連載

 
吉野杉をハラオシしよう!〜“駆け出し”専務の修行日記〜第20回
文/写真 石橋 輝一
鍛え系杉連載。さぁ、吉野中央3代目と一緒に勉強だ!
 
 

あけましておめでとうございます。この連載も20回目を迎える事となりました。今月も奈良県吉野から元気いっぱいでお送りします!

さて、今回は「製材所の正月」の様子をご紹介したいと思います。製材所によって色々と違う部分があるかもしれませんが、当社の年末年始の様子はこんな感じです。

まず年末には大掃除を行います。
最終日のまる一日をかけた大掛かりなモノで、製材の機械、帯ノコ盤や送材車、加工の機械、モルダーなどは部品を外して、細かい所まで綺麗にしていきます。機械類の整備は製材にとって重要な事なので、念入りに手入れを行います。年に2回、正月休み前と夏休み前には、このような大掛かりなメンテナンスを施します。

倉庫内もしっかりと掃除します。
日々掃除はしているつもりですが、製材をする際に出る挽粉(ひっこ)などは知らず知らずのうちにタマっているもので、竹ぼうきで掃いても掃いても、どこからともなく湧き出てきます。掃除を始めると倉庫内はホコリが舞って、マスクが欠かせません。

原木を置いている土場も、木の皮が剥がれ落ちているので、それを綺麗にします。
木の皮は地面にへばりついているので、かなり大変で、時間がかかります。工場内、倉庫内と手分けをして掃除をしますが、いつも最後は土場にみんなが集まって、木の皮と悪戦苦闘する感じになります。

最後に正月の飾り付けを行い、お正月を迎える準備が整えます。
会社の玄関、工場や倉庫の入り口はもちろん、製材所の命である製材機などの機械類にも飾り付けをします。

すべてが完了するのは、夕方前。工場や倉庫、土場が綺麗になり、なんとも清々しい気分になります。いつもの終業時間よりもちょっと早めに仕事を終え、一年を締めくくります。

そして、年明け。元旦から三が日の間の朝晩には「お灯明」をあげます。
お飾りをしたお稲荷さん、工場の機械類のろうそくに火を灯し、新しい年の無事を祈ります。普段は大音響をたてて製材をしている工場内ですが、静まり返った中、お灯明の火が風に揺れるのを見ると、なんとも厳粛な雰囲気になり、気持ちが引き締まり、「この一年、がんばるぞ!」と気合が入ります。

     
 
  お正月のお飾りをされた帯ノコ盤です。一番左が松竹梅、大根に生けています。なぜ大根なのか分かりませんが、昔から大根です。右の袋の中には、お餅や栗、干し柿などが入っています。元旦の朝、お灯明をあげると、なんとも引き締まった気持ちになります。
   
 

お正月休みが終わり、仕事始めとなります。
昔から山に携わる仕事では、7日は山の神様を祀る日とされ、仕事は8日から始めるという風習がありました。暦に関係なく、7日までは仕事をしないという事です。昔は製材所でもこれに倣い、仕事始めを8日とする所が多かったようですが、最近ではカレンダー通りに取引先のお休み期間に合わせる形が多くなりました。当社でも今年の仕事始めは7日でした。ですが、現在でも実際に山に入って仕事をされる方は7日に山の神様を祀り、8日から仕事を始められるところが多いみたいです。

そんなこんなで、新しい年が始まりました。
1月26日からは天竜ツアーに参加させて頂きます!。楽しみです。今年も仕事に、スギダラに…どんどん頑張っていきたいと思います。どうぞヨロスギお願いいたします。

つづく

   
   
   
   
   
 
 
  ●<いしばし・てるいち> 吉野杉・吉野桧の製造加工販売「吉野中央木材」3代目(いちおう専務)。杉歴まもなく2年。杉マスターを目指し奮闘中!
吉野中央木材ホームページ http://www.homarewood.co.jp
ブログ「吉野木材修行日記」http://blogs.yahoo.co.jp/teruhomarewoodもよろしく!ほぼ毎日更新中です。
   
   
 
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