連載

 
吉野杉をハラオシしよう!〜“駆け出し”専務の修行日記〜第14回
文/写真 石橋 輝一
鍛え系杉連載。さぁ、吉野中央3代目と一緒に勉強だ!
 
 

こんにちは。連載14回目です。
奈良県吉野より今月も元気いっぱいでお贈りします!

今回は製材所の初夏の風景をご紹介しましょう!

写真は当社の原木置き場です。秋から冬にかけて、大量に積み上げられていた原木置き場は閑散としています。これは春から夏の暑い時期になると、山からの原木の出材量は極端に減少するからです。

春から夏にかけての暑い時期は、木は多量の水を吸い上げており、かなり重いです。搬出コスト、乾燥コストの増加だけでなく、気温・湿度が高い為に木が傷みやすく、出材が減少します。反対に、秋から冬にかけての寒い時期は、木が吸い上げる水分量が少なくなり、木が傷みにくくなる事から、伐採量が増えます。この時期に伐る事を「寒切り」と呼び、伐採に最適な時期とされています。

また、暑い時期には虫が入りやすいという事もあります。
丸太の状態で置いておくと、虫が卵を産み付けにきます。赤味の部分には入らないのですが、白太の部分に虫が孵化した後の跡ができます。製材をしていると、ちょうど虫が孵化して外部に出ようとしている場面に遭遇する事があるくらいです。

 
現在(5月)の原木置き場です。ほとんど木がありません。
 
帯ノコ盤で製材すると、白太の部分から虫が出てきました。ヒゲナガカミキリという種類の虫のようです。体長3mm程度です。
   
 

以上のような理由から、春から夏にかけての時期はできるだけ丸太の状態で置かず、早急に製材をする事が大事です。だから、当社の原木置き場も閑散としているのでした。

この間に注文が入ったら、どうするの!?
という疑問があるかもしれません。

秋から冬にかけて、大量に製材をしたストックを置いてありますので、大丈夫なわけです。

   
   
  杉の桁・梁材のストックです。杉の色合いを大事にしたいので、天然乾燥でじっくり乾かしています。   桧の通し柱のストックです。乾燥した後、ビニールで袋詰めをしています。
       
   
  パンク寸前の倉庫の中です。様々な寸法の注文に対応できるように、いろいろな寸法の半製品として大量に在庫しています。   木口の断面には、その材の情報をラベルやメモ書きをしておきます。在庫管理をしっかりしておかないと、宝の持ち腐れになってしまうので、非常に大事です。
       
   
  春から夏にかけての時期は、木は割れやすく、養生には注意が必要です。これは真っ二つに割れてしまった杉の盤です。とてもきれいな材だったので、残念です!   夏は皮むき機も開店休業状態。秋からのフル稼働に向け、お休み中です。
   
 

5月から6月にかけては、吹き通る風が心地よく、仕事も楽しいです。しかし、これからの7月、8月、9月といった真夏の工場内はまさにサウナ状態。屋外の土場で作業をしていても、地獄の暑さです。体重3キロは確実にダイエットできます。でも仕事終わりのビールが美味しくて、ついつい飲みすぎてしまい、結局は太ってしまうのですが…。

今回は初夏の製材所の様子をリポートしました。
次回からは再び製材所の仕事に迫ります!

つづく

   
   
   
 

 

 
 
  ●<いしばし・てるいち> 吉野杉・吉野桧の製造加工販売「吉野中央木材」3代目(いちおう専務)。杉歴やっと1年。杉マスターを目指し奮闘中!
吉野中央木材ホームページ http://www.homarewood.co.jp
ブログ「吉野木材修行日記」http://blogs.yahoo.co.jp/teruhomarewoodもよろしく!ほぼ毎日更新中です。
   
   
   
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