特集 杉コレ in 都城

 
いち県庁職員が思い込んでいる杉コレ
文・写真/外山 賢
 
 

 

 皆様、初めまして、宮崎県庁に在籍しております、外山賢(とやまけん)です。別に富山県にゆかりがある訳ではありません。
 名前のことは置いといて、林業技師として平穏無事な公務員生活を送ってきた私ですが、南雲さんや海野さんという悪い仲間(?)と付き合うようになった結果、都城での都城劇場(景観デザインでのスギ利活用に関するワークショップ)や杉コレクションの開催へと関わることができました。
 今回は、その課程を通じて、私の杉コレに込めた思い込みを書かせていただきます。
 杉コレ第一回目の日向、第二回目の宮崎での取り組みを横目で見ていた(直接の担当者ではなかったので……)私は、大変そうだけど、やっている人たちは何だか楽しそうだな〜という印象を持っていました。参加メンバーも大学の先生あり、プロダクトデザイナーあり、都市景観の専門家ありと何か木材とは関係ない人たちも混ざってすごそうなことをやってるな〜、僕も何か一緒に面白いことがしたいな〜と思っていました。
 そんな時に、杉コレを平成19年度新規事業として取り組む企画(決して、自分で仕掛けた訳ではありませんが……)が持ち上がり、ラッキーにも私が担当することになりました。
 早速、木青会(宮崎県木材青壮年会連合会)の人たちに会い、南雲さんにも会い、事業の方向性や都城で杉コレを開催することについて、いろいろ相談し進めていきました。僕の中では、日向で取り組まれた富高小学校(移動式夢空間)から杉コレまでの地域と一体感のある取り組みが、目指すイメージとなっており、「杉コレとは、単なる杉を使ったデザインコンテストではなく、杉のことが地域に理解され、杉を通じて、人と人とが通じ合うことのできるイベントにしていくべきだ!」と思い込んでいました。しかし、いざ進め始めると、僕自身が杉コレの開催地である都城のことを、都城の街づくりのことを、都城の人たちのことを何も知らないことに気付かされました。(もっとしっかりしろ自分!!)このままでは、杉コレは、絶対うまくいかないと思い、まずは、都城を舞台に都城の人たちを集めて何かしなくては!とまたまた思い込みで取り組んだワークショップが都城劇場です。

 

   

 

ワークショップ、都城劇場。

 

 

ワークショップでつくった杉芝居も今回のイベントで活躍した。

 

 これがまた自転車操業もいいところで、思い立ったのが、平成18年12月、出口先生や吉武先生、辻さんに相談し、年明けの平成19年2月24日にやっと第一回目のワークショップ開催に漕ぎつけました。でも、結果は最悪の大失敗に……、人と人とをつなぐことの難しさを痛感しました。このピンチに登場したのが、宮田若奈さんです。若奈さんという強力な助っ人の御陰で、南雲さんをノリノリにすることに成功し、みんなで子供達と大きな紙芝居を作り上げることができました。若奈さんが子供達のために、「大きな紙芝居が欲 しい。」と言ったのをきっかけに、地元の木材屋さんと家具屋さんが知恵を出し合い、わずか2週間ですごく良いモノを作り上げることができました。組み立ては子供達と一緒に子供達の喜ぶ顔を見ながら行うことができ、まさに人と人とがつながり、みんなの心と心を通い合わせることのできた取り組みとなりました。この気持ちを大事にすれば、杉コレもきっとすばらしいイベントになると確信しました。
 私自身は、4月に異動したため、その後の杉コレには、直接的なお手伝いが出来ませんでしたが、本番の杉コレは、本当にみんな苦労しながらも、参加したみんなが心を通わせることの出来たすばらしい取り組みとなり、大成功だったと思います。森さん、持永さん、若松さん、大西さん、都城木青会の皆さん、本当にすばらしかったです。感動しました。
 杉コレとは、単なる杉のデザインコンテストではなく、杉のことが地域に理解され、杉を通じて人と人とが通じ合うことのできるイベントです。いやイベントというよりも、杉を媒体とした人と人との思いのつながりネットワークなのだと思います。
 そこで出会った人たちとは、きっとまた一緒に面白いことがしたくなります。

 杉コレ、次は日向です。皆さん、また、がんばりましょうね!



  ●<とやま・けん>(宮崎県庁;林業技師)
 


   
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