「杉コレクション2008」 報告
 

作品「ココでなにする?」 グランプリ受賞

文/写真 鈴木暁子
 
  私たちがこの“杉コレクション2008”に応募した動機は、昨年の杉コレクションで入賞された平井充さん(ぐるりんの制作者)から「杉コレでは提案した案を実物として作ってもらうことができて、コンペ自体が面白いよ。」と聞いていて、大変興味を持ったからです。
   
  私たちの「ココでなにする?」は、コの字形に組んだ角材を連続させ、徐々に高さを変えていき、所々ランダムに孔を入れるという形です。これは単純な形で、用途を限定せず、みなさんのアイデアで自由に使ってもらうという提案です。
   
 
  一次審査に提出した1/10模型
  今回のテーマは、「杉でつくる幸せ空間」ですので、「笑顔が集まる場所」となる道具であり、子供から大人まで皆が、思い思いに利用して欲しいという想いでスタートしたものです。
   
  一次審査で提案した形状では、最終審査当日はステージの上に持ち上げてプレゼンテーションを行うため、スケールが問題となり、ダウンサイジングを余儀なくされました。当初からあるコンセプトをブラさないことが重要であり、小さくなることでインパクトが薄れてしまわないように、形状の再検討を行いました。当初のサイズより縮小し制作に取りかかりました。一つのユニットが完成したころ、制作を担当してくださった成崎さんから「ただ単に高さを変化させるだけではく、天板にも傾斜を与えてみたらより面白くなりそうです」と提案され、さらに自由度への大きな進展を遂げることができました。今までフラットだった天板がうねるような動きを持つことになり、そのうねりが「ココでなにする?」に躍動感を与えてくれました。
   
  宮崎に来て出来上がった作品を見たとたん、一気にテンションが上がりましたが、次の日からのやまんかん祭りで一般公開されるにあたり、「本当に人が集まって来てくれるのだろうか?」そんな不安がたえず気持ちの中にありました。私たちは自分の考えた構想が実現したことがほぼ初めての経験であり、その先どうなるのかまったく見当がつかなかったからです。しかしそんな不安もすぐに消えていきした。一日中子供たちが集まり、中に入って遊んだり、登って上を駆け回ったり、とても楽しそうに遊んでいる姿を見ることが出来たからです。子供たちだけでなく大人の方々も、座って休憩されていました。さらに遊んでいた子供たちと高校生の女の子たちが一緒になって遊んでいる姿を見て、知らない人との交流を持つことができると「ココでなにする?」は計りきれない可能性を秘めていると感じました。
   
 
  子供たちが上に乗って遊ぶ。自然と、靴を脱いで上がる。これも作品の力の一つ。
 
  中に入って遊ぶ子供たち。
 
  高校生と子供たちが一緒になって遊ぶ。
   
  そして審査となり、プレゼンを終えて待つことしばらく、私たちは経験も浅くやはり無理なのかと諦めかけていたところ、グランプリという信じがたい最高の賞を頂くことになりました。これは私たちだけではなく、ひとえに担当して下さったスタッフのみなさま、制作して下さったみなさま方の力があったからです。私達のワガママとも言える変更や無理難題に真摯に答えてくださった成崎さん、黒木さん、はじめ青壮年会や関係者のみなさまに感謝を申し上げます。
   
  私たちが提案した「ココでなにする?」は、幸せな空間をつくるというものでしたが、一番幸せだったのは、実は私たち自身だったと思います。また、この杉コレクション2008を通して、さまざまな人々と知り合い、見聞を広げることができ、とても貴重な経験ができました。本当にありがとうございました。
   
 
   
   
   
   
  ●<すずき・あきこ> 杉コレクション2008 グランプリ受賞
 
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