小特集2 杉と子ども

親も子も、杉に育まれて・・・
文・写真/ 内田みえ
 
 
 

過ぎてしまうと、本当にあっと言う間ですね。我が杉姫が生まれてから、もう1年半近く経とうとしています。スギダラ会員としては、お腹の中にいる時から、子どもに杉とどう関わらせるか、考えていたりして。

まず、その手初めとしてやってみたのが、杉染めです。杉染めの産着を着せてみたいと、かなーりお腹がでかくなった頃、のりすけさん指導のもと、数日かけてやってみたのでした(杉染めの詳細に関してはまた後日)。ところが・・・。染め上がった産着は、薄赤茶に染まったものの、布がごわごわになってしまったのです。その原因は、なんと上等な豆乳を使ったこと、らしい。動物性タンパク質のシルクなら必要ないそうですが、産着が綿だったのでよく染まるよう、杉皮を煮出した液につける前に、布をタンパク質を多く含んだ豆乳につけて乾かしておいたのですが、その豆乳が近所の豆腐屋さんで買った高級な濃?い豆乳だったため、色はしっかりついたものの、布自体がたんぱく質で硬くなってしまったらしいのですね。せっかく高い豆乳を買ったのに〜(泣)。なんどか洗ってみたものの、もとのような柔らかさには戻らず・・・。結局、子どもには着せられなかったのでした。でも、きっときっと杉染め体験はいい胎教になったはず! 杉皮をぐつぐつ・・・、楽しい作業でした。

   
 
杉染
 
のりすけさんが調達してくれた新鮮?な杉皮をぐつぐつ煮込んで染める液をつくった。
   
 

さて、そんなこんなで無事生まれると、なんとスギダラ仲間からお祝いに、南部桶正さんの杉桶をいただきました。うれしい〜。実家に戻っての1カ月。杉姫は毎日キッチンでおばあちゃんに、この杉桶でお風呂に入れてもらいました。杉の香りが漂い、杉姫も気持ちよさそう。慣れてくると、姫は桶の内側を足で触ったりけったりしてました。きっとその足裏の感触や嗅いだ香りは、彼女の中に何かを芽生えさせたのではないかな、なんて、スギダラ人間としては強引に思いこんだり。

   
 
杉風呂
 
南部桶正さんの杉桶で、気持ちよさそう。小さかったね〜。
   
 

そして、5カ月となった真夏には、その杉桶で行水を。ぜんぜん水を怖がらす、ほげ〜っとなんとも気持ちよさそうな表情。姫というよりも小原庄助さんって感じですね。

   
 
行水1
   
 
行水2
 
さんさんと降り注ぐ太陽の下、オヤジのような表情ですな。
   
 

どんどん回りのことに興味を持ち始めてきた6,7カ月ぐらいになって、今度は杉の積み木を持たせてみました。すると、びっくり。いきなりしっかり持って、かじり始めたではあ〜りませんか。さすが杉の子!と、私も親バカ振りを発揮。杉はとても軽いから、赤ちゃんでも軽々と持てたのですね。しかも、柔らかくて香りもいい。無塗装なので、口に入れても安心。この積み木は、鳥取県智頭のサカモトさんからいただいたものでした。

   
 
積み木1
 

慎重にそ?っと積む杉姫。まるで積み木職人?!

 
積み木2
 

サカモトから製品化されている積み木。杉箱のフタには名前と生年月日を入れてくれます。

   
 

積み木の遊び方も成長に従って変化し、1歳3カ月には、自分の背の高さまで積み上げるようになった杉姫。高く積むことがしばらく彼女のマイブームで、朝起きると積み上げ作業が始まるのでした。

このたった1年半の間、無意識に少しずつ杉と触れ合ってきた彼女。これからの人生どんな杉との出会いが待っているのでしょうね。私も一緒に、杉のある子育てを楽しんでいきたいと思います。

   
   
   
   
 

●<うちだ・みえ>編集者
インテリア雑誌の編集に携わり、03年フリーランスの編集者に。建築からインテリア、プロダクトまでさまざまな分野のデザイン、ものづくりに興味を持ち、編集・ライティングを手がけている。

   
   
 
 Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved