連載

 
あきた杉歳時記/第19回
文/写真 菅原香織
すぎっち@秋田支部長から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 
 

鍋が美味しくなる季節がやってきました。秋田で鍋と言えば「きりたんぽ鍋」が定番ですが、9月の集中豪雨による米代川の氾濫で、きりたんぽ鍋に欠かせない比内地鶏の養鶏小屋が浸水した被害と、比内地鶏の偽装表示事件のおかげで、生産者や秋田県内の業者の方々は二重の被害を受けたといってもよいのではないでしょうか。もちろん消費者としてもショックですが、先日開かれた秋田わか杉国体、秋田わか杉大会で本県を訪れた方で、秋田のお土産として買っていった人は、もっとがっかりしていることでしょう。県では認証制度を整えるまでの間、確認書を交付して生産者の信頼回復に務める支援をしていますが、信じていたのに裏切られたこの怒りはどこにぶつけたらいいのでしょうか。とにかく、もうこれ以上偽装なんてしないでほしいですし、数少ない秋田県が誇る地域ブランドですので、「比内地鶏」ブランドの一日も早い信頼回復を願っています。

さて、最近は一段と朝晩が冷え込んでストーブが欠かせなくなってきました。我が家では灯油を使ったFF式ストーブ1台で全館暖房をしているので、今年の灯油の値段はとっても気になります。しかも今年は原油価格の高騰で、はやくも1リットル90円を超えるのは確実といわれています。うちでは厳寒期には平均で1日10リットルは使っているので、もしも90円を超えると、年間にすると今より5万円以上燃料代がかかってしまいます。今後灯油の値段が下がるということは考えにくいので、5万があっという間に10万になんてなるかも?!灯油に変わる燃料を考える時期にきているのかも、と真剣に考えるようになりました。

そんなとき、10月20,21日に能代市で開かれた第4回木の建築賞の見学会コースの下見で二ツ井町の田代地区を訪れました。田代地区の一番奥には、高さ58mの日本一高い秋田杉があります。是非この杉は見ていっていただきたいと思い、仁鮒から田代方面へ車を走らせていました。すると道ばたに薪が積まれているものが、数十メートルおきにあるのを見て、「これだ!」と思いました。そうです、杉の薪です。

二ツ井はかつては薪や炭の一大生産地だったとか。この灯油価格の高騰を考えると、間伐材や被害木などを燃料としてもっと積極的に使って行けたら、山も手入れができるし、一石二鳥!(そんな簡単な話じゃない、という突っ込みは無用―)なにより自然の循環の中でつくられる資源=薪は、採りすぎなければ石油や石炭などのように枯渇することはないし、二酸化炭素も増加させないし、エネルギー問題の救世主!なのかもしれません。
   
   
       
   
       
   
       
   
       
   
       
   
       
   
       
   
       
   
       
   
   
  ここの地区では薪の樹種はほとんどが杉の間伐材と思われる物で、積み方も個性があって、中にはアートと思えるような物もあり、思わず夢中でカメラのシャッターをきり、おかげで車で20分ぐらいのところを1時間もかかってしまいました。昔から秋田杉と共に生活をしてきた地区ですから、それが普通の風景なのでしょうけど、私の目には「薪の山」が「宝の山」に見えました。名付けて「薪ダラ街道」!紅葉のなか、自然と共に暮らす人々がつくる景観が美しい「薪ダラ街道」をあなたも訪れてみませんか?
   
   
   
   
   
 
 
  ●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術工芸短期大学 産業デザイン学科 勤務 http://www.amcac.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長 北のスギダラ http://sgicci.exblog.jp/
   
   
   
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