特別連作A

 

スギダラな一生/第5笑 今回は若杉さんと連作です!

文/ 袴田彩子
 
 
 

「行け、袴田」を受けて

キャッシーこと袴田、いや袴田ことキャッシーです。

スギダラをはじめとした若杉組での3年間の生活(修行)を一段落し、地元浜松で一旗揚げてやろうとしているところです。

思えば3年はあっという間で、ほとんど記憶に残っていません。
特に若杉組に入った頃の記憶は、ほとんどありません。覚えているのは自分のやることなすこと、よかれと思ってしたことがみんな役に立たない。そんな日々だけです。一番ひどいのは、突如わいてくるチーム作業(荷物運びとか)をエスケープしていた・・・らしいのですが、はっきり言って自分が参加するものという認識すらなかったので、エスケープした自覚もないありさまでした。
それでも役に立ちたいなあー だってここにいる意味がないじゃん と思い、口だけは「デザインやりたいです」とか「企画たてます」とか言うのですが、要するに体が動かないからまず口にしてやる気を演出してみる、でも実体はないから口先だけで終了、というのが私のパターンでした。
尊敬する親分たちの役に立ちたい!・・のに何にもできない。怒られるし、怒っている時間を割いてもらうのすら申し訳ない・・・どうしよう・・・と毎日家に着いては泣いていました。最後にはどうしようもなくなって、ついに父親に泣きを入れました(1回だけです!)。小さい頃から「勉強ができるよい子」というポジションを必死に守ってきた自分が、親に降参を告げるのは、大げさに言えば絶望でした。

大泣きして父親に電話した前後もよく覚えていないのですが、その後も毎日は普通に過ごしていて、そのうちに「happi 第一回」がやってきました。

仕事といえば、パソコンに向かって資料を作ったり、議事を考えてミーティングしたりということだと思い込んでいた私に、「会場で走り回ってていいよー それが仕事だよー」と言ってもらえたので、もうるんるんになりました。

会社にいるときの「仕事」は、どこが頭だかしっぽだか、どこに向かいたいんだか全く分からなかったのですが、現場では違う!! ナグモさんがKATARI-BARのランプの高さを調整したがってるってことは一目瞭然、いや私がそのランプを持ちますからナグモさんは離れて見て高さを決めてください!!  おっと、会場がホコリだらけ!!これじゃあわくわくして来てくれた人が幻滅しちゃうよね・・・モップモップ・・・ てな感じで、楽しく会期中がすぎていきました。
そして、打ち上げで、なんだか知らないけど猛烈に褒められました。ナグモ親分と若杉さんという大先生が私を褒めてる!! なんで!? 私は自分が楽しくてやりたいように勝手にやってただけなんですけど・・・ハテ?

褒められても、自分の得意分野は結局自覚できなかったんですが、親分たちはどんどこそういう仕事を与えてくれました。こっちも、それが楽だし評判もいいので、もりもりやりました。

若杉親分がよく言うように、自分のことは本当によく分からないなあと、よく分かりました。キャッシーという人間は、頭でどうこうしたいと考えるよりも、本気でやりたいことは勝手に体が動いているヤツだということを、周りから教えてもらいました。今まで、そんなことは知らずに過ごしていました。

もう1つ、自分が何の役にも立たないことがよーく分かった大泣きのあの電話のあとは、自分ができることは些細なこともとにかく全部やろうと思えるようになりました。コピーとか本のスキャンとか、誰かへの連絡とかネットでの調べものとか、変なものの購入(WAKA杉トイレットペーパーやらアヒルの着ぐるみやら)とか・・・親分たちがそんなことで時間を使うのは許せない! そんなものはキャッシーがやります。輝く想いを持つ親分たちは、想いを実現するための本丸築城に全力を傾けて下さい! 誰かができることは私がやります。

そうしたら、なぜだか充実した日々を過ごすことになりました。何にもできないってことは絶望で、もう先はないと思っていたら、何もできない自覚の先に自分ができることが分かったという、思いもよらないことが起きました。

充実した日々では、なぜだか仲間も増えていきました。ほんとに、なんでかは分からないのですが、みんなとても親切にしてくれるのです。みんないい人だなー

幸せな日々の中、でもキャッシーは、このままじゃいかん と思いました。
私の中には、どこまでも郷土への愛があります。Happiでもスギダラでも、地方と中央がほどよく絡んで発展していく、という話が中心だと思うのですが、だったら私は地方側に居たい。そう思いました。地元・天竜杉に詳しくない自分が許せません。天竜杉関係者を一人も知らないし。

キャッシーが体から動くためには、体ごと興味ある場所に突っ込んでいくのが素直なことです。地元の杉、あの土地で生活するということ、今浜松がどんな状況なのかということ。そういったことを自分の言葉で語れるようになりたいと思い、地元に体を移すことにしました。
行動しているうちに全然違うところにたどり着いちゃうかもしれませんが、そんなことを思って、旅立つことにしたわけです。

この3年間で、はっきり言って人格がかわりました。無意識に着ていた制約やら義務感やらから脱皮して、裸族になれたようです。
不毛の時代から見放さず育ててくださったみなさんにはお礼をしようにもしつくせませんが、といっても今後もがっつり関わり合っていくので、お礼というよりも今後ともよろしくお願いします という気持ちでおります。
どうぞよろしくお願いします。

   
 
キャッシー
   
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●<はかまた・さいこ>キャッシー
天竜支部 広報宣伝部長(ただいま準備中)
プライベートブログ:http://timeof.exblog.jp (写真/イラスト/絵/思い)




   
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