特集 杉コレクション2011 in 日向
  「杉コレクション2011 in 日向」 最終選考会結果発表
文/写真 下妻賢司
   
 
 
  こんにちは下妻です。
3月11日に発生しました東日本大震災で、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
今回の杉コレで東北に『笑い』と『活力』を届けたいと思います。
   
  杉コレは今年で7回目を迎えました。
栄えある第1回を日向で開催し、宮崎を一巡し、また日向に戻ってまいりました。
昨年大盛況だった『子ども杉コレクション』も今年開催され、更に盛り上がった『杉コレクション2011in日向』の審査結果を報告します!
   
  私事ですが、日向市駅は話と画像では知っていて、いつか絶対に行きたいと思っていた場所でした。
今回初めて目の当たりにして、杉、杉、杉、ほんとにスギダラケの駅で感激しました。
皆様にもこの感動をお届けしたいと思います。まずは、日向市駅の画像をとくとご覧ください。
 
 
 
  杉コレ2011in 日向の最終選考会の会場となった日向市駅。駅舎の設計は内藤廣建築設計事務所。ホームに置かれているベンチ(写真下右)は、杉コレ第1回グランプリ受賞、狩野新さんデザインの「ナミキの椅子」。
   
 
   
   
  杉コレクション2011 in 日向 最終選考会審査結果
   
   
  ★★グランプリ
  『お尻合いイス』 / 山内成津子さん(宮崎市臨時職員)
 
  山内さんの1歳になる娘さんのお尻を見て思いついたそうです。ビックリするくらいシンプルなデザイン案から、制作者との打ち合わせを重ねこの絶妙なラインが完成しました。
グランプリ受賞時、言葉が出ないほど喜んでいた姿(涙ボロボロ)も、とても印象的でした。おめでとうございます!
 
   
  左下:プレゼン中はとても楽しそうに話していた山内さん。右下:審査員の津高さん(JR九州)
   
   
  ★内田洋行賞
  『遠藤さん家のイス』
黒木栞さん・小川紀子さん・小田まりあさん(宮崎県立日向工業高等学校建築科1年 3人娘!)
 
  日向の若き建築家3人娘。コンセプトは『えんどう豆』をイメージしていたようですが、出来上がったものは『そら豆』!? しかし、色味やフォルムは大満足のようでした。
受賞時のコメントで「次はグランプリを獲る!!」と言ってました。
この力強さに日向の明るい未来を垣間見ました。
  校長先生も喜んでました。
 
   
  左下:3人娘に突っ込む司会の千代田さん。右下:校長先生も応援メッセージ。
   
   
  ★コンフォルト賞
  『低スギあぐら椅子』 / 高見沢仁志さん・原 章さん(学生)
 
  昨年に続き2度目の受賞。人のお尻に合うように微妙に凹んだ座面がこだわりのようです。
作業工程をお聞きしたところあの座面は職人泣かせです。しかも7脚も。。。
デザイナーのこだわりと、職人の意地の結晶『低スギあぐら椅子』。あっぱれです!
 
   
  左下:審査委員長の内藤さん。右下:プレゼンに南雲さんも突っ込む。
   
   
  シーガイヤ・MOVE IT!・アワード
  『肩車』
  作者:馬詰和明さん(馬詰設計工房主宰) プレゼンテーター:馬詰菜央さん(建築設計事務所勤務)
 
  馬詰和明さんと馬詰菜央さんは親子です。口下手な父親に代わり娘の菜央さんがプレゼンテーションをしました。菜央さんが饒舌にしゃべっているところに要所要所ボソッとこだわりを言う和明さんの姿が印象的でした。
『肩車』は大人でも座れます。肩車の感覚を忘れてしまった方は是非シーガイヤへ!!
 
 
 
  左下:父と娘。右下:審査員の内藤さんと南雲さん。
   
   
  日向市長賞
  『登る座』 / 甲斐直樹さん(宮崎県立日向工業高等学校建築科)
 
  またもや若き建築家の受賞です。今回、一番でかい作品です。
私は座れなかったのですが、『登る座』に座ると何だか偉くなったように感じるそうです。
はしごの部分は1本の木を削って緩やかなカーブを描いています。日南市長の心を揺さぶった逸品です!
 
   
  左下:プレゼン中の作者。右下:座ってみると、えらくなったように感じるそうです。
   
   
  入賞
  『杉のパレット』 / 杉浦哲馬さん(プロダクトデザイナー)
 
  第一回の受賞に続き今回で2度目の受賞。実は審査員の南雲勝志氏の教え子なのです。
運搬・保管用に使われるパレットを視点を変えてプロダクトとして活用する。
杉浦さんらしいスタイリッシュな作品でした。おめでとうございます!
 
   
  左下:拝聴する審査員。右下:プレゼンする作者。
   
   
  入賞
  『ひ座すぎ(hiza-sugi)』 / 若松茂樹さん(公務員)
 
  異彩を放つフォルム。そのまた後ろに異彩を放つフォルム。2年連続受賞おめでとうございます。
昨年のセクシーステップはまだ記憶に新しい。セクシーステップでは実現できなかった膝枕が今回のコンセプトだ。
若松さんあなたは輝いてます!
 
   
  左下:作者による実演。右下:後ろに見えるのは昨年の入賞作品「セクシーステップ」。
   
   
  入賞
  『AO HOCKER』
平瀬有人さん(佐賀大学准教授 / yHa architects)・平瀬裕子さん(yHa architects)
 
  昨年は裕子さんが『hammock(ハンモック)』で優秀賞を受賞しました。今年は夫婦での受賞おめでとうございます。
『AO HOCKER』の"AO"はお子さんの名前から取ったそうです。スタッキングができて、軽い。繋げれば円座にも長いベンチにもなるスツールです。個人的な感想ですが、この作品だけ審査員の目がプロに対する目に変わった気がしました。クオリティの高さに驚きました。
 
   
  左下:今年は夫婦での応募。右下:審査員の南雲さん、プロの目が光る。
   
   
 
   
   
  子ども杉コレ2011 in日向 最終審査結果
   
   
  ★★子ども杉コレグランプリ
  『だっこのいす』 / 安田圭沙さん(日知屋東小学校3年生)
 
  東北の被災地の子ども達の為に考えた『だっこのいす』。安田さんのプレゼンテーションに涙した人もいるのではないでしょうか?
この『だっこのいす』は安田さんの思いも乗せて東北に寄付されることになりました。
やさしさのこもったほっこりと暖かな椅子でした。グランプリおめでとうございます。
 
   
  左下:すばらしいプレゼン。右下:審査員の南雲さんも、好評価。
   
   
  子ども杉コレ優秀賞
  『ゆっくりすわれる杉のまあるいいす』
日高裕葵さん(宮崎大学教育文化学部付属小学校6年生)
 
  まさに今回のテーマ『座』に沿った作品でした。
『座』と言う文字を椅子にしてしまうという大人の発想からは出てこない作品です。
写真のように人が二人座るとこの椅子が完成されます。すばらしい!
 
   
  左下:作者によるプレゼン。右下:こうやって人が二人座ると「座」。
   
   
 
   
   
  以上、審査結果の報告になります。
   
  今年も『笑い』と『活力』と『ギャグ』があふれる杉コレになりました。
来年は宮崎市での開催になります。
それではまた来年お会いしましょう!
   
  実は杉コレとは別のブースで私、下妻賢司の講義『デザインは愛である』が行われていとことは誰も知りません…。
 
   
   
   
   
 

●<しもつま・さとし>(株)内田洋行 テクニカルデザインセンター


   
 
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