連載

 
あきた杉歳時記/第25回
文/写真 菅原香織
すぎっち@秋田支部長から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 
 

全国植樹祭を翌日に控えた6月14日の土曜日の朝。朝食の片付けをしようと杉キッチンに立っていたら、突然ドドンと縦揺れがありました。うちの前の道路をトラックが通ると時々そんなふうに揺れるのですが、続けてドドドドドッと小刻みな揺れが徐々に激しくなって来たので「地震!地震!」と叫びました。ちょうど付けていたテレビを見ると、緊急地震速報の赤いテロップがでています。そして今度はグラグラと大きい横揺れに変わりました。急いで子供と一緒にテーブルの下に潜り込んで揺れがおさまるのを待つ間の怖かったこと。被害の様子がニュースで徐々に明らかになってきて目にする光景があまりにも凄まじいことになっていて、あらためて今回の地震の力の大きさを実感しました。被災地の方々には心からお見舞い申し上げます。

実は40年前に秋田で開催された全国植樹祭のときにも十勝沖地震が起こり、昭和天皇は出席できなかったそうです。今回は大丈夫か心配でしたが、無事両陛下共に参加することができました。それにしてもなにか地球からのメッセージとも取れるような不思議な感じがしました。

余震の心配もありましたが特に中止の連絡もなかったので、翌日は朝の6時に送迎バスが待つ旧秋田空港跡地まで車で向かいました。集合場所には、よくもこれだけ集まったなというぐらいたくさんの大型バスが並んでいました。私は68番のバスに乗り込み、係員から帽子、雨合羽、杉のスコップ、軍手、プログラムなどが入った透明の袋とIDカードとリストバンドをもらいました。貴重品とカメラ、ビデオ等以外は持ち込み禁止。両陛下がいらっしゃるとあって私服警官がたくさんいて警備も厳重です。

バスに揺られること2時間近く、全国植樹祭の会場である北秋田市合川の北欧の杜公園に到着しました。会場には300台ものバスがひしめき合って、大混雑。誘導係の人もさぞ大変だったと思います。会場に向かう前にまず「植樹」をするのですが、順番待ちの渋滞ですっかり車に酔ってしまいました。ようやくバスを降り、私たちのバスに割り当てられた区画にたどり着き、手渡された苗木を植えました。私が植えたのはオオヤマザクラでした。

   
 
 
全国植樹祭
   
 

植樹会場から5分ほどで入場ゲートに到着です。ここでは持ち物検査と金属探知旗で危険物の持込をチェックします。私たちはだいぶあとの方だったらしく、それほど待たずにチェックを受けることができました。

   
   
  この日会場には1万3千人もの人が入場していたとか。   誘導ボランティアの数の多さも納得。
 
  入場の様子。すごい人数!
   
 

会場に入るとまず目に飛び込んできたのが、建築家・安藤忠雄氏が設計した御野点所と特別席を囲む杉の回廊です。警備の関係上これより近くに行くことができなかったのですが、白鳥が羽を広げて舞い降りたような印象でした。

   
 
  手前にならんでいるのは、杉のプランターボックス
 
  御野点所の構造材は遠目でよくわかりませんでしたが、どうも集成材だったような。
   
  ベンチはすべて秋田杉。3人掛けでベンチとベンチが連結されていました。植樹祭終了後は、ベンチは学校や公共施設などに配給になるそうなので、北のスギダラ本部のある短大にもやってくると思います。
   
  私が座った場所からは両陛下は豆粒より小さくて、大型スクリーンでしか見えませんでした。
 
 

下の写真は巨大スギダラ棒!いえいえ、同じ会場内に展示してあった、長さ13メートル、重さ1トンもある約1100年前の天然秋田杉です。約40年前に今の北秋田市内の胡桃館遺跡(平安時代(915年)の十和田火山噴火による米代川流域の土石流により埋没した遺跡)から発掘されたもので、当時の建物の土台となった「土居(つちい)」というものだそうです。腐朽に強いことで有名な天然秋田杉ですが、発掘された地層が火山灰層だったのでなおのこと保存状態が良かったそうです。あまりの迫力に、思わず撫でて拝んできてしまいました。

 
 
巨大スギダラ棒!と思いきや。
 
  こんな家の土台だったらしいです。立派だー。
 
 

帰りのバスの関係もあり、キツキツのスケジュールで、展示コーナーや物販コーナーをゆっくり見ることができなかったのですが、帰り際にマスコットキャラクターの「森っち」とツーショットの写真を撮ってもらいました。シンボルマークが顔と手だけだったので、着ぐるみのデザインをお手伝いさせていただいたんですよ。秋田県マスコットスギッチもいたらしいのですが会えませんでした。残念。でも初夏の一日、マイナスイオンたっぷり吸いながら、のーんびりした時間を過ごすことができました。(全国植樹祭室長の宮崎さん、おつかれさまでした!)

   
 
   
   
   
   
  ●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術工芸短期大学 産業デザイン学科 勤務 http://www.amcac.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長 北のスギダラ http://sgicci.exblog.jp/
   
   
 
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