「杉モノ・デザイン展」 報告
 

杉モノ・デザイン展を終えて 3

文/ 溝口伸弥
 

会場を用意した有馬さんとグラフィックの長尾さんは実はもっと前から知っていた。
有馬さんは一年以上も前に山奥の工房にふらっと現れた。長尾さんはそれより前に問い合わせがあり、電話で話していた。この展示会のきっかけは、杉九の三宅幹子さんがお姉さんの憲子さんを通して有馬さんを知っていて、有馬さんの杉の作品をスギダラに紹介したことだった。
別々に事が起こり始め、不思議な縁が後につながって「杉モノ・デザイン展」が起きてしまったように思う。杉九中心人物の佐藤薫さんは池田陽子の小学1年生からの親友だし、スギダラの人たちはなぜかそんな不思議な縁が多すぎる気がする。
似た者同士だからとか、世間はせまいねぇとか、奇遇だねぇとか思わない。
不思議な縁を引き起こす力みたいなものがあるとすれば、スギダラにその力があるということになるのだろうか。僕はそれが知りたい。

展示会では作家さんに杉を使って新たに作ってもらったものもある。無理をさせないか不安もあったけど、できたものは見事に杉の魅力を引き出していた。ひとつひとつ手に取っては僕達は感嘆し、盛り上がった。作り手にとっての発見も大きいだろう。
会期中は田舎に不自然なくらいの大勢のお客さんが現れた。子供も、お年寄りもいた。
出展者もスタッフもみんな生き生きしていた。追加搬入に来ていた青柳インテリアの社長さんはニコニコと「様子を見ているだけで楽しい」としばらくの間眺めていた。

関わったたくさんの人達がそれぞれに心を動かしていることが伝わってきた。それぞれに思うことがあって、力がわき起こっている。今でもそれは続いているだろう。
無力さを感じることはない。縁がつながって大きなうねりが起こっている。それに参加できていること。これはとても嬉しいことだ。
自分が楽しかったか、やってよかったかどうかなんて、もうどうでもよくなった。これはとてもすごいことじゃないか。今頃になって思う。
今後の展開なんてのも知らない。期待することもない。もう流れができているから、それに乗っていこう。

   
   
   
   
 

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