特集  日南市子育て支援センター 『ことこと』 オープン!
  飫肥杉の輪

文 / 谷啓一郎

   
 
   
 
  堀川の弁甲筏
   
 

30数年前、油津では、飫肥杉は、より身近な存在であった。
自宅近くの土場には、10m程の飫肥杉が山のように積まれていたし、堀川には弁甲筏(べんこういかだ)がかなりの頻度で組まれていた。
材木屋三代目の息子という特異な環境ではあるが、それを差し引いてもあちこちで見られた光景であった。
当時、小学生だった私は、土場では飫肥杉に隠れて、かくれんぼをしたり、弁甲筏に乗って遊んでいた。弁甲筏は、子供の体重で乗るといい感じで水に沈むのだ。それが面白くて遊んでいた。
見つかると、こっぴどく怒られたものだが懲りずに遊んでいた。
それ以降は、船の材料としての需要が減ったため、そのような光景は少しずつ減っていき、今では見られない風景になってしまった。
この頃から、子供たち(大人も含めてだが)が飫肥杉に触れる機会が激減したと思う。

今は、日南市の小学校では4年生が社会科の授業で飫肥杉について学習する。
そのお手伝いとして10数年前から木工教室と飫肥杉についての授業をほとんどの学校で行っているが、始めた当時と今とでは明らかに、子供たちの飫肥杉の製品に見たことがある、触れたことがあるという経験が 確実に増えていることが分かる。
今回の飫肥杉のおもちゃは、もう少し小さい子供たちから飫肥杉に触れる機会が増えると思う。
僕自身、非常にわくわくしている。
今回も黒潮支援学校で、オビッタ積み木を入れる箱を生徒たちと一緒に製作した。
生徒たちが趣旨を理解してくれて、一生懸命製作してくれた。
子供たちと係わって、1つの目標に向けて進んでいくのは非常に楽しい。
今後もこういう輪が、少しずつでも広がるように頑張っていきたいと思う。

   
 
 
  谷材木店での製作風景
   
   
   
   
  ●<たに・けいいちろう> 有限会社谷材木店
   
 
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