品開発 "obisugi design” の商品ラインナップがほぼ決まり、ここ宮崎空港で10月1日から6日まで新作発表会を開催している。
9月24日に内田洋行で打合せして、展示のしつらえ、レイアウトを決め、それから本格的な準備にとりかかった。時間と予算のない中、多くの皆さんの協力、情熱、期待、希望により、素晴らしい杉空間が空港ビル内に完成した。
   
 
   
  空港イベント期間中の様子は、ブログ「オビダラ日記」をご参照いただきたい。
●09/30(設営) 史上最大の飫肥杉新作発表会 http://obidara.exblog.jp/12038406
●10/01 空港展の しつらえ完成形 http://obidara.exblog.jp/12043606
●10/02 一家に一台 杉の家具 http://obidara.exblog.jp/12049406
●10/03 obisugi design 宮崎空港展3日目 http://obidara.exblog.jp/12055653
●10/04 obisugi design 宮崎空港展4日目 http://obidara.exblog.jp/12061458
   
  空港展では、新作発表会なのだから、活動の意義や、商品を開発したこと、新しい商品を知ってもらうため、パンフを配りまくっている。良いと感じてもらうことと、それなりのお金を出して買ってもらうことの間には、大きな段差があると思った。良いなら金額はいくらでも、という人なんて、ほとんどいない。でも、ボクでも家具を買うとき、「今日は買うぞ」と決めていない時に、一目ぼれで即決で買うことは出来ない。「こんな家具が欲しいなぁ」と思っていたところに、ふと出会っても即決出来ないかもしれない。いま感じているのは、「なぜ杉の家具なのか」を伝えていくためには、こんな展示会や発表会を何度も何度も繰り返していくべきだということ。
ボクは役所の人間なので、ものをつくって商品化し、それを買ってもらうといった活動は、今回が初めてだ。売る側と買う側のズレが難しい。商品を世に送り出した側の意義や意図を理解して、それを買うということは難しそうだ。さらには、つくる側と売る側の連携も、なんだか難しい。
よく「市民の立場に立った行政運営」とか言うが、商品化は必ずしもお客の立場だけ優先ではないような気もする。もっと誘導というか先導というか。
この話はボクなんかが一人で考えても、ぜんぜん前進しないので、開発チームでまた話すことにしよう。
   
 

   
  空港展のパンフや会場内には、こう書いた。
   
 
 

にちなんの経済と活力は、かつて飫肥杉によって支えられてきた。
杉のある暮らし・杉のある風景・杉の感触・杉の匂いは
現代人の私たちのDNAに、深く刻み込まれている。

今、弱い立場にある飫肥杉を支えたい。守りたい。
これからは山だけじゃなくて、街や住まいを杉だらけに!
「杉の良さ」「杉の使い方」を提案したい。
キャッチフレーズは、「一家に一台 杉の家具」

杉を通して生活のさま、生きざまが見えるまちへ。
まちづくりから、製品開発、新たな使い方の提案 までの一貫した活動!

日南飫肥杉大作戦!

   
 
   
  この飫肥杉大作戦は、まだ始まったばかりだ。これから11月7-8日の大作戦イベントで弾みをつけて、断続的、波状攻撃的に続いていく。飫肥杉を使っていくため、飫肥杉を救う活動を通じて地元にチームワークをつくるため、日南らしい日南に戻していくため。
日南市役所飫肥杉課の正式名称「飫肥杉を活用した日南再生プロジェクトチーム」も、このあたりから来ている。
   
  そんな中、衝撃の事件が起きた。
   
  9月29日は、空港への搬入作業をしていた。杉ステージ(120×120×400の柱材を34本寝かせて敷く、約4m四方のステージ)、杉ブロック(120×120で高さが3種類の角材の断面を上向きに敷く)、杉ウォール(写真パネル展示用ついたて)などの大物を運び込み、汗だくのまま電話に出た。
ボクの上司(日南市産業経済部林政課長補佐)の松山さん(飫肥杉課長)からだった。空港での作業の進捗を聞かれた後、「異動の話は聞いた?」とボクに聞いた。ボクが「何人か異動の内示があったのは聞きましたが…」と答えると、その次には「オレも異動」と言った。そのときは冗談であって欲しいと願ったが、それは事実だった。10月1日付けで、飫肥杉課長は農政課長補佐へと異動になった。悲しい? 悔しい? 寂しい? 何と言っていいか分からない。
松山さんの思いがあったからこそ、日南はここまで進んできた。突っ走ってきた。
   
  いま取り組んでいる数々のプロジェクト(日南飫肥杉大作戦、商品開発、モデル住宅、箸開発、大都市への売り込み、市役所や駅舎などの杉化などなど)は、まだ動かし始めたばかりのことが多い。これらが進んでいくスピードが少し遅くなることは、市民や関係者には申し訳ないが、免れない。しかし、ストップしてしまうことや後退することは避けなければならない。
松山さんのためにも、成功させなければならない。結果を出さなければならない。
   
  松山さんは、10月1日に辞令をもらい、事務引継の準備などで忙しいのに、新作発表会中、毎日空港に来てくれた。飫肥杉への自らの思いを一人でも多くの人に伝えたくて、商品パンフを一生懸命に配っていた。
   
 
   
  商品のカタログ用に飫肥杉課10人全員で撮った写真が、まさか松山さんとの最後の飫肥杉課での写真になるとは、まったく思っていなかった。空港会場の杉ブロックに貼られたその写真を見るたび、なんだか泣けてくる。
   
 
   
   
   
   
 

●<かわの・けんいち> 日南市合併準備室/日南市役所・飫肥杉課
スギダラ宮崎支部・飫肥杉課 広報宣伝担当(オビダラ日記担当)

   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved