特集 天草高浜フィールドワーク2012

  高浜フィールドワークを実施して
文/ 大里 集
 
 
   昨年に引き続き、第2回フィールドワークが7月14日(土)〜16日(月)にかけ開催された。開会式を13時に予定していたが、九州北部を襲った豪雨で飛行機を利用された若杉浩一さん他数名の方が定刻に着いたが、大型バスを利用の大部分の方が通行止め等で大幅に到着が遅れ、翌日参加になってしまった参加者もあり、開会式は19時頃になった。
   
   フィールドワークを共催する側として、ホームステイ先の確保と2日間の昼食準備が一番神経を使う。(地域住民の協力をお願いしてまわり)それらをクリアすれば、受け入れ態勢が整えばホッとする。今回はギリギリまで事務局と駆け回った。
   
   「高浜の再発見と魅力づくり」をキャッチフレーズに少子高齢化で悩む地域を、地元の「宝物」を活用し、元気で活力ある地域導く方法を探る取組みを行った。大学生のほか、一般社会人としてプロデザイナーの方も参加した。最終日には「成果を発表しますので」とのことで、地域住民にも呼びかけを行った。
   
   私が住民に求めたいのは、自分達の地域は自らで作り上げていく「自立の精神」である。これからのまちづくりには一番必要なことであると考える。そのためにも、フィールドワーク等に多くの地域住民に参加してもらい「外部からの視点や感覚」を参考にしながら地域づくりに取り組んでほしいと願っている。今回のフィールドワークでも、参考になる成果が多くあった。それを活かすのは地元の企業であり、住民だと思う。
   
   フィールドワーク実施後の地元新聞に、「高浜ぶどう」特産化・まちづくり研究の大学生栽培アイデア提案、地元の区長「面白いアイデア、ぜひ実現させたい」など、紙面中央に大きく掲載された。今回もテーマを五つに分け、高浜という空間を新しく創りなおそうと試みた。町歩きを行い、高浜の現状を見て、最終日に発表する。3日間で五つのテーマを完成させる。どんなアイデアが出てくるのか興味津々。地元以外の方の顔もあった。発表会に参加した地元の方は「アイデアがすごい」「素晴らしい発表だった」「地元企業が参加していないのが残念」「もっと住民にも参加してもらいたい」「来年もぜひ実施してもらいたい」などの感想が寄せられた。
   
   天草市も合併して7年になる。合併当時10万人超の人口が、現在は9万人。5年間で約7千人が減少し、合併前のひとつの町が消滅したことになる。年間に人口の自然減が650人、高校卒業生の800人が地元を離れていく。まさに少子高齢化の典型である。わが天草町高浜地区も同じで平成19年3月末時点で1,650人の人口が平成24年3月末で1,401人。5年で214人、年間で約43人減少していることになる。
   
   地元の企業も半世紀で大きく様変わりした。ひとつの企業を例にとると、150人いた従業員が50年を経た現在、30名と8割も減少している。高度経済成長政策で人口が一極集中し、都会へと流出。住宅にしても木造から鉄筋コンクリートへ、狭い土地に多くの人がひしめいている。外食産業が発達し食事形態も大きく変わった。家族も親子3代で1家族約10人はいた。今、5〜6人いるか族は少ないと思う。畑も荒れ放題で、杉やヒノキが植えられているが、値段が暴落し、かえって雑木のほうが値上がりしている。
   
 

 こうした背景の中、高浜地区振興会で賑い創出事業として3年間、熊本県の支援を受けて取り組み始めた3つのプロジェクト(青空市・歴史ガイド・高浜ぶどう復活)。

  現在、更なる充実に向け事業を進めている。高浜には先人達が作り上げた文化と産業、素晴らしい自然がまだ残っている。このプロジェクトを進めながら、一次産業に従事するために地元で頑張ってみようと気力ある若者が出てくるのを願っている。日本各地で空き家を改造し、自然農法に取り組む若者が増えている。自然を利用した産業を見直すときが近づいているような気がする。
   
 
  天草フィールドワーク2012開会宣言を読み上げる筆者
   
   
   
   
  ●<おおさと・あつむ> 天草 高浜地区振興会 会長
高浜地区振興会HP: http://hp.amakusa-web.jp/a0591/MyHp/Pub/Default.aspx
   
 
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