「杉コレクション2008」 報告
 

作品「杉ボールたまり」 市民賞受賞

文/写真 柴田志摩子
  4人会(鈴木忠亨・柴田志摩子・平田竜教・松田伯美)
 

今年もニコニコ笑顔の海野さんがやってきた。そして、当然のごとく言い放った。「今年は杉の大道具です。参加登録お願いします!日向で!開催するんですよ。」日頃、設計や日向のまちづくりなどでとてもお世話になっている海野さんである。断れない。杉を仕掛けられてきた建築士会のメンバーが集まった。これで3回目の共同作業。昨年は、気合を入れて製作したが、内藤先生に「ほんとに出したのか?」って言われるほど印象のかけらにも残っていなかった ;ヘ; しかし!今年こそやらねばならぬ。日向で開催と言う海野さんの情熱が思い浮かぶ。・・・が・・・アイデアが浮かばない・・・月日は過ぎるばかり・・・。

   
  平田がぽつりと言った。「あぁ〜肩がバリバリ。マッサージに行きてぇ〜。」それが、ひらめきの一歩だった。杉のつぼ押し。杉のやわらかさ、杉の香り、これはリラックスの道具になるのではないか!?つぼ押しはφ60の杉ボールに決まった。そして、部屋の片隅に置かれているものが柴田の目に入り、叫んだ。「もろぶたっ!杉ボールを中に詰め込んだらどぉお!」(東日本ではこうじぶたと呼ぶそうだ。) これに杉ボールを入れればどこにでも運べて、設置できる大道具になる。4人の妄想が一致した。
   
 

コンセプト

押してコロコロ。寝てコロコロ。
座ってコロコロ。歩いてコロコロ。
いつでもどこでもマイスペース。
ゴロゴロ癒しのマイタイム。

 
妄想
   
 

後日、電話が入った。「第一次審査通過しましたよ。」4人は感激と喜びで祝杯をあげたが、妙に淡々とした海野さんの口調に不安が残った。そして、浮かれ気分に釘がささった・・・。「どこも杉でボールをつくった事はないみたいです。今の段階では製作できません。」でっ出来ないっ!焦った・・・。しかし、不可能を可能にする男、海野さんがどんげかしてくれる。期待を胸に連絡を待った。

   
 

待ちに待ったメールが届いた。
「これを磨くしかないです。手作業の工程が入りますが、頑張りましょう。おう!!」
「今東京です。杉球を製作していただく村山さまに500個分の材料を届けたところです。」
杉ボール製作のためだけに東京に飛んだっ!!・・・さすがは海野さんである。

 
      杉球
 

試作品杉ボールを使って、もろぶたの製作が地元日向で始まった。わきあいあいと打合せが進み、藤永木工所さんのお人柄につい、わがままを言ってしまう。試作品が出来て詳細も決まり、18日の完成をお願いしたあと・・・なんと天井からビール缶の山が頭に降ってきた。痛っ!意外とおちゃめな藤永さんであった。

   
  さて、最後の大仕事・・・500ケもの杉ボール磨きをどうするか・・・?鈴木が言った。
「杉コレグランプリの前祝としてみんなに集合をかけ、うちで焼肉パーティをします。」
 

なんと、グランプリをとるつもりである。建築士会や日向まちづくりメンバー方々が喜んで20名ほど集まってくれた。もちろん海野さんも、もれずに参加。そして、賞金は山分けね〜と言いながら、みんなで楽しく10時過ぎまで杉ボールを磨いた。・・・そう・・・
この杉ボールには日向人の熱き思い、暖かき人柄がたくさん詰まっているのである。

   
   
  もろぶた   杉ボール磨き
   
 

やまんかんまつり初日。10作品が日向駅ピロティに集合した。杉の駅舎と杉の大道具、杉ステージ、杉屋台、杉バリケード・・・杉づくしの周辺にたちまち杉のかほりがたちこめる。杉ボールたまりに触れるみんなの笑顔、飛んでさるく子供たち、おそるおそる座ってみられるご婦人方。
用意していた1ヶの杉ボールをそっと手渡し、その柔らかさ、あたたかさ軽さを実感してもらうと、身近な素材の素晴らしさに感動してくれた。
 
お昼過ぎ、情報が入ってきた。「人気投票、ダントツ1位。」分かりやすいコンセプトが受け入れてもらえたのか・・・嬉しかった。それに、何人もの方から聞かれた。「いくらすっとね?」「どこで売りよっとけ?」と。杉ボールたまりを通して、コミュニケーションが始まり、笑いと笑顔に包まれる。杉という素材にスポットをあて、作品をコレクションする場所づくり。そこにいる人々と共通の意識から生まれる充実した時間を共に過ごしながら、杉コレクションの魅力を肌で感じた。

 
やまんかんまつり初日のピロティ展示にて
   
  2日目、ステージでのプレゼンテーションが始まった。ドキドキの緊張感が朝から続く・・・。この緊張感を解くためには、まず自分達が楽しむしかないっ!それでステージの進行テーマは決まった。登場は一台ずつもろぶたを持ってあがり、あいさつ、そしてまず、歩いてコロコロの実演から・・・そのとき松田がつぶやいた。「あっ・・・あたしブーツ履いてきた・・・。」さすが、なごみの松田。そのタイミングの良い一言で場が盛り上がり、4人の気持ちがひとつになった。司会の若杉、千代田両氏に突っ込みをお願いする。ドタバタとプレゼンが進み、日向の人口増加のため仲良しカップルの使用をアピールしてくださる両氏。内藤先生、南雲さん、山田監督もステージに上がってくださり、杉ボールたまりのリラックスを体験していただく。最後に南雲さんが言った「ちょっと全部並べてみてよぉ〜きれいだよね。壁にいいんじゃない?日向仕様の壁。」ホントだ。 きれい。しかし、ボール磨きの内職が浮かび・・・「あぁ〜そうですね。」としか返事できない4人であった。
   
 
   
 
  全部並べてみた様子。左端が南雲さん、内藤先生。右端が山田監督。
 

結果は人気投票ダントツ一位の「市民賞」を頂いた。今回、やまんかんまつりの杉コレクションをとおして、「杉ボールたまり」という作品の協働に関わった日向人の気持ちがひとつになっていただいた賞だと、有り難くそして嬉しく、感謝している。

   
  最後に、杉ボールを製作していただいた【工房・木よう大工の村山信幸さん】、もろぶた製作の【藤永木工所さん】、杉ボールを磨いてくださった【建築士会、日向まちづくりの方々】、海野さんはじめとする【木の芽会の方々】、投票してくださった【日向、延岡市民のみなさん】、心からのお礼を申し上げます。ありがとうございました。 
   
 
☆感謝☆合掌☆
   
   
 
おまけ
 
 
やまんかんまつり建築士会屋台ブース   
 
 
報告:ごほうびで一泊旅行。阿蘇・熊本城見学に4家族で行きました♪
   
   
   
   
  ●<4人会> 建築士会日向、延岡支部  
鈴木忠亨:(有)鈴建
柴田志摩子:葛v米建設
平田竜教:(有)安藤設計
松田伯美:オーツ設計
 
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