ようび ツギテプロジェクト 参戦!!
  ようび一派、スギダラの系譜

文 / 千代田健一

   
 
   
 

大島さんとスギダラの出会いは2010年、西粟倉で森の学校を運営されている牧大介さんが杉の伝道師若杉浩一をセミナー講師として招聘したところから始まっている。
実はこの直後、ぼくは福岡に島流しに会うことになったので、その後の経緯も実はよく知らない。
もちろん、西粟倉に行ったこともなかった。この後、改めて企画されたスギダラ西粟倉ツアーも北部九州支部のスギモノ展イベントと重なったため、行っていない。

月刊杉の記事で西粟倉が盛り上がっている様は伝わって来てはいたものの、なかなか西粟倉との接点を持てずにいた。
その後、大島さんは次々にいろんな活動を展開、東京に拠点をつくったり、建築部をつくったり、その波乱万丈なものづくり人生を屋台大学でも語ってくれた。
とにかく、面白い男。どうしたらこれだけ前向きになれるのか驚きの連続だ。そんな外から見たらイケイケでエネルギッシュな大島さんの「ようび」が火事にあって全焼という衝撃のニュースが飛び込んで来た。
その時にぼくができたことと言えば、支援金をわずかながら出す程度のことで、何の力にもなれていなかったことがとても心苦しかった。そんな境遇にも関わらず、東京に来た時に会うと相変わらず超前向きな笑顔で握手を求めて来る。どこまでも明るい!
それで今度は焼けた工場を自分たちで建設、再建するという驚く知らせが舞い込んでくる。
とにかく面白い男だ。この新社屋建設「つぎてプロジェクト」、設計から、材の加工、施工も自分たちと支援してくれるボランティアでやるつもりだと聞いて、思わず笑ってしまった。どうやったら、そんな面白いことを思いつけるのか、ホント、驚きである。
普通に考えると無謀極まりないアイデアなんだが、大島さんが言うと普通に面白い!と思えるところが、ぼく自身、大島熱血熱に感染してしまっている。
未だに西粟倉に行ったことのないぼくにとっては、絶好の機会到来!
スギダラ事務局の倉内が東京からのツアーを募ってくれ、即応募した。当の倉内が行けそうに無いと悔しそうにしていたが、「今回はオレとコバに任せとけ!」と珍しく前向きにアニキ面してみせた!
さすがに東京から岡山まで、それほど人数集まらないかもなーと思っていたので、レンタカーツアーで呼びかけたら結構な人数が集まった。

東京組みは、千代田、小林夫妻、西山壮子路さん、吉村華子さんの5名。前日の夜に東京を出て、途中姫路で當眞舞さんをピックアップし、予定の集合時間より早めに到着。
出張で四国に来ていた足利君、単独で乗り込んだ内田洋行の萩生田さん、大阪から筧くん、地元岡山からは、藤原さんが合流し、さてやるぞ!と気合いを入れて心の準備をする間も殆ど無い状態でいきなり加工作業が始まる。
この前日、當眞さんが奈良の戸田さんを訪問しており、その折にこのつぎてプロジェクトの事を知った戸田夫妻は、発作のように奈良から駆けつけてくれた。この他、岡山県立大学、鳥取環境大学の学生3名と地元の超強力な助っ人安藤さん、ようびのスタッフ5名、総勢21名での加工イベントとなった。今までで最大の人数との事。
ひたすらノミでつぎての仕口を加工して行く。もくもくとただひたすらに!できるだけたくさんの作業を進めようという参加者みんなの気持ちは同じだ。
しかし! その気合いと連帯感をもややくじけさせるくらいタフな仕事だった。おまけに暑いし、体中の水分は汗で流れだし、トイレにも行かずに作業が続けられるのはいいが、段々手に力が入らなくなってくる。こういった肉体労働は苦にならないぼくもふらふらで気絶しそうになった。まるで長距離走をやっているような感覚。
そんな中、みんなそれぞれにようびの皆さんとの会話を楽しみながら、打ち解けながら作業は進んで行く。予定の時間を迎えた時の開放感は格別だった。
初日はようびで3年程前から新たに起こした新規事業、建築部の与語さんの家で夕食&宿泊。実はその与語さん、2007年の杉コレクションの入賞者で、以前会っていた。
最初に自己紹介された時はにわかには思い出せなかったが、与語邸でその時の応募作品の模型を見せてもらい、なぜ与語さんがようびに来たのかその経緯を聞いて、全て合点が行った!
全て繋がっていた。大島正幸というとんでもない男をとんでもなくしてしまった張本人、大島奈緒子さん繋がりだった。(大島さんのスギダラ西粟倉支部長就任の記事をよく読んでみてください!奈緒子さんの凄さがわかります!)

奈緒子さんのスギダラ歴はかなり長い。大島さんと結婚する前々から彼女自身はスギダラ会員で正幸さんは元より、同じ大学出身で木匠塾仲間であった与語さんが、杉コレクションに応募したり、ようびの建築部に合流したのも全て奈緒子さんの仕業だと思う。与語さんが杉コレクションに応募した作品を見返すとこの「つぎてプロジェクト」に必然的に繋がることがよく理解できる。
このツアーでスギダラ倶楽部のあゆみの一部がよみがえって来て何とも心地良かった。
ようびに残ったメンバーもそうだし、こういった繋がりを紡いで繋げて行った輪がここにある。今尚、つぎてプロジェクトを支えようとする人たちが集まって来ている。仲間の輪がさらに広がっている。現段階ではまだ加工偏が残っているが、次は施工編へとより難局のステージへと突入して行く。
奈緒子さん、与語さんの母校、滋賀県立大学で考案された木組みによる建築。既にSDレビュー賞にも入選している意欲作。
つぎてプロジェクトを応援する正義の味方の輪はますます広がり強い絆をつくって行くことだろう。

スギダラメンバーを温かく迎えて苦楽を共にしていただいた、ようびの大島正幸さん、奈緒子さん、齊藤さん、山口さん、渡辺さん、八島さん、ありがとうございました。
呼んでもいないのに自らぼくの膝の上に座りに来てくれたももりちゃん、ありがと〜!
次にお会いできる日を楽しみにしています。
引き続き応援してるぞ〜!オレだって正義の味方だ!

   
 
  一応、過去最多本数賞 受賞!
   
 
  ももりちゃん、おじさんと遊んでくれてありがとう!
   
   
   
   
  ●<ちよだ・けんいち> パワープレイス株式会社
   
 
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