連載

 

スギダラ家奮闘記/第13回

文・若杉浩一

「スギダラオフィスの広がり(社内編)」  

 
 
みなさん、スギダラ家はもう少しお待ちください。
現在、ショウルーム改装にめがけ仕掛けをやっておりますが、皆さんに報告できるほどには至っておりません。申し訳ございません。
さて、先日秋田からモクネットの加藤さんや、宮崎からは木青連の川上さんや海野さんが上京された。当社に寄ってスギダラオフィスを見て頂き、その後はスギダラバーの「志村や」で盛り上がるというのが定番に成りつつある。やはり当初スギダラ家が、もくろんだ事は合っていた。スギダラケのメンバー、そして色々なジャンルの未来を目指している方々の集う場として、それこそ仲間に合う場所。志やエネルギー感じる場所、そして自らの素材やデザインに出会う場所が必要なのだと実感している。そういった意味では、スギダラ家は、まだ未完成だが、スギダラの精神をもったスギダラ家の分身は既に形を変え実体化している。おまけに先日、宮崎の出口さんときたら、スギダラバー宮崎店を出店したいと言っている始末で、本家本元が出来る前に支店が続々と現れつつある。恐るべしスギダラパワー。うかうかしていられない。

 
 

秋田からやってきたモクネットの加藤さん。

 
  スギダラ定番、スギダラバーの「志村や」。

  さて今回は、我々と一緒に製品開発をしている。若手グループのオフィス、スギダラ化の報告をしたい。
7月の組織変更にともない我々デザイン部隊は引っ越しをした。隣は若手,入社5年以下の60名ほどの、IT技術者の集団である。親分だって42歳の部長!僕より若い。普段は部分的に付き合っているものの、全員とお隣さんになる。引っ越してみると僕らのハチャメチャな自作オフォスと比べると、悲しい、うすら寂しいオフィスである(自社の製品を前にして言うのもなんだが)おまけに暗い、し〜〜〜んとしているそれから比べるとこっちは宴会のようである。
まあ、色々なスタイルがあるので兎や角は言わないが、その内あっちのオフィスは、きれいなのに、こっちは・・・・てな感じに、不公平感が渦巻くのであった。なんだか、やな感じだが、え〜〜いめんどくさいこう成りゃ、まとめて一緒にきれいにしようと、「皆でスギダラオフィス計画」を推進する事にした。
みんな若いし、一緒に休みに作業をして、お昼は女子群のおにぎりを食べる。そして出来上がった姿を皆で喜ぶ、そして大事に使う。これで隣の集団と盛り上がれるぞ〜、う〜ン。かわいこちゃんもいるしモチベーションあがるよなーなんて千代田と勝手に盛り上がっていた。
僕たちは材料を宮崎の川上さんにお願いし、金具を用意し準備万端、我が女子群も炊き出し隊準備完了!!、かくして「スギダラオフィス組み立て祭り」が推進された。
土曜日に組み立てるつもりだったが、予定が詰まっているとのことで急遽日曜日に変更、さあ何人くるんだろう、楽しみだ。若手を捕まえて「結局何人来るんだ?」
しかし僕は、帰って来た答えに気絶しそうになった。「若杉さん、この組み立ては工数は何人工でしょうか?現在6人は準備してますが。休日出勤になるんでしょうか?」である。お祭り、交流会、しかもIT軍団と私たちのイベントに工数?休日出勤? フラフラになりながら親分に聞いたら「僕は子供との約束がありますのですみません」その下の課長に聞くと「それでは課員にヒアリングをしておきます」と、まるで他人事である。部下が解らないのはともかく、上司がこれじゃ話に成らん。遂に体の中から魔物が出てきてしまった。「楽しみを仕事にするんじゃ、ね〜!!そんな事だから仕事を楽しみに、変えられね〜んだ。 自分が楽しまねーからスタッフも楽しめね〜んだよ、何考えてんだ!!」 ついに出てしまった。またやってしまった。し〜んとしてしまった。皆、目を伏せていた。おまけに上司軍は困ってしまった。
こうなりゃ、自分らだけでもやろう。そう思った。

しかし、当日になって事態は一変した。予想とは裏腹にたくさんのメンバー、小さい子供まで連れた課長、過半数とはいえないが、若い、メンバーを中心に20人弱は集まった、女子軍は炊き出しに入った。炊き出しの楽しそうな声と少しづつ組み上がるたびに歓声が上がる。協力をしあい、声を掛け合う、みんな目がキラキラしていた。もう、お昼なんか最高だった女子軍団のおいしそうなおにぎり、そして逸話「お前見かけに寄らず、女の子らしいじゃん!」
みんなでくぎを打つ、男女ペアである。これがスギダラ流。なんでもイベント化する、結構盛り上がるし色々な発見や逸話が誕生する。
そして、予定より早く、しかも見事な自家製スギダラオフィスが誕生した。
スギのいい香り、そしてみんなの自慢げな顔。「またやりてーな」「楽しかったよね〜」そうなのである。考えるよりずっと楽しいのである。
そして感動が繋がって行くのである。小さな感動と発見でいい。しかけ、しかけられて重なって行く。

 
  みんなで一斉に作業に取りかかる。

 
  男も女も一緒だ。

 
  子供だっている。そして女子軍団のおいしそうなおにぎり。

 
  この瞬間がたまらない。みんながひとつになる。

 
  デザートだってあるんだぜー。スイカだらけ、略してスイダラ。

 
  完成した自家製スギダラオフィス

 

最近親分、南雲さんに教えられたことがある。
上崎のプロジェクトでのスギトロッコ。
おそらく大変忙しい中で作った、図面,そしてモデルを見て目が覚めた。
それは、冗談が本物に変わるエネルギーそのものだった。人の垣根を越え勇気と行動を起こさせる力そのものだった。小さい事でも、決して手を抜かない、迫力と純粋さがあった。何事にも、変わらないリズムを教わった感じがした。
このリズムと、毎度毎度の暑苦しい飲み会。最も原始的で力強い活動であり、感動を生む、デザイン行為だと思う。僕らが忘れかけていたデザインがここに存在することを知った。僕も少なからず、実践して行きたいと思った。そして感動の輪にいたいと思った。
最近親分は僕によく「若ちゃん、やっぱ、感動だよ」と言う。その度に「同感!!」
と言わされる。 さあみなさんご一緒に???「同感!!」

 
 

上崎地区、スギトロッコプロジェクト。この秋完成予定。


  ●<わかすぎ・こういち>インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 テクニカルデザインセンターに所属するが、 企業の枠やジャンルの枠にこだわらない活動を行う。
日本全国スギダラケ倶楽部 本部デザイン部長




   
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