連載
  吉野杉をハラオシしよう!〜“駆け出し”専務の修行日記〜第58回
文/写真  石橋輝一
鍛え系杉連載。さぁ、吉野中央3代目と一緒に勉強だ!
 
  「暮らしの道具、募集中!」
   
 
   
  この夏、吉野の文化や風土を愛し、吉野の産業や暮らしをより豊かにしたい、その想いを持った仲間が集まり、「吉野と暮らす会」を結成しました。 「吉野と暮らす会」が中心となり、吉野材を使った暮らしの道具「デザイン」「リ・デザイン」コンペを開催することが決定しました。 かつての吉野林業は、暮らしの道具「樽」の材料(樽丸)を作ることがメインの林業でした。
   
  吉野杉は酒樽の材料として最適とされ、江戸時代から昭和初期にかけて隆盛を誇りました。樽丸は享保年間(1716〜1735)に吉野地方の黒滝で生産が始まり、最盛期は大正7〜8年頃で吉野川流域での生産は10万立方メートルにも達したそうです。記録が残っているは昭和6年で、樽丸181,729丸、1丸が6樽分との事で、実に樽100万個以上! また、この樽丸つくりの際に出る"端材"を利用して出来たのが「割箸」です。明治の初めころに考案されたそうです。木は貴重な素材であり、捨てるという発想は無かったのだと思います。時代の流れの中で、端材は樽丸から建築材(主に柱)に変わりましたが、木を大切に想う心は変わらず、現代まで引き継がれています。 樽、割箸。吉野杉が生んだ暮らしの道具は、多くの日本人の生活を豊かにしてきたのです。
   
 
 
吉野林業の原点は、暮らしの道具「樽」。   樽の側板「樽丸」製造の様子。撮影年代ははっきりしていませんが、大正から昭和初期ではないでしょうか。昔は、伐採現場で樽丸に加工し、乾燥して軽くしてから、山から出材したそうです。
   
  暮らす場、働く場、休む場、交流の場、日々の営みを豊かにできるような木の道具を、今ふたたび、吉野から発信していきたいと考えています。 「デザイン」部門では、吉野杉・吉野桧の特徴である赤身や無節の良さを生かした木の道具のデザインを募集します。商品化を目指して、共に頑張る「暮らすメイト」を募ります。吉野林業の次の百年を一緒にデザインしましょう!
   
  今回のコンペでは「リ・デザイン」部門も設けています。日本はかつて、すばらしい木の文化を持った国でした。木と向き合い、その個性を活かす知恵を持っていました。先人の知恵の結晶を見直すことは、新しいデザインへの第一歩につながると思います。そこで、日本全国に存在する木の道具がふたたび暮らしの道具となるようなアイデアを募集します。
   
 

2012年9月3日から募集開始、10月24日が応募締切です。
2012年10月下旬に一次審査、そして2012年12月16日に最終審査会、表彰式を吉野で開催します。
審査員にはスギダラ本部デザイン部長の若杉浩一さんに加わって頂いています。

   
   
 

コンペの詳細、応募方法などはホームページをご確認ください!
http://yoshinostyle.jp/yoshinotokurasu
(2012年8月27日現在、ホームページを大急ぎで作成中です。もう少しお待ちください!)

   
 

フェイスブックでも随時情報を発信していきます。
http://www.facebook.com/yoshinotokurasu

   
   
  ド木ド木、ワクワク、暮らしに笑顔が溢れるデザイン。 お待ちしております!
   
 
   
吉野中央木材の帯ノコの目立て場。天井に吊るした帯ノコを取るための桧の台座。木の道具は使いこむ程に味わいが増してきます。    
   
  つづく
   
   
   
   
  ●<いしばし・てるいち> 吉野杉・吉野桧の製造加工販売「吉野中央木材」3代目(いちおう専務)。杉歴5年。杉マスターを目指し奮闘中!
吉野中央木材ホームページ: http://www.homarewood.co.jp
ブログ「吉野木材修行日記」: http://blogs.yahoo.co.jp/teruhomarewoodもよろしく!ほぼ毎日更新中です。

『吉野杉のハラオシをしよう!』web単行本: http://www.m-sugi.com/books/books_ishibashi.htm
   
 
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