連載

 
あきた杉歳時記/第8回
文/写真 菅原香織
すぎっち@秋田支部長から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 

連日の真夏日で例年になく猛暑だった秋田も、朝晩はめっきり涼しくなり、やっと秋の気配が近づいて来ました。今回のあきた杉歳時記は、予告通り、8.26日本全国スギダラ同時多発イベント!?能代市ふれあいプラザサンピノで開催された1日限りのオープンカフェの開店までの模様をお伝えしたいと思います。


しかしまあ、7月29日の打合わせのあとの1ケ月もない短い準備期間の中で、よくぞここまで来たなぁって思います。スギダラ本部からの強力な応援はもちろんですが、今回が初めてとは思えないほどの地元のみなさんの対応と連携プレーのたまものだと思います。

「『スギダラに入ったばっかり・に』ではなく,『スギダラに入ったばっかり・で』良くここまで出来た」と語る明杉さんは、現場監督として、関係者への挨拶まわり、注文・購入するものや手配の段取りの確認、責任者の決定、レイアウトの検討などに奔走しました。貴乃杉さんは、作業部長として、潟上市の鉄工所の田中さんに本部からご提供いただいた「傘杉縁台」「立杉連塀」と使用する金物を発注したり、傘杉縁台の杉の加工は能代の相澤銘木の信太さんに、お盆を挟み製作期間も短いところをご協力いただきました。また、二ツ井の材木店の工藤さんが本部から送っていただいた焼酎屋台の図面を参考に立派な「秋田杉屋台」を2台も製作して貸してくれました。こちらも、全く予算がナイにもかかわらず、「うちでもこれからいろいろなイベントで使えるから」と材料を提供、知り合いの家具職人がお盆も休まず、桐タンスを作るのを止めてまで(本当に恐縮です〜)作って下さったそうです。また建具店のコシヤマさんからは、秋田杉の柾目の端材を焼き鳥のお皿用にたくさんご提供いただきました。

さて本番前日の8月25日に、会場にオープンカフェを設置してライトアップしようということになり、午後から今回製作されたスギダラプロダクトの搬入、設置を行いました。この日に合わせて、ヨシモトポールの鈴木さんからはyakitori-bar、本部よりぶんぶくすぎっちんを送っていただき、さらに本部の千代田さんと若杉さん、堂本さんの3人が応援に駆け付けて下さいました。堂本さんは前回紹介した傘杉縁台や立杉連塀の模型製作を担当された内田洋行のスタッフの方です。秋田空港でスギダラセミナー以来、千代田さん、若杉さんとの1ケ月半ぶりの再会を喜びあうのもつかの間、一路能代へ車を走らせました。

実は今回のスギダラファニチャーのデザインですが、いただいた図面通りに作れなかったところがあり、どんな仕上がりになるか不安な点がありました。スギダラデザインの極意として、素のままの杉の魅力を最大限生かすため、使い方、・見せ方には「インパクト」が必要不可欠。そのため、会場レイアウトや長さ、屋台を自分達で組み立てる、などはこだわりたいところもあったのですが、諸般の事情により変更させていただいた部分があったのです…。せっかく模型まで作って下さったのに…でもそんな不安も会場に着くと、いっぺんに吹っ飛びました。なぜならそこには想像以上に素敵なスギダラ空間が出来ていたのです!

サンピノのエントランスのオープンデッキには、すでにぶんぶくすぎっちんとyakitori-barが、梱包を解かれて私たちを迎えてくれました。現場では傘杉縁台と立杉連塀の設置の真っ最中。地元の大工さんたちが応援に来て下さって、着々と作業をしています。会場には、南雲さんから送っていただいた杉太、能代版杉太の「のし太」が2台、杉屋台も2台、傘杉縁台が4台、立杉連塀が1台。新しいスギダラオープンカフェが目の前で生まれる瞬間にワクワクしながら立ち会いました。ライトアップ前に、近所のホームセンターで屋台用のランプを買って来てつけたら、もうこのまま今夜から営業したいぐらいのイイ雰囲気で、明日の本番がますます楽しみになってきました。

 
  快晴の夏空にすっくと伸びる秋田杉

 
 

のし太に座る貴乃杉さん

 
  家具職人の技とこだわりの杉屋台

 
  コンクリートとガラスのエントランスに映えるスギダラファニチャー
 
 
     
 
大工さんたちの手際のよい作業であっというまに杉塀完成。

 

想像以上の空間に笑顔の千代田さん、若杉さん

 
   

電球の灯りが良く似合います。

あとは開店を待つばかり。か-さん、明日来てね!

 作業終了後は、能代の居酒屋「べらぼう」で前夜祭です。スギダラ兄弟に「暑苦しい!」と評される程のパワフルな能登さんを筆頭に、すみれ会の村上さん、本庄さん、名司会のサンピノ施設長の佐藤さん、手這坂活用研究会の大高さんも舌好調。能代名物赤ずし、生岩ガキやジュンサイ鍋、だまこ鍋など地元の料理に舌鼓をうちつつ、前夜祭が大いに盛り上がったのはいうまでもありません。


明日に備えて英気を養いました。名物、ジュンサイ鍋。キリタンポの濃厚なスープとからみ合って美味しかったです!


