特集 第三回スギダラ全国大会 in 吉野
  スギダラとロシナンテス 「若杉さんとの出会い」
文•写真/川原 尚行
   
 
   ロシナンテスは、スーダンと東北で活動するNGO団体ですが、支援者の方々が集まり、ロッシー東京なるものを発足し、イベントをやろうということになりました。その中で、川原と誰かを対談するという企画になり、そこで御大若杉さんとの初めての出会いでした。対談というので、下調べをしようと若杉さんのブログに行き当たり、その中にあったものに、抱腹絶倒する場面がありました。赤ヘルメットをかむり、その他は何もなしで、女子寮の周囲を走るという、あまりにアホな場面であります。私にも同様の経験が多々あるもので、これは面白きことになると、スーダンからこのイベントを楽しみにしていました。 そして、対談当日。
   
 
  マッシュアップ対談をする筆者(左)と若杉さん(右)
   
   いつもの通りに、ぶっつけ本番でした。若杉さんのプレゼンテーションに、この限られた時間の中で、こんなにも多くの写真をここまでも紹介するのか!とくらいの多くの写真を見せつけられ、徐々に若杉さんの世界へと引き込まれたのでした。私もいつも通りにプレゼンを行い、そこで対談ですが、対談というより、それぞれの情熱をぶつける!といった感じになりました。そして、このひとときの対談で終えるのが、もったいなく思え、スギダラ全国大会への参加を表明いたしました。一生懸命にスーダンの患者さんに治療に当たっていると思われるロシナンテスの支援者の皆様、どうも申し訳ございません。私にも遊びの時間をくださいませ。そして、それはスーダンでの活動にも生きていくのですよ。
   
   
  「吉野の地へ」
   
   スギダラ全国大会が吉野であるとのことが、実は私の心を揺さぶったのでした。2005年、私が外務省を辞め、再びスーダンへと向かうときでした。中古のボロ車(今考えれば、これが初代ロッシー号)をスーダンでの巡回診療車にしようと、中を医療機器で満載にし、私の故郷北九州をフェリーで出発して、東京に行く途中でした。東京から私は飛行機で、ロッシー号は船でスーダンに向かうのです。さて、大阪で船を降り、高速道路でのサービスエリアで、観光バスが止まっています。バスの前面に、「吉野千本桜ツアー」と書いてあり、日本の見納めに吉野の千本桜でも見ていくか!とこのバスの後をつけ、吉野へと参ったのです。視覚的な桜の美とともに心情的なものが入り交ざり、私の胸にあるものが刻み込まれました。あれから、9年です。
   
 
  2014年4月1日の吉野の桜
   
   スーダンから関西空港を経て、和歌山の橋本の支援者の方々に送られて、吉野の地へと再び来ることが出来ました。この橋本の方々は、橋本から吉野までサイクリングロードをつくり、そのサイクリングロードの脇を桜で埋め尽くしたいと言っていました。 さて、吉野では桜ではなく、杉に関することの見学です。この社会見学というのは、私を少年のようにいたします。そうです、なんでもかんでも質問したくなるのです。そのうちに、スギワールドの中に引き入れられます。最後の樽つくりの職人さんは特別に印象的でした。
   
 
  地元の木材製造業者(左)と筆者(右)
   
   
  「スギダラメンバーとの懇親会」
   
   その夜は、スギダラメンバーとの懇親会であり、酒を飲めない(飲まない)私ですが、大いに楽しませてもらいました。武骨な若杉さんが、この多種多様なメンバーを惹きつけているのが、よく理解できました。また、スギダラのような集まりが存在することを知ることは、私にとって大きな驚きと共に、新鮮な気持ちになりました。一言でいうと、みな楽しんでいる、それだけです。
  懇親会が、どうまとまるのか、全く訳の分からないままに進んでいくと思いきや、次の全国大会が岡山の西粟倉で開催されるという、良い意味でも「いい加減」に決めていかれ、開催時期も西粟倉が良いという時期に開催ね!という驚愕すべき展開です。そして、次の開催はスーダンで!という声も出され、酔狂なのかどうなのか、酔っていない私には、全くわかりませんでした。しかし、スギの全くないスーダンで行うというのも、スギダラのソウル(魂)であるという若杉さんの言葉に、スーダンでスギダラ全国大会をやるときには、ナイル川でやるかなどと、夢を膨らますのでした。
   
 
  スギダラ全国大会にてスーダンでの活動を紹介する筆者
   
  「スギダラ精神を東北に」
   
   ロシナンテスからスギダラにお願いをしたく存じます。ロシナンテス東北事業部では、健康農業を称して、仮設住宅に住む(住んでいた)高齢者の方々を対象として、畑での共同作業を行っています。健康農業のあとは、みんなでロッシーハウスでの食事を取っていますが、このロッシーハウスでは何とも手狭であります。そこで、健康農業の館を建てたいと思っています。これをスギダラ精神で、建設できないでしょうかというお願いです。資金は、ロシナンテスがある程度まで捻出することは可能です。しかし、それだけでは足りるとも思えず、その不足分は、全国行脚で募金活動をしてでも、立派なスギダラ精神の宿る健康脳病の館を建てたいのです。どうぞ、よろしくお願いいたします。このような依頼をスギダラの方々にして、スーダンからのメッセージといたします。
   
 
  「みんなの家プロジェクト」結成式
   
   
   
   
  ●<かわはら・なおゆき> 特定非営利活動法人ロシナンテス 代表
   
 
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