特集 天草高浜フィールドワーク2013
  チームリーダーの熱きプレゼンでプログラムA最優秀賞獲得!
文/ 橋本 博
     
 
 
  7月13日(土)より7月15日(月・祝)まで、天草高浜地区を会場に「2013高浜フィールドワーク+リデザインワークショップ」が開催されました。私は初めての参加でしたが、参加者の皆さんの熱気にすっかりあてられてしまいまして、数日間は正常な日常生活ができませんでした。特に、全国日本スギダラケ倶楽部(以下スギダラ)の皆さんのアイデア、スキル、パフォーマンス、リーダーシップには圧倒されました。
   
  私は、戦後マンガ第一世とも呼ばれる団塊世代。マンガをこよなく愛し続け、今まで一度もマンガからはなれたことはありません。これまで50年間集めてきたマンガコレクションを元に、熊本にマンガミュージアムを作るために仲間を集め、「NPO法人熊本マンガミュージアム」を立ち上げました。今回のWSに参加したのも、天草にミュージアムの拠点を作れないかと思ったのがきっかけです。
   
  というわけで、WSではミュージアム関連のプログラムを担当しようと始まる前から決めていました。それが「プログラムA  えこみゅぜ!国登録有形文化財上田家を活用、エコミュージアムコア博物館構想」です。このプログラムAでは、昨年も具体的提言を打ち出しており、今年はそれをベースにしてさらに突っ込んだ提言ができるよう知恵を出し合いました。
   
  集まったのはスギダラメンバー、高浜の歴史に詳しい地元のお二人、藤原研究室生、それに私です。ここ高浜は、全国レベルの文化人、経済人である江戸時代の大庄屋 上田宜珍(よしうず)の出身地です。そこでプログラムAでは、様々なメディアを利用して「何が何でもとにかくもっとこの人をプロデュースしよう!」ということになりました。
   
  まずは地元に「高浜ルネッサンスの会」というNPOを立ち上げます。次に宜珍のマンガを出版する、テレビで特番を作る、住民参加型の宜珍祭(ぎちんさい)を企画する、高浜の海岸で最大規模のロケット花火大会を実施する、新しいデザインの高浜焼を作る、上田家の文化財の管理はNPOで行う、などさすがその方面のプロばかり、次々にアイデアが出てきます。私もマンガ的発想でアイデアを出してみました。
   
  最終日に行われた発表会では、地元出身のチームリーダー若杉浩一さんが暑苦しいほど見事なプレゼンを披露。提言内容の具体性とインパクトの強さが評価され、プログラムAは最優秀賞を獲得しました。みんなのチームワークの勝利です。
   
  もともと天草は母の実家だったということもあり、高浜にもよく泳ぎに来ていました。白鶴ヶ浜の高波にもまれ、大江の天主堂に行き、下田温泉に泊まるというのが子どもの頃の定番でした。あれから数十年が経過し、町も人も浜もスッカリ変わっていました。商店街はわずかに当時の面影を残すのみ、役場もなくなり、国民宿舎も消え、少子高齢化がすすんだ高浜の町。正直、あまりの変わりようにショックを隠せませんでした。
   
  しかし、それでも地元の人たちは自分たちの故郷を何とか元気にしたいと頑張っています。定置網漁の復活、地域ブランド品の開発、地産地消への取り組みなどみんな真剣です。しかしこれまで何度か行われたフィールドワークに参加する住民の数は、実はあまり増えてはいないそうです。熱心にフィールドワークに取り組んでいる人たちと、それ以外の人たちとの間には見えない溝さえ感じられました。
   
  でもそれはここ高浜に限ったことではありません。地域を変えるのは最初は少数の人たちの頑張りです。それをどう地域全体に広げていくか、これが今後の課題です。今回のFWを通して高浜にはまだ知られていないお宝が埋もれていることに気づきました。
   
  せっかくここまで地域を引っ張ってきた皆さんの頑張りに応えるためにも、もうしばらく外からの刺激を与え続けて、高浜にルネッサンスをもたらしたいと考えています。というわけで早くも次回の「高浜フィールドワーク+リデザインワークショップ」の構想を練っているところです。皆さん、また来年お会いしましょう。
   
   
 
  藤原先生直筆の参加者名の垂れ。橋本の名前が見えます。
 
  朝市の光景。青シャツが筆者。
 
  懇親会のひとコマ 飲まずに食べてばかり…
 
  後姿だから著作権にはひっかからない(かも…)
 
  見よ!チームリーダーの暑苦しいほどのプレゼンを!
   
   
   
   
   
   
  ●<はしもと・ひろし> NPO法人 熊本マンガミュージアムプロジェクト 代表
   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved