特集 2009年の『月刊杉』と「日本全国スギダラケ倶楽部」
 

2009年の抱負を語る

 
 
  ●今年は厳しい年になると思われますが、厳しいがゆえに変革ができる年であると信じています。
日本の林業は木材の利用が進みません。本来、利用がなければ資源は保存されることになるのですが、日本の林業地は植林された林業地であるために利用をして管理をしなければ持続できません。
特に間伐を行わなければ、木材は細長く成長せずに、木材の価値を無くしていきます。間伐を行わなければ長期間そのままで、いずれ風や雪で倒れ何も利用ができず、森林環境は最悪の結果となってしまいます。
間伐は国の税金を使いなんとか行われますが、それにより生産されるはずの木材は山に捨てられる運命にあります。多くの木材を輸入しているのに、山に多くの木材を捨てるという現実をなんとかしなければならないと感じています。間伐材の利用の手段を作りだし、それにより林業を産業として成り立つようにすることを目標としています。
2009年の抱負はそれを実現することです。
[ 藤原 明 / フジスギ・SDC-00068]
 
  ●新しい第一歩(大一歩)
宮崎県の日南市。
2009年、生まれ変わる。
03月30日、お隣の北郷町・南郷町と合併。
秋には、史上最大のスギイベント「日南飫肥スギ大作戦」。
日南も飫肥杉もボクらも、新しい大きな一歩を踏み出す。
やるゾ!という気持ち。
みんなの力で、のびのびと。
[ 河野健一 / オビダラ日記 obita]
 
  ●21世紀に入った現在、木造建築業界様々な問題に直面しつつあります。
様々な自然環境問題もそうですが、日本国内においては世界的大不況等による経済的問題に加えて建築基準法等の各基準法の大変革とも言える「大改正や新基準法の制定」で2009年以降「国産材の杉」を使用した木造建築を建築する上で大きな問題となっています。
施工者の工務店においては「瑕疵担保履行法」で各種問題となる点が取り上げられ、その中でも木材の乾燥や撓み制限、接合部金物の規定、省エネ規準、断熱性能等、また耐震性能等を規定した「品確法」および建築士法にも関連する「4号特例廃止」と言った規準関連が大きく変ってきました。
この様な、経済的、技術的困難な時代の中で筆者は、「国産材の杉」を使用した木造建築を建築する上で実務において「杉の可能性を引き出す」木構造技術の連載を致します。
構造設計の立場から山への還元を目指し、生産者・施工者・建築士(デザイナー)の3者に対し建築基準法改正後の混乱した中で、伝統技術の衰退や「杉」の利用率低下が進む現状に対し、木構造の可能性を広げ、環境負荷のかからない木造建築を次世代へ残すことを目指して行きたいと思っています。
次号より毎月の連載ですが、読者に対して少しでも「杉の可能性を引き出す」木造建築の御役に立てればと思い、当方が今まで実務においてしてきた事や、各種実験棟のデータ等を生かした実例を参考例に説明して行きます。
[ 田原 賢 / 木構造建築研究所 ]
 
  ●植物民俗学関連の資料集めのほか、今年は念願の蓑(みの)を作りを始めます。「蓑」ご存知ですか。昔の雨具・防寒具です。自然素材のスゲを使った本格的なものになる予定です。どんな材料をいつ、どうやって取るのか、干し方はなど、作り方を教えてくれる人が見つかりました。微力ながらなんとか、こういう民俗技術の伝承に役立ちたいと思っております。
[ 岩井淳治 / 林業普及指導員 ]
 
  ●「抱負」とパソコンで打ったら「豊富」とでた。2009年が「豊富」な年であって欲しいと思う。大きな変化の年であって欲しい。スギダラトーキョーは、今年、大きな変革期を迎えそう。これまでの動きで、ようやく地ならしができてきた。ここから、どんな芽ができるのかは、よくわからないけど、じっくりとその様子を見守りたいと思います。
[ 萩原 修 / スギダラトーキョー支部長 ]
 
  正月、NHKの『新日曜美術館』で菱田春草の「落葉」を取り上げていたが、クヌギ林の真ん中にさりげなく若い杉が描かれていたのが印象的だった。茶色に枯れていく景色の中の青々とした小さな杉の木(きっと実生にちがいない)。すくすく育つ杉は、やっぱり「再生」とか「生命」とか「未来」の象徴なんだろうな。ものごとはゆっくりと循環していく。その中に素直におさまって、のびのび青々と生きたいものです。
[ 長町美和子 / 小町 ]
 
