小特集2 杉と子ども

息子につくる杉道具
文・写真/ 溝口伸弥
 
 
 

自分の子供には、杉のおもちゃをたくさん作ってあげよう、と思っていた。
木工をしているので漠然とそう思っていた。
だけど息子を観察するうちにそんな気持ちが変わってきた。
まだ1歳にもならない息子はおもちゃと他のものとの区別がないようで、どんなものにも興味を持って触りまくる。
畳のぽりぽり、壁と戸のバンバン、新聞紙のカサカサ、布団のふわふわ、のびのび、くるくる、すべすべ・・・。
特にペットボトルは蓋のギザギザをなめて、キラキラ輝く中身のお茶を眺めたり、振ってシャカシャカ、たたいてポンポン。これは楽しそうだ。
感覚をどんどん広げていくのがほんとに嬉しそうだ。あれはダメ、これはダメとなるべく言いたくない。
おもちゃづくりの難しさもわかったし、無理に杉でつくり与えなくても・・・。
思う存分遊べる杉おもちゃはゆっくり考えていこうと思った。

結局、息子に作ったのは実用杉道具だ。
たくさん集まった子供服の置き場に困ってつくった収納箱。
なんでもかんでもなめるので白木のおしゃぶり。
動き回るようになったので作った柵。
必要にせまられて、その場にあわせて、息子にあわせてつくった。
これからも、なにか要望があれば、杉でよければ、つくりますよ。お母さん。

   
 
 

「杉箱」 引っ越したばかりなのでただ積み上げただけの状態です。しまった衣服には杉の香りがつくという特典つき。

 
 

「柵」 つかまり立ちの練習にも役立っています。

   
   
   
   
   
   
 

●<みぞぐち・しんや> 杉の木クラフト http://www.suginokicraft.com

   
   
 
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