そして、いよいよサンピノ祭当日。
雲一つない青空で絶好のイベント日和でした。あまりに天気がよすぎて、急遽白テントを建てたり、前日のセッティングと変わったところもありましたが、オープン前からたくさんの人が訪れてくれました。地域のお年寄りの方や子どもたちもみんな興味深そうにスギッチンを見たり傘杉縁台に座ったりしています。

この日のメニューは、すみれ会では野菜カレーと冷やしうどん、ビール(枝豆付き)、コーヒー、カルピス。常盤ときめき隊はフランクフルトと焼き鳥担当。学生の助っ人も来て、炎天下で暑い中、常盤の炭焼窯で作った炭火焼きにYakitori-Barも大活躍!ぶんぶくスギッチンでは防災用の炊飯シートを使ってカレーのご飯を作りました。カレーもうどんも200食限定で開店後は行列ができるほどの大繁盛でした。

 
    まずは火を熾すところからお手伝い。

 

常盤の朝市コーナー

  食券と飲み物用屋台

 
杉太と杉屋台

  オープンカフェのコーナー

 
焼き鳥を待つ子供達。

  新聞記者の取材を受けている若千代兄弟

 
以外と持ちやすい杉の皿

  焼き鳥にはお皿代わりに端材の杉板を利用。極力使い捨てが出ないように工夫しました。

地元紙の北羽新報の朝刊にカラーで記事が載ったり、お昼のNHKニュース秋田版でも放送されて、明杉さん、千代田さん、若杉さんは名刺交換やマスコミ対応に追われ、堂本さん、杉穂さん、わたしはカレーを盛り付けたり皿洗いやらで、目のまわるような忙しさでした。それでもあっという間に閉店時間の午後3時。手際よく撤去・搬出されるスギダラオープンカフェにちょっぴり寂しさも感じたけど、本当に楽しい時間を過ごすことができて感謝感激です。
いつか秋田でもスギダライベントをやりたい!と夢を描いていたことが、たくさんの方々のおかげで実現しました。ここにまた新たなスギダラが取り持つ杉絆が結ばれたんですね。撤収の時に人手が足りなくて千代田さん、若杉さんには力仕事までさせてしまってすみませんでした!でもホントスギダラ本部のみなさんに応援に来ていただいて助かりました〜!反省点は多々ありますが、是非次のイベントに活かしていきたいと思いますので、これからもどうぞヨロスギおつきあいください。

 
防災用品を使ってご飯を炊きました。袋にある「米」の線まで米を入れ、「水」の線まで水を入れるだけ。袋をお湯に入れるとおいしく炊き上がりました。

   
みなさん、おつかれさまでした!


最後に以下、秋田支部のメンバーからコメントをもらったので紹介します。


営業部長 明杉さん:
準備から開催に関わって下さった全ての方々に,深く感謝いたします。会場で楽しんでいって下さった方々,夏野菜カレーに入るべく美味しく育ってくれた常盤の野菜,ちょっと暑すぎたけどピカピカに晴れてくれたお天気にも感謝イッパイです。この企画をやってみようとチャレンジされた,のしろ白神ネットワークの方々にも大感謝です。みなさん,本当にどうも有り難うございました。
●技術部長 貴乃杉さん:
皆さんお疲れ様でした。準備にも片付けにも参加していないのでとても心苦しい身です。しかも、技術部長の肩書きをいただいておきながら、傘杉縁台の寸法を間違えて再加工をお願いする事態が発生するなど反省点が多々ありました。それでも、「納期は一週間、支払いは出世払いでね」という誠に身勝手な注文にも関わらず快く縁台や塀の製作を引き受けていただいた相澤銘木の信太さん田中鉄工の田中さんのおかげでなんとか間に合ってホッとしました。信太さん田中さんには感謝の気持ちでいっぱいです。お二人ともサンピノに足を運んでくれましたが、スギダラデザインに興味を持っていただき、お借りした焼き鳥バーやスギッチンにも製作意欲を持っていただきましたのでこれからが楽しみです。


広報部長 杉穂さん:
スギダラ2兄弟さま+堂本さま、秋田支部の皆様 お疲れ様でした。
何よりもあの場に人々の活き活きとした笑顔があったことが本当に嬉しかったです。日頃はスーツ姿しか見たことがなかった人も、普段着で家族と一緒にきてくれたり、一生懸命手伝ってくれたり、活気に溢れた空気の中、いつもとは違った仲間の表情をみることができました。それが「お祭り」の良さなのでしょう。
月刊杉13号にあるスギダラ次男坊さんの「楽しみを仕事にするんじゃ、ね〜!!そんな事だから仕事を楽しみに、変えられね〜んだ。自分が楽しまねーからスタッフも楽しめね〜んだよ!!」というヤクザ口調気味のフレーズがなぜかずーっと頭から離れない私でした。自分の中の物事を認識するチャンネルを「楽しむ」にしてしまえば、100%自分の時間を生きることができるよなーと単純に思いました。一人ひとりが活動を通してそんな心持ちに近づいていくことができたら、もっと自信を持って大きなテーマに進んで行ける気がします。その第一歩としての今回のイベントが成功に終えられたことは本当に幸先よいスタートとなりました。
皆を引かせる駄洒落と皆を引き込むデザインの力を提供してくれたスギダラ3兄弟の皆さん、パイプ役となってくれたスギッチさん、その他いろいろな場面でサポートしてくれた皆さんに深く感謝いたします。ありがとうございました。

 
  とても天気がよかったのでパラソルの下が人気でした。

 
  前日が一番盛り上がった作業開始前の仮設台所

 
  カレーに入った常盤の野菜たち

 
 


友人の子供(姉妹)が来ていたのでモデルにして写真を撮りました。


   
●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術工芸短期大学 産業デザイン学科 勤務 http://www.amcac.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長



   
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