  キャッシー@天竜支部です。
昨年は、各支部のイベントに参加させていただいた、吸収の年でした。
本年は、発信の年…とは一足飛びには行かず、「練り」の年にしたいと思います。
天竜には何があるのか、自分の周りにはどんな人がいるのか、どんなことを思っているのか。
そういうものをどうしたいのか。発信したいのか、作りたいのか、育てたいのか。
浜松の"やらまいか"精神(意味合いとしては「なんでやらんの? やればいいじゃん!」という感じ)を心強く思いながら、練ります!
[ 袴田彩子/ キャッシー・天竜支部 ]
 
  ●吉野に戻って、早くも3年が経過しました。
この間に吉野林業を取り巻く環境が好転したとは言えず、依然として厳しい状況が続いています。
日々の仕事を励み、それが未来に繋がると信じ、さらに今年はもっと先にあるものをしっかり見据えて行きたいと思います。大きなきっかけになる一年となるように頑張ります。
[ 石橋輝一/ 吉野中央木材 ]
 
  ●守・破・離の精神でいうところの「破」の境地へ近づけたらな、なんて思っています。自分は何が出来るのか何がしたいのか、をいつも自問自答しつつ。ちいさなことからコツコツと。
2009年はなんといっても「日南飫肥スギ大作戦」をはじめ、イベント目白押しの予感。ひとつでも多く参加して、スギとスギ、人と人の繋がりを体感したいです。
[ 出水進也/ ナグモデザイン事務所 ]
 
 

「情熱passion 」「使命 mission」「行動action」を合い言葉に、昨年みなさまのお力をいただいて立ち上がった、窓山デザイン会議、スギラボ、秋田杉街並みづくりなど、様々なプロジェクトを継続し、発展していくことが今年の目標です。そして、プロジェクトを通して出会う人々との杉絆を大切に育てていきたいと思っています。
[ 菅原香織/ すぎっち・北のスギダラ ]

 
  ●今年のキーワードは「学ぶ」です。連載している「杉で仕掛ける」は、本質やタネを話してしまうと、バラしてしまうと意外とあっけないものと気づくものです。(もちろん、それだけではありませんが・・・)海杉は、それでいいんだと考えています。その先にある「何か」にたどり着くことが出来るからです。スギダラは、奥が深いのです。まだまだ学び足りません。昨年、各地のスギダラが様々なイベントで花開きました。それは、スギダラ三兄弟が杉伝道者となって献身的な布教・普及活動を全国展開した結果なのですが、それに応える地元のスギダラ信者の「学び」も見逃せません。角言う海杉自身も「学び」に飢えている状態なのです。
[ 海野洋光/ 海杉・日向木の芽会 ]
 
  私が月刊杉のWEB編集をするようになって、もう少しで2年になろうとしています。各地のイベントを毎月、写真とともに伝えていることもあって、各地のスギダラメンバーの名前・顔・活動内容などを自然と把握できるようになってきました。お会いしたことのないスギダラメンバーでも文章と写真でよ〜く知っていて、一方的に多大な親近感をもっているので、初対面の時に、なんというか、アイドルの追っかけのように感慨無量な心もちになります。(そして初対面から大興奮なので、大概ひかれます。)今年はできる限り、そのような各地のアイドルに実際にお会いしたい、しかもそれぞれが活動するリアルな場でお会いしたいと思っています。
[ 堂元洋子/ 月刊杉WEB編集担当 ]
 
  今年は本業でもっとスギスギしたいと思っています。ここ数年でたくさんの動きが、いろんなところで形となって現れてきているように感じます。編集という仕事をしている者として、そういった点を線につなげて面に落とし込み、伝えていけたらと。そして、昨年はイベントにぜんぜん参加出来なかったので、今年はひとつでも参加したいなー。
[ 内田みえ/ サイレントオフィス・月刊杉編集長 ]
 
  ●秋の日南の「飫肥杉大作戦」は今からともに楽しみだ。杉を基にした、ものづくり、まちづくりの実践編として、たぶん歴史的な出来事になるだろう。いろんな人達が杉を使ったまちづくりのために力を合わせ手を繋ぐ。そこからはきっと未来の生き方が見えてくる。去年足場をつくった秋田窓山や杉九は今年さらに発展し、進化するだろう。
そんななかでヤタダラという新しい枠組みもスタートした。想像出来るのは、それぞれは別のものではなく、連係し、繋がりあってひとつのうねりをつくって行く。新しいデザインやスタイルのもとがつくられていくと思っている。
[ 南雲勝志/ ナグモデザイン事務所 ]
   
   
   
 
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