祝!『ねづくりや』新規開店
 

ねづくりや開店!

文/写真 鶴元 怜一郎 

   
 
   
 
 
   
 

ねづくりやを知っていますか?
学生がボロボロの空き家を自分たちで改修し、地域に根を張りながら暮らす。
住まいを地域に開くことで、まちと繋がり、まちを知り、様々なことを学んでいく。

東京の下町・根津というまちに、若者が暮らしを通じてまちに入り込んでいくことは、物珍しく、騒ぎすぎてしまう事もありましたが、まちは僕たちを受け入れてくれて。遊びに来てくれるまちのご近所さんは、年代問わず日に日に増えていきました。

「ねづくりやの活動って、なんか懐かしいんだよな。」
応援してくれている人の多くが、そう言います。

朝起きて土間に降りると、街歩きの方々に手描きのマップを売っている子供たち。
夕ごはんの惣菜を作りすぎたからと持ってきてくれるご近所さん。
斜向かいの飲み屋が席いっぱいな日は、ねづくりやの土間が待機室になったり。

こんな暮らしを丸二年できた事が、今の「ねづくりや」の活動に繋がる原点です。

   
 
   
 

まちには「もったいない空間」が沢山あるのではないか。そのような仮説のもと、空き家や空き地、軒先、車庫、シャッターなどの様々な空間を「まちの余白」と呼び、それらを活用していく場づくりに取り組んでいきました。

その取り組みの中で見えてきたことは、強烈な「ルール」や「所有」の概念です。「この場所は、〇〇をするべき場所である」という振る舞いの制限や、所有者以外は立ち入るべきではないという隔たりの意識が、空間の自由度を縮めます。公園で自由に遊ぶことを許されない子供たちも、ねづくりやには日々遊びにきていました。

自分たちはそのような、ルールや制限の中で空間と関わる事に窮屈さを感じ、もう少し曖昧な領域がまちにはあってもいいのではないか、それを「まちの余白」を活用して作り出していこう。と意識し活動しています。

曖昧だからこそ、溶け込んでいきやすく入ってきやすい。
適当だからこそ、始めやすくやめやすい。

まちに関わっていく自分たちなりの距離感を持ちながら、活動を加速させて行きます。
こんな場づくりを仕事にしていければと考え始めていた時、ねづくりやの物件の建築解体のお知らせが手元に届きます。

   
 
   
 

暮らしの場としての「シェアハウスねづくりや」は突如、建物の解体と共に終了。
建物を残す事が出来なかった時、繋がりやそこで生まれたコミュニティは終わりなのか?
そこで生まれた記憶や繋げていくべき歴史に何かできることはないのか?

期間限定の空き地の時期を活用してみながら、未来のことを考えていきます

   
 
   
 

「この場所、このまちで培われた記憶を、継承していきたい。」

この思いに共感してくださった、株式会社都市テクノという建築解体からまちづくりまで手掛ける会社と肩を組み、同じ土地に立て直される新築の一階へ、テナントとして再度復活をすることとなります。
2022年3月30日「まちの学び舎ねづくりや」が開業しました。

   
 
   
 

飲食・物販・イベントという3つの切り口で、まちの学びを調査し、実体験できる場所として運営しています。開業して、4ヶ月。お店の運営というものは、簡単ではありませんでした。

運営メンバー同士、認識違いや様々な締め切り期日、朝から晩までお店を開けると時間がなくなり余裕がなくなります。舐めていました。覚悟が足りなかったです。一つのお店を維持していくのは大変で、失敗だらけ、ぶつかりまくりの日々を過ごしています。

今回の記事執筆は、メンバーそれぞれが一度立ち止まり深呼吸する機会にしようと。
ここからは、各ねづくりやメンバーの活動への思いや関わっていく中での気づきや学びに関して自由にコメントを貰っています。今のありのままを記します。

   
 
  2022年8月
   
 

新生ねづくりやは、まだまだこれからです。

   
   
   
   
   
  ●<つるもと・れいいちろう> ねづくりや 代表
   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved