創刊20号を迎えて

スギ本をつくろう!
文 / 南雲勝志
 
 
 

スギ本をつくろう! という話でいつも盛り上がる。月刊杉「WEB版」があるからいいじゃない、といわれそうだが、やはりWEB媒体と紙媒体は違うのである。WEBはいつでもどこでも誰でも気楽に読める手軽さはあるが、紙はそうはいかない。月刊杉をプリントちなみに月刊杉をプリントしてみるとわかるがあっという間に数百枚になる。しかもバラバラであるから整理も大変。コンパクトに納まったスギ本があるといいなぁ。本棚に置いておけるし、人にあげられる。

月刊杉「WEB版」はもともと月刊「杉」の「WEB版」なのである。紙媒体の月刊誌の発刊が目標なのだ。でも月刊誌の発刊が簡単に出来るわけでもなく、かといって何もしないのは悔しいから、取りあえず、すぐ出来る「WEB版」からスタートしようということになったのである。

当初は日本全国スギダラケ倶楽部の関わった活動を中心に日本中の杉の話題を取り上げてきた。杉の難しさ、森林問題の克服より、いかに杉の良さ、楽しさを伝えるか、そんな勢いで頑張ってきた。もちろん、みんな「仕事の合間」にやっているので編集会議もなかなか実現せず、長期的な目標もなかなか立てられないまま、よろよろしながらやって来た。それでも、読者、会員を増やしながら前向きに前進してきたのである。

これはおそらく想像以上に杉という素材が人と人を繋ぐために有効で、各地で次々に今まで見られなかったような活動が勃発し、それに負けじと相乗的に連鎖的に継続的に行われてきたからである。スギダラの支部やそこから繋がった盛り上がりは単にイベントに留まらず、地域の活性化にまで広がろうとしている。大きな経済の動きと反比例してその動きは加速する。

「WEB版」のネットワークはある意味強力で、飫肥杉、日田、吉野、秋田を始め、林業や森林、木材関係者の手から、ユーザーを含めた問題へと徐々にシフトしつつあるし、地域は違ってもそれを自分たちの問題と重ね合わせてみれるようになってきた。より客観的に、より主観的に動きが変わってきた。そこにはかなりのスピードで、市民やクリエーターが参加できるネットワークが出来つつある。一見何でもないことのようでも昭和30年以降徐々に衰退してきた林業の新たな大きな改革となるのではないかと思っている。それは地域ごとに根付いた文化と複合的に絡まり、さらに新しい文化を構築していくに違いない。

そのようないわば歴史的出来事をストックしていくために、まず今年「スギ本2007」発刊出来ないだろうか? そして毎年一冊ずつスギ本が増えていく。順調にいけば5年後あたりには月刊「杉」発刊も可能かも知れない。

月刊杉「WEB版」の読者方の中で、「よし、出版本の編集協力しよう」、とか「スポンサーになろう」とか、「我が社からスギ本出版してください。」と手を挙げてくれる方々が出現することを願ってやみません。「株式会社月刊杉」なんていうのも出来るといいなぁ。

 
 
 
 
 
 
   
 

●<なぐも・かつし>デザイナー
ナグモデザイン事務所 代表。新潟県六日町生まれ。 家具や景観プロダクトを中心に活動。 最近はひとやまちづくりを通したデザインに奮闘。著書に『デザイン図鑑+ナグモノガタリ』 (ラトルズ)など。
日本全国スギダラケ倶楽部 本部

 

   
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