スギダラ広場
  樹齢80年以上の銘木「金山杉」を採用した
最高品質の麹室でこだわりの日本酒造りを続ける水戸部酒造

文 / 赤塚誠二

   
 
 
 
   
 

山形県の北東部にある金山町には国内最大級の美林があります。
中でも大美輪地区で江戸時代から守り続けられている大杉は樹齢300年近くもあると言われ、高さが国内最高の60メートルにもなる圧巻の杉林です。

また通常は植林後40〜50年ほどで伐採されるものが多い中、「金山杉」は、樹齢80年を超える大径木になってから伐採しています。冬が長く、雪深い地域でゆっくりと成長するため、他の地域の杉と比べて年輪が細かく均一で強度があり、建築用材として美しくとても優れているのが特徴です。
杉林は植林された年代ごとに管理されており、現代から大正・明治・江戸時代まで、人の一生をはるかに超えた時間軸で脈々と大切に守り続けられています。

この杉材を酒蔵の麹室に採用しているのが、高品質な将棋の駒の産地で知られる山形県天童市にある水戸部酒造さんです。
この酒蔵の特徴は、「山寺」を源流とする硬度120度の硬質な仕込み水と、自社で自ら栽培する米で作られる味わいとキレのある、伝統的な槽(ふね)でのしぼりを採用した純米造りで、醸造アルコールは一切添加していません。
 
 
 
     
 
   
  酒造りでは「一麹、二もと、三造り」といわれ、最も重要な麹づくりの工程を行う「麹室」に地元産の「金山杉」を日本の伝統的な大工技術と共に採用しているのです。
木材は元々呼吸しながら適度な湿度をコントロールしてくれるため、麹菌が最適な環境で「良い仕事」をしてくれるとのこと。
「蔵人も麹も良い仕事をするには、良い環境が大切だと私共は考えます」との言葉どおり、高品質な木材は繊細な温湿度の管理にも適していると言えるでしょう。
また、多くの方が好む杉独特の香りですが、意図せず「樽酒」のような風合いになるのを防ぐために杉材の香りを徹底して抜く工夫をしています。

2015年に全面改装した「仕込蔵」は「日本の建築技術と酒造りの文化を後世に」との想いで、今の時代に合った機能性を追求をしつつ、日本の伝統を受け継いだ漆喰(しっくい)を使用した、美しさと高い生産性、そして何よりも雑菌を寄せ付けない衛生面に優れた建物になっています。

「酒造りの文化のみならず、日本人が大切にしてきた美しい建築技術も同じように後世に伝えることが、我々蔵元の務めと感じております」とのメッセージどおり、じっくりと時間をかけて作られる日本酒と伝統の銘木とのコラボレーションは、国内のみならず是非多くの国の方々にも見ていただきたいです。

酒蔵主からのメッセージ
金山杉の麹室は本当に素晴らしいです!リラックスしながら、気持ちよく集中できます。
   
 

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