連載
 

東京の杉を考える/第45話 「エリアムーブメントがはじまっている」

文/ 萩原 修
  あの9坪ハウスの住人がスギダラ東京支部長に。東京から発する杉ものがたり。
 
今年のはじめ、高円寺の「カフェアパートメント」で「エリアムーブメント研究会」という活動をはじめた。月1回、ゲストを呼んで、少人数で話をする会だ。
   
  告知文は、以下のような感じだ。
「エリアムーブメント研究会」は、まちを彩る生活や社会の中で、いろんなやり方や考え方で活動している人たちをお呼びして、地域の魅力について知り、学び、考え、議論する会です。建築、デザイン、都市計画、アート、NPO、地域振興、地理、歴史、経済、等々、いろんな切り口から、まちを盛り上げ、遊び、楽しむためのきっかけづくりを目指します。
   
  はじめたのは、ぼくと、カフェオーナーでデザイン事務所も営む 酒井 博基さん、まちづくりの仕事をながく続けていてその業界にも詳しい 橘 昌邦さん、そして、東京の商工会議所に勤めながら個人的に街にコミットした活動を模索する小松 伸一さんの4人だ。
   
  はじめた理由は、ぼくたちがやっている中央線デザイン倶楽部でも、そろそろ本格的に地域の活動をしたいと考えていたこと。いきなりやるのもなんなんで、魅力的な活動をしている人を呼んで、話を聞いて、方向性を探ろうと考えた。そして、この勉強会をきっかけに、同じ志と感覚を共有できる仲間が増えるといいなあと思った。
   
  これまで、
   
 
  テーマ ゲスト
第1回
「商売」 橘 昌邦さん
第2回
「まちとメディア」 籾山真人さん
第3回
「ストリート」 寺井元一さん
第4回
「まちと学び」 近藤ナオさん
第5回
「まちと保育」 松本理寿輝さん
   
  と続き、2010年6月16日には、
   
 
  テーマ ゲスト
第6回
「まちと杉」 千代田健一さん
   
 

に登場してもらった。

   
  今さら、ここで日本全国スギダラケ倶楽部の本部広報宣伝部長の千代田さんを紹介するのも変だけど、千代田さんは、スギダラの大きな原動力となっている。はたから見ると、南雲さん、若杉さんとともに、一番、大変な役割を担っているはずだけど、その苦労は、ほとんど見せない。というより、自ら進んで、大変な方向に進んでいっているような気がしてならない。
   
  とここまで書いて気がついたけど、これまでのゲスト6人に共通しているのは、自ら望んで大変な仕事をしている人ばかりだ。人や社会のせいにするような発言をする人は誰もいない。困難な状況を受け入れ、問題点をわかった上で、自分がどう動けばいいかわかっている。それも、それまで誰もやっていなかったような独自の方法を模索し活動している。そして、その状況を自ら楽しんでいるように見える。個人の責任を果たしながらも、信頼できる仲間もたくさんいるのも共通している。
   
  すでに、各地で、新しい「エリアムーブメント」がはじまっている。
地域の力と、人の力がうまく作用して、次の社会をつくっていくのだろう。
   
 
   
  カフェアパートメント
http://cafeapartment.com/
   
  中央線デザイン倶楽部
http://www.chub.jp/
   
   
   
   
  ●<はぎわら・しゅう>デザインディレクター。つくし文具店店主。
1961年東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。
大日本印刷、リビングデザインセンターOZONEを経て、2004年独立。日用品、店、展覧会、書籍などの企画、プロデュースをてがける。著書に「9坪の家」「デザインスタンス」「コドモのどうぐばこ」などがある。
つくし文具店:http://www.tsu-ku-shi.net/
『東京の杉を考える』web単行本:http://www.m-sugi.com/books/books_tokyo.htm
   
 
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