特集 祝!obisugi design グッドデザイン・日本商工会議所会頭賞!
  obisugi designと自分

文/写真 河野伸行

 
「お前も来い。」
   
  本業である森林組合の先輩から声をかけられ日南飫肥杉デザイン会に参加した。右も左も分からず、とりあえず会議室の椅子に座った。周りを見渡すと、僕が明らかに誰よりも若い(当時25歳)。あまり経験した事のない空気間に包まれたまま、会議資料の会員名簿を見ると社長、部長、社長、専務、社長…会社の代表者ばっかりやないかい!そんな混乱した気持ちで、また続きの資料を見ると東京組と書いてあった。東京組?どの人が東京組だろう?会議が進行していくうちに確信した。この中には絶対いない。みんな明らかに濃い日南弁だ。するとドアがばたんと空いた。
   
  「どーもぉぉぉ!ご無沙汰」
   
  この人達、絶対東京組だ!
   
  衝撃の出会いであった。
   
  2年経ち、僕はobisugi design販売代理店の窓口担当として会に参加している。あの時話しづらかった濃い日南弁を話す社長達との関係は、今は営業途中で喉が乾いたら社長達が経営する会社でひと休みできる関係、仲間≠ニなった。皆、共通していつも笑顔で迎えてくれる。あの時衝撃的だった東京組の方々の印象は、今も良い意味で変わらない。勢いがあり、明るく、冗談をいい、立場なんて関係なく話してくれる。ただ言葉、考え方に、ものすごい思慮深さを感じる。そんな東京組の仲間を世間体や縦社会の尊敬ではなく、心から尊敬している。
   
  obisugi designで僕が一番印象に残っていることは、半年前に日南市油津商店街に開店したobisugi design販売展示場改装工事だ。はじまりはいつも急である(笑)。
   
  出張中に携帯が鳴り着信履歴を見ると【日南市飫肥杉課河野健一】
   
  「展示場ができる空店舗があります、何時に日南に帰ってきますか?」
  「今日は出張なので遅くなります。」
  「何時になってもよいので戻ってきたら連絡下さい。」
  「わ、分かりました。」 
  「プープープー…」
   
  最近勘が鋭くなってきた。というか慣れてきていた。これは絶対何かがある。
   
  予定空店舗の前で集合した。灰色というか錆色に近い重いシャッターを空けると、とんでもなくカビ臭い。全てがぼろぼろだ。雨漏りがしている。しばらく沈黙がつづいた……。
   
  ふと顔を上げると健一さんが僕を見てニコッと笑った。…んん〜よし、やろう!その後、デザイン案を健一さんが一生懸命、一緒になって考えてくれた。設計案は何度も何度も修正した。工事中何度も妥協しそうになった。これくらいでいいだろうと逃げたくなった。でもそんな時、ふと思うのはobisugi design製品に込められた、皆の熱い思い入れだ。それを感じたら、やれるだけはやろうと思えた。2週間僕は大工となった。
   
 
  改装前の外観   改装前の内装
 
  改装後の外観
   
  エントランス   改装後の内装
 
  改装後の内装
   
  杉と出会っていなかったら、飫肥杉デザイン会に入っていなかったら、 obisugi designと出会っていなかったら、仲間と出会っていなかったら・・・
たぶん自分自身のこのような考えはなかっただろう。これはとても幸せな事だ と思う。今後も飫肥杉デザイン会での活動に力を入れていきたい。
   
  今回グッドデザイン・日本商工会議所会頭賞を頂ける事となり、関わった皆様に感謝しております。有難うございました。
   
  これからも皆様どうかobisugi designを宜しくお願いします。
   
  キャッチフレーズは一家に一台杉の家具
   
   
   
   
 

●<かわの・のぶゆき> 南那珂森林組合 http://www.kushima-shinrin.or.jp/

   
 
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