「杉コレクション2008」 報告
 

行政から観る杉コレクション

文/ 田中浩史 写真/ 杉コレ2008事務局
 
 

先ず、関係者の皆様、大変ご苦労さまでした。そして、ありがとうございました。
おかげをもちまして、「杉コレクション2008in日向」も大盛況のうちに終了することができました。

   
  申し遅れましたが、昨年「南のスギダラ」の全まち会議2007大賞受賞パーティーでスギダラの世界にデビューさせてもらった県の☆☆(二つ星?)こと、田中浩史です。
参照→http://miyadara.exblog.jp/m2007-08-01/
   
 

昨年4月に前任者の外山君の後任として、主に県産材の需要拡大に関する普及啓発業務を生業としています。前任者から中身の濃い、奥の深い引継書を渡されてから早ッ、2回もの杉コレクションを担当させていただきました。(企画や予算化等に苦労し、実施運営できなかった外山君には申し訳なく思っています。)

   
  これまで宮崎県木材青壮年会連合会(以下、木青会)の自主事業だった「杉コレクション」は、平成19年度から県の「木づかい啓発キャンペーン事業」の一環である木づかいイベント「宮崎やまんかん祭り」のメインイベントとして、公的支援を受けることとなりました。
「杉コレ」の県の事業としての位置づけは、単なるイベントで終わらせないこと、公的財源等がなくても自立できる、独り立ちできるイベントに育てることであり、今もそう思い込みながら携わっています。
事業を進める上で感じたのは、前出の苦労人、事務局の八木さんも述べていますが、大勢の人々、団体、組織の協力や努力がないとできないという事です。特に、このイベントは正にそこがスギ、いやツボであると思っています。
   
  昨年の「杉コレクション2007in都城」は、県が関わる事業として初めての杉コレでしたが、県内最大の木青会の都城地区木青会が、南雲さんも驚きのラストスパートで、大盛況のうちに終わらせました。(持永実行委員長を中心に会団員の血と汗と涙の努力の結実だと改めて感謝する次第です。)
そして、都城が終わって、次の日向での開催を考えたとき、スタッフも予算も大幅に少なくなる中、果たしてどこまでできるのだろうかと心配したのは嘘ではありません。
  幸い?なことに、自分の中では、実行委員長はどうせ経験者(発案者の方が適切でしょうか?)の海野さんがなってくれるから、なんとかなるだろうとB型の楽観杉的な考え方が芽生えていました。
今年4月、早々に実施体制を整えて取りかかろうと、事務局と作成した実行委員会組織図案を提示するも中々固まらず、八木さんと一緒に焦り始めました。(こちらとしては、早く実施体制等を明確にして、少しづつ形あるものに仕上げていきたかったのでした。)
   
 
 

未完の実行委員会組織図。日向木の芽会には必要なかった!? (クリックするとPDFがダウンロードできます)

   
 

昨年、都城では5月上旬には実行委員会が開催され、準備が進められましたが、日向では新たな試みとして林業研究グループ等の森林・林業関係者の参画も検討され、7月下旬に初めて関係者が集まりました(既に2ヶ月遅れ)が、そこで決まるはずの実行委員長も決まらず、こちらが考えていたことが何も形になりません。ホントに大丈夫やろうか、とマジで心配になっていました。作品の募集・告知、ポスター・DM配布も前年より遅れ、超スロースタートとなってしまいました。

   
 

にも関わらず10月19日、無事に、しかも盛況の内に「宮崎やまんかん祭り」の閉会宣言を迎えていました。(言わずと、これも紆余曲折ありましたが、最終的に実行委員長に収まっていただいた海野さんを中心とした日向木の芽会や木青会のスタッフの努力の賜です。謝謝!!)

   
   
  8月以降は、頻繁に実行委員会が開催されました。(手前が筆者)   安堵の表情で閉会を宣言する海野実行委員長(ご苦労様でした)
   
  この良好な結果も先のツボがあったからこそと改めて感じさせられました。スギダラの皆さんによって敷設された企画(レール)を、木青会や事務局を中心とした実働スタッフ(機関車)が、公的財源や協賛金等の資金(燃料)で前進していく。これらの鉄道的システムを繋げていたのが各々が持っていた「杉コレ」に対する熱スギる情熱や思いだったのでしょう。これも生産量日本一のスギをキーワードにした、人づくり、街づくりに起源をもつ「杉コレ」ならではのことと思います。
   
  行政担当者の建前としては、事務局等の事業進捗を管理しておけば良いのですが、融通が利かない行政上の事務手続や規則の中で、如何にして実働スタッフの自由な発想や思いを具現化することができるか、本音と建前を使い分け、無い知恵をしぼりながら後方支援に努めてきたつもりです。
行政的には、成功させて当たり前が評価であり、費用対効果も求められます。イベント実施後には、何らかの成果を残していかなければならなりません。県民に対する県産材利用の普及啓発はもちろんのこと、このイベントに携わった皆さんに何か少しでもメリットが残らなければならない、感じてもらわなければいけません。
そういう意味では、一部の作品の製品化が検討されるなど、次のステップに道筋をつけられたことは大きな成果です。これを積み重ねることにより、スギという素材をもっと知って、もっと活かしてもらうことが需要拡大の一助になるものと期待しています。
   
  そして、今、飫肥林業発祥の地である日南で、次回「杉コレクション2009in日南」の開催に向けての仕掛けが始まっています。
自分自身、人事異動等を考えても、次回までは直接的に携われると思うので、行政の立場から皆様と連携を図り、出来うる限りサポートをさせていただく所存です。
皆様方におかれましても、引き続き「杉コレクション」へのご支援とご協力をお願いいたしまして筆を置かせていただきます。
   
   
   
   
  ●<たなか・こうじ> 宮崎県庁;林業技師 
 
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