やがて風景になるものづくり。ようび再始動!
  家具と大工の日々のこと

文 / 渡辺陽子

   
 
   
 

2017年5月から本格的に始動したツギテプロジェクト。
ようびにおいてのこのあと2018年3月まで続く大型のプロジェクト。
この中で私は勿論職人として加工、建て方において役に立てる人間であるだろうと思っていました。
が、そんな一大プロジェクトにだけ集中はできませんでした。
私の本職は家具職人。
そんなさなかにもようびの家具を待っていてくださる方がいらっしゃいました。
火事にあい工房も焼失し、本社もない中求めてくださるお客様がいる。
本当にうれしいことです。
なので、プロジェクトの間は家具つくりと本社づくりの両方を行ったり来たりしていました。

ツギテプロジェクトまず最初の難関、材料の加工。
どうしよう…、5500本。
こんなに大きな物量どうすればいいの…。
且つ、制作しなければならない家具。
押しつぶされそうになるプレッシャーの中、ハッと思いました。
制作部の齊藤がいるではないかと!
以前ならすべての責任を1人で背負いこもうとしていた自分ですが、仲間がいることで救われていた自分を思い出し、5500本の材料の加工の管理を任せました。
この作業も棟梁をして頂いた河野竜太さんと田上知明さん、二人の大工さんも一緒にして下さるということもあり、分らないことが相談できる。
中々大変だと思うのですが、齊藤への信頼からお願いしました。
『勿論私も加工から離れるわけではないし、相談しながら一緒にがんばろう』
全体をみとをしてスムーズにできるかどうかを判断する。
本当に大変なことをみごとやり遂げてくれました。
その内容は齊藤の汗と涙の結晶の文章をもう一度読んでやって下さい!!

http://www.m-sugi.com/123/contents123.htm

加工編が終わって、次に本格的にツギテにジョインしたのは建て方編
初めての空の下での作業、とても寒く工房とは違う体勢。
いつもは目の前だけ気にしておけばいいのに頭上までもが意識を飛ばさなければならない環境。
改めて職人の違い、不慣れさを思い知らされました。
ここでは私も素人と一緒だな、と。
でも、全員一丸となってモノづくりを行うことの喜びは家具では中々できないので、出来ていく感動を皆で感じるという幸せを味わうことが出来ました。
しかし、ここでも家具の生産は待ち受けており1人現場を離れ、借り工房で製作を進めさせて頂く時期もありました。
この間は、1人の心細さと現場に参加できない申し訳なさでいっぱいでした。
しかし、やはりこの間にも待っていてくださるお客様と信頼できる仲間たち、そして応援してくださるツギテのミカタの皆様、さまざまな方に支えられて、何とか新しい工房でもモノづくりをさせて頂きたいと奮起して家具の制作にあったっていたように思います。

プロジェクト期間中はあまりに大変でつらく、きついものもありました。
そんな中でも、手伝って頂いた方々や応援してくださる方に元気と勇気を頂けたからこそできた建物です。
今、そんな思いの詰まった建物で日々制作を進めさせていただいています。
いつも身を引き締めながら作業しています。
こんなにたくさんの方と作り上げた建物でまた着ていただいたときに、会社が続いていて良いモノづくりを続けているのが恩返しではないかと思っています。
なので、ますます職人として邁進します!!
ぜひ今後ともようびを御贔屓によろしくお願いいたします!!!!
   
 
   
   
   
   
  ●<わたなべ・ようこ> ようび工房長

   
 
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