連載
  杉という木材の建築構造への技術利用/第39回
文/写真 田原 賢
  N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編7
 
 
*第33回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編 1
 
*第34回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編2
 
*第35回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編3
  *第36回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編4
 
*第37回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編5
 
*第38回 N値計算法の中の『L』の原理となった柱カウンターウェイト検証実験 前編6
   
  3.実験結果
   
  3−1.測定地点の説明と測定値についての考察 つづき
   
  《ベランダ下隅柱(測定番号No.1)の測定地点と測定状況》
   
 
  梁の優先順位と寸法
   
 
  測定番号No.1の柱の測定位置(変位計1〜3)
   
 
   
  《ベランダ下隅柱(測定番号No.1)を持ち上げたときの測定結果》
   
 
  測定番号No.1のL字型に壁あり(モルタル付き)のときの変位−荷重関係
   
 
  測定番号No.1のL字型に壁なしのときの変位−荷重関係
   
 
   
  《ベランダ下柱(測定番号No.2)の測定地点と測定状況》
   
 
  梁の優先順位と寸法
   
 
  測定番号No.2の柱の測定位置(変位計1〜4)
   
 
   
  《ベランダ下柱(測定番号No.2)を持ち上げたときの測定結果》
   
 
  測定番号No.2の壁あり(モルタル付き)のときの変位−荷重関係
   
 
  測定番号No.2の壁なしのときの変位−荷重関係
   
 
   
  《測定番号No.9の測定地点について》
   
 
  梁の優先順位と寸法
   
 
  測定番号No.9の柱の測定位置(変位計1〜4)
   
 
   
  《ベランダ下柱(測定番号No.9)を持ち上げたときの測定結果》
   
 
  測定番号No.9の壁なしのときの変位−荷重関係
   
 
   
  《測定番号No.1,No.2,No.9のグラフの考察》
   
  ●ベランダ下隅柱(測定番号No.1)について
  壁ありのときの測定については、今回用いた荷重計の最大値が5t程度であったため、荷重4.0t程度で測定を中止している。
よって最大荷重については測定できなかったが、変位−荷重関係の壁ありの場合と壁なしの場合の比較より、モルタルが軸組と密着している場合、耐力壁に作用する力に対する抵抗要素としてモルタルが効いていることが確認できた。(写真15,16)
第1折れ点をみると、壁なしでは0.6t程度であるのに対し、壁ありではその4倍ほどの約2.6tまで達している。
また、壁ありと比べると、壁なしでは変位計2と変位計3の値に差がはっきりと読み取れる。(図3−3,3−4)
これは、変位計2をとりつけた梁は優先梁(柱の上に直接緊結している)であり、柱を持ち上げた際にまず優先梁が持ち上がろうとし、次に優先梁に取り付いている梁が持ち上がろうとすることが考えられる。(図3−1)
   
  ●ベランダ下側柱(測定番号No.2)について
  測定番号No.1と同様、壁ありの場合はモルタルの効果が大きく、最大荷重については測定できなかった。
これは玄関脇の外壁のモルタルがカットされずに構造体に取り付いていた為と思われる。
測定番号No.1と比べると、優先梁に取り付けた変位計2の変位が大きく、柱の持ち上がりと共に梁も持ち上がっていることがわかる。
これは優先梁にはほとんど壁が取り付いていないことが影響していると考えられる。(図3−5,3−7,3−8)
   
  ●内部柱(測定番号No.9)について
  壁ありの測定については柱を持ち上げようとすると、反対に荷重計がめり込む結果となり正確な値を測定できなかった。
壁なしの場合にはこのことを考慮して土台部分に荷重計を設置して測定を行った。(写真42〜45)
グラフより変位計1に続き、変位計4の変位が最も大きく、変位計3については負方向に変位が進んでいることが読み取れる。
変位計4の値が最も大きいのは優先梁に取付けられていることと、 2F部分の真上付近に柱がないことが考えられる。(図3−11)
変位計2が変位計4に比べて変位が小さいのは、変位計2を取り付けている梁(Y方向梁)と交差する方向に上部柱が並んでおり、変位計2の直上付近に 柱が位置することが影響していると考えられる。(図3−9)
また変位計3については、変位計4と同様の梁に取付けられており、以下の図のような効果により梁が下向きに変位したと考えられる。
 
  測定番号No.9の優先梁の変形
  上図のような変形が生じた理由として梁H=150と小さい為、梁の曲げ剛性が低かったことに起因するものと考えられる。
   
   
   
   
  ●<たはら・まさる> 「木構造建築研究所 田原」主宰 http://www4.kcn.ne.jp/~taharakn
   
 
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