スギダラツアー2019 in 山形
 

山形でスギダラに出会う2019

文/岩井 千華

   
 
   
 

 2019年7月20日(土)〜21日(日)に開催された「スギダラツアー2019in山形」に参加した。ツアー参加者は82名にのぼり、職業も個性もさまざま。このメンバーで高畠町から金山町を移動しながら施設や森林等を見てまわった。私はスギダラツアーに参加するのは初めてで、地元の杉を使った図書館に興味があったことが参加の理由であるが、スギダラって何?ということを考える暇さえ与えない、楽しい、怒涛の大ツアーであった。スケジュールは以下である。 
 【1日目】 高畠駅集合→高畠町中央公民館で説明会→高畠町立図書館見学→高畠町立屋内遊技場『もっくる』見学→高畠町安久津八幡神社見学→瓜割石庭公園見学(高畠石切場)→道の駅たかはた→赤湯(地名)の丹泉ホテルへ→スギダラ大談義等。
 【2日目】 丹泉ホテル→道の駅むらやま→チップボイラー見学→日輪兵舎(カムロファーム内)→木もれび館にて昼食→認定こども園めごたま→森林組合→森林見学→大美輪大杉見学→金山町町並み見学→新庄駅にて解散

   
 
  1日目
   
 

 高畠駅に参加者が集合後、高畠町中央公民館に移動し、新しくオープンする図書館と屋内遊技場の説明を聞いた。「¥(経済)よりも縁(人とのつながり)が未来を創る」というパワーポイントをみて、これが今回の図書館と遊技場のテーマであると同時に、このツアーのテーマであるとわかった。早速、さくらんぼ組とラフランス組にわかれバス移動し、図書館→屋内遊技場の順で見学。高畠町立図書館には広場があり、舞台もついており、「本がたくさんあるところ」という機能としての図書館のみならず、「何かできそう」という期待や予感をもたせる図書館であった。建物には地域にある杉や地元の高畠石が使われている。特に地元の杉を使うことに力が注がれ、木材を切り出してから納入するまでの木材活用のマネジメントである「タニチシステム」が、このプロジェクトの肝だとわかった。このシステムのお陰で図書館と屋内遊技場は高畠町産杉の利用率が99%になった。完成された図書館は細長く、奥に児童コーナーがある空間で、書架を超え奥に行くに従ってワクワク感が増す演出のように思えた。また、屋内遊戯場は円と棒の組み合わせのようなデザインにみえた。私が好きな遊具は、ロープのある緩やかな木製滑り台。スロープを登ったり下りたりが楽しい。次の高畠町安久津八幡神社は、テクノカットの茅葺屋根に誰がデザインしているのだろうと驚きつつも、現場作業をしていた地元の方に伺うと、この茅葺屋根の補修をする人がいなくなってきているということであった。瓜割石庭公園は、元は高畠石の丁場ということであったが、現在は石切りは行われておらず、音がよく響く空間になっている。「ワインとオペラのアリアの夕べ」みたいなイベントがあるといいなあと思える空間であった。
 この日の大宴会は、3時間を超えたような気がするが、様々な方たちが自らの日頃の活動を報告して下さった。お食事は美味しく、地元でつくられたワインは更においしく、大いに飲み食べた。

   
 
 
     
 
 
     
 
   
     
   
 
  2日目
   
   私の2日目は朝風呂から始まる。昨晩から数えて3回目の入浴だ。女子がいるとそこはサロンと化す。「まっぱ」女子たちは職業も立場も年齢も超えて話せるのだ。へへっだ。各種情報交換を終え、湯上りは、おもちが主食という初めての驚きの朝食を終え、再びツアーは始まった。まず道の駅で大きくて妖しい魅惑的な形状の夕顔ちゃんを購入した参加者を発見。夕顔ちゃんはこの時からスギダラツアーメンバの一人となる。チップボイラーを見学したのち、カムロファーム内の日輪兵舎を見た。ここは昭和18年に建てられた満蒙開拓青少年義勇軍訓練所の宿舎と教室を兼ねた80人収容の木造2階建ての円形の建物である。寝るときは皆足を中心に向けて寝たという。私はこの円形の建物に心惹かれた。地元の木を使い、少年義勇兵が自らでつくれるようにした。作り方を伺うと壁からたてられたとのこと。開拓地の木材を使い素早く宿舎を建てることが求められた結果の建物と想像するが、満蒙開拓青少年義勇軍とはどのような人々だったのか気になるところである。この後、認定こども園めごたまを訪問し、大美輪大杉を見学した。森の中は良い。北海道で働いていた時、職場近くに林があり、昼休みには山菜をとってみたり、小川が流れる林の中をウロウロ散策してみたりしていた。この時の体験で学んだのは、森林は雨を防ぎ、生物と居心地の良い空気を与えてくれるということであった。森林というと私はすぐ、環境と結びつけて考えてしまうが、金山町のこの森林は経済林であり、利用のために計画的に造られたものである。しかも、大きな木というと建築材とイコールにしてしまうが、なんとここの杉は桶・樽に使われたものだというからさらに驚きである。酒や醤油やみそ等に使われたものだろうか。
   
 
   
 
 
     
   「スギダラツアー2019in山形」は、人間味のある非常に魅力的で力のあるツアーであった。関係者のみなさま、お世話になりました。「¥(経済)よりも縁(人とのつながり)が未来を創る」というところに今回は乗っかって楽しませていただきました。この経験が私の生活でいかせるようにしていきたいと思います。どうもありがとうございました。
   
   
   
   
 

●<いわい・ちか> 桜の聖母短期大学 (日本全国スギダラケ倶楽部2034蕃)

   
 
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