連載

 

スギダラな人々探訪/第24回 三好直樹さんの巻

文/ 千代田健一

杉を愛してやまない人びとを、日本各地に訪ねます。どんな杉好きが待ち受けているでしょう。

 
 

今回のスギダラな人々探訪は、会員番号611 熊本県天草にお住まいの三好直樹さんをご紹介します。
三好さんからは時折、携帯メールでお便りをいただいてて、何度かやり取りをする中で三好さんが持っているすごい構想「○九州○小中○大楽好○」に触れさせていただきました。振り仮名じゃないですが、九州焼酎大学校と書くと読めますね。もちろん、焼酎の製造や販売を学ぶための学校ではありません。その構想はあまりにも壮大で、この紙面で解説するのは難しいので、三好さんの企画書の冒頭だけ転記します。

   
   
  みんなで、みんなの、みんなが ○九州○小中○大楽好○を創ろう!
決して「九州焼酎大好き」ではありませぬ。ご注意くださいませ。似たようなモン?かも?
 
思いついたヒト:三好直樹
 

九州の外の日本人が[九州]と聞いて、何を連想するでしょうか?
たぶん多くの人が[温泉]と[焼酎]を思い浮かべる、のではないでしょうか?(わたしは岡山県倉敷市の出身です。)九州には名湯・秘湯がたくさん在ります。旨い[焼酎]も各地に在ります。さらに地方色豊かな[旨いモノ]の数々。これらを[入り口]に据えてDEEPでCOREな「グリーンツーリズム」を構築し、新しい「コミュニティ・ビジネス」を立ち上げる。というのは如何でしょうか?
今年の1月に仕事の帰り、自転車をこぎながら「このまま天草におってもショーがねーで。芽が出りゃーせんで。人吉・球磨じゃったら焼酎と温泉があるし。酒池肉林じゃが。わしゃーミヨシじゃけえフタツ勝っとる。」という妄想がソモソモの始まり。
「JR倉敷駅のわりと近くに[うどん大学]というのがあるがァ。[焼酎大学]ゆうたりしたらちょっとはやらんでェ。[焼酎]は[小中]にしようで。[大学]を[大楽]に。「楽をする、のが好き」で【大楽好】にしたらカッコeじゃん。
「だいがく」だからお勉強をします。ハナから[界隈集落]とか[中間山地]のおかれている厳しい状況を取り上げると楽しくないので、楽しい話題から入ります。
単に<飲んで、食べて、楽しむ>(鯨飲馬食)のではなく、地元地域の人材/資源/歴史/風土/伝統文化などを鑑みて、幅広いカリキュラム(講座、コース、ワークショップなど)を策定し、参加者を募ります。会場、宿泊場所などは既存の施設を利用します。例えば、公民館/地域交流センター/統廃合で廃校となった小中学校/温泉宿/民泊。
九州全域に数ヶ所/数十ヶ所の分校をつくり、分校全体でホームページを構築し、情報発信します。非・中央集権で各分校が自立/自律しながら、また連携し、刺激しあって活動してゆきます。講師/インストラクターは地域の名人、達人、哲人、鉄人を幅広く登用します。経費が少なくて済みます。臨時収入にもなるし。メデタシ*2。
分校は地元JA、森林組合、商工会、観光協会、NPO、行政、公民館などの協働で運営します。(これで核融合反応が起こる、かも。臨界点を超えろ!)

  分校同士の交流も。参加者を[温泉と焼酎と旨いモン]で釣る。テーマによっては参加者で腕に覚えがあるヒトに非常勤講師/非常識講師になってもらう。二ヶ月に一度開催し、三回、四回で1クールにしてリピーターを確保する。[地域通過のポイント/マイレッジ]がたまるようにする。とかアイデアは泉の如し。 談論風発 才気煥発 百家争鳴 《学ぶ楽しさ 教える愉しさ 語り合う悦しさ》 今夜は還さない。熱い夜をアナタと。
   
   
 

この[○九州○小中○大楽好○]の設立企画書の冒頭の部分だけご紹介しましたが、この構想の主旨、何となくおわかりいただけたでしょうか?
企画書全体を読むにはあまりにも膨大な量なので、ここでご紹介することはできませんが、スギダラの中でやってることとシンクロしているところがあるんじゃないかとボクは思いました。宮崎支部の吉武先生が高千穂の秋元でやってるワークショップは三好さんの構想の実戦版だと言えます。
だいがくだから[楽分](学部)、[楽佳/楽嘉/楽可・・・](学科)があります。《楽を分ける》でガクブ・・・スギダラで言うところの支部、出張所ですね。ということはスギダラも大学みたいなもんかな? 大楽であることは間違いないですね。
読めば読むほど、本気なのか冗談なのか分からなくなってきますが、地方都市のこれからを真剣に本気で考えてるまっとうでおもしろおかしい方だと推察いたしました。まだ、お会いしたことないですが、是非お会いして語り合ってみたいと思います。「今夜は還さない。熱い夜をアナタと」って言うのもスギダラに合ってますしね。(笑)

その三好さんから、杉にまつわるアイデアが送られてきましたのでご紹介し、読者の皆様のご意見を聞いてみたいと思います。

 

題して「カーボン・ナノチューブならぬスギ・チューブによるシェルター」

   
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  驚異の新素材として色んな分野で研究が進められているカーボン・ナノチューブですが、その圧倒的に強い構造は0.3mmの直径のチューブで1トンの重さを吊れるほどだとか。このスギ・チューブもそのチューブ構造のものすごい丈夫さに着目した構造体ですね。
   
 

三好さんからのメッセージ
「このアイデアは如何でしょうか? 内装もスギダラケですぜ、お客さん。
余談ですが、スギダラケのようなNPOで杉良太郎 スギヨシタロウというのがあるらしい。類似品にご注意ください。笑っちゃいました。
スギダラケの会員で木造建築の構造、工法に詳しいヒトに尋ねてみてください。私のアイデアはイケるかどうか? 仕口がちと問題でしょうか? 神はディティールに宿る。(私のキライなフレーズです)
フリーハンドの1/100の絵ではなかなか理解できないでしょうから、1/50とかのを作りました。

   
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数ヶ月前にA3版の1oの方眼紙買っていたので、だんだん深みにはまっております。ここ10年くらいは建築の仕事を離れているので、さらに、私は木造建築にウトイ!のです。特に日本の伝統工法とか。
こないだ仕事が午前中で終わったので、図書館でインターネットしました。スギダラのリンクに日向○○○へ、そのリンクに川口衛構造事務所があったので、覗くと、アーら大変?! なんじゃ?!こりゃァ。川口先生のポートレイトがあって、お歳を召されていないです。ちょっと子供みたいなところがあって、発想とかが違うのです。
小学館の月刊ビーパルに接触してみないですか? スギダラのバイブレーションはビーパルの編集者にウケル、と思います。1/3くらいの読者にウケルのではないか。
建築の仕事から10数年間離れておるので、アラ捜しはしないようにしてネ。優しくしてネ。[神はディティールに宿る]のだから・・・」

   
   
  そう、実は三好さん、スギダラでは有名な内藤廣さん設計のJR日向市駅の構造設計を担当された川口先生のところにいらっしゃったとの事。やはり、スギダラはどこかで繋がっている。そんな縁もあり、三好さんのスギ・チューブをここでご紹介しようと思ったのです。
   
 

で、私の私見・・・
現在でもこのスギ・チューブと同じような構造を持ったシステムユニット製品がありますね。よく展示会で大きなブースを構成しているアルミ製の正にチューブ状構造物を見かけることがあると思います。
(こんなヤツ→http://www.just-time.co.jp/ev_item/truss_top.html

  軽量で丈夫な構造体なので、大スパンを飛ばすのに適したユニットです。このアルミトラスと同じような構造体を杉で作ったら?というアイデアですが、杉でやるからには長さにやや制限があるも実際作ったら、期待通りの強度がでるような気がします。問題はこのスギ・チューブをコネクトしてゆく方法だと思いました。優れた職人、大工による加工・組み立て技術があれば問題ないのでしょうが、施工コストがかさみそうです。例えばうまい金物のコネクターがあって、素人レベルでも組み立てが可能であれば、色んなところで使えるかもしれません。このアイデアを見てボクは今年の杉コレクションに応募してもらえば良かったと思いました。
  読者の皆様は、いかがでしょう? 木造建築に詳しい方々、編集部までご意見をいただけると三好さんも大喜びで即実行に移されるかも・・・
   
 

スギダラには冗談からスギ、という言葉がありますが、三好さんもそんなノリの人だと思います。いや、スギダラのノリの方が上回って、このスギ・チューブ先に作ってしまうかも知れませんよ、三好さん?

 

それと、○九州○小中○大楽好○の[杉楽分]はスギダラで担当しましょうかね。九州地区の皆様いかがですか?(ち)

   
   
   
   
   
   
 
●<ちよだ・けんいち>インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 テクニカルデザインセンター所属。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部広報宣伝部長
   
 


   
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