特集  第一回ほしなカレッジ
  突撃☆きくえの晩御飯

文/写真 伊藤喜久恵

   
 
 
  気になる!何かありそう。で動く事ができる伊藤です。 いつでもイエスと言って行動すると面白い事や、痛い目に合う。 今回長野ツアーで知り合った青山さん夫妻の息子さん、 雄飛くんと彼女ハッチの家に訪問させて頂きました。
   
 
  青山雄飛くんとハッチ
   
 

水、電気、ガスのライフラインを全て自給し、食べ物も自給自足しているという、素敵なエコライフを送っている2人です。

半月ぶりですが、ちゃんと話すのは今回が初めて。
なのにも関わらず私を家に泊めてくれるという寛大な2人です。
しかも三日前に連絡するという。

「いやー良かったよ!一ヶ月前に言われると逆に困るんだ。僕たちは天候で予定を決めてるから。」

天候で予定を決めてる??

「ここだよ!」

   
 
   
 

そう言って案内してもらったのは、2人が作っている畑。
「靴は、、脱いでいった方がいいかな!裸足の方がいいよ!」

???
数分後に私はその言葉を身を持って理解しました。

   
 
   
 

泥だらけ。楽しすぎる笑
この畑、普通じゃない。雑草だらけなのです。

「ここはホウレンソウ、こっちはニンジン、トマト、スイカ、ジャガイモ、カラスノエンドウ・・」

   
 
   
 

よく見るとそこにはちゃんと野菜が植わっており、元気に育ってるじゃないですか。
最初は耕す事を知らずにやってるのかな?
と思ったのですが、
この2人がやってる事はとても深かった。

自然農
土を耕す事無く、虫除けの農薬を使わず、雑草を抜くこと無く、自然の場所を借りて野菜を栽培する方法。

彼らは言いました。
「人工的に効率よく量産するのは自分達がやりたい事とは違うと思ったんだ。
必要以上に量産したり、人間の都合で自然に流れている時間を短縮すると必ず無理が生じる。それは未来にも影響する。
ここに小屋を建てようと思ったんだ。でも辞めた。僕たちもいついなくなるか分からないからね、自分達がいなくなった時、それがどうなるか考えた。
人間一人分の生活をするのにそんなにモノはいらないんだ。
最後は愛しか残らない。
モノはいらないんだよ。」

私はドキっとしました。
散々モノを作り、建造物をおっ建ててきた私は何だか注意された様に感じた。

もちろん歴史的建造物の価値やモノづくりを否定したわけじゃ無い。
世の中の違和感に対して言った事だと思う。

   
 
   
 

その日は夕食もご馳走になりました。
ご飯を食べてる時も彼らは良い言葉しか使いません。しかもずっと笑顔です。

   
 
   
 

彼らの生活はとても面白く、一枚のソーラーパネルで電力を自給し、水道は使わず山で汲んだ水を使い、釜戸で調理をするためガスも使わない。

料理で使った水はトイレに使い、自然から得た資源を無駄にはしなかった。

   
 
 
     
 

青山雄飛くんは言いました。
「自然と共にっていうけど、そうじゃ無いんだ。
そもそも昔はそれが当たり前で、自然と人間が一緒なのが当たり前。
もったい無いっていう事も当たり前なんだよ。
ファッションで使っちゃいけない。
ただ当たり前のことをしているだけ。」

ハッチが入れてくれたお茶を飲みながら私は聞き入りました。

不思議な人です。まだ27歳なのに。
私は彼の背景が気になりました。

彼は2年間インドネシア、アジア、ヨーロッパなど47ケ国、世界を見て旅をし、人種の違い、文化の違いなど様々なものを見て周り、帰国後その影響から今の自給自足生活を始めたという。
今は自宅を夢のたねと言う名前を付け、上映会、山のガイド、子供達の夏の合宿などの活動を行っているそうです。

ヒグラシが鳴り響く中、私達はお互いが見てきた世界の話をして、ギターを弾き、照明だけが部屋を明るく照らす頃、いつの間にか何でも話せる友人になりました。

「お金やモノがある時は保持する事に縛られてた。
時間もそうだよね。時間や予定には縛られたくない。
便利さは豊さを奪ってるように感じるんだ。
本当に心地良い、ちょうど良い暮らしが良い。人間らしい思いやりのある。
それが豊な暮らしだから。」

彼らの言葉は凄かった。
地に足をつけて歩いて来た言葉だった。
彼らは夏の合宿が終わり、畑仕事が落ちつく11月にはインドに旅立ってしまうという。

次の日は雨だったので、畑には行かず、三人で玄米の仕分けをしました。
本当に天候によって予定は決まった。

今飛び交っているサスティナブルの主語はなんだろう。

二人からは多くのものを学びました。
もちろんみんなが出来ることではないけど、
循環型の豊かな暮らしって?
いろんな事を一つの出会いから考えさせられました。

最後まで読んでくださった方、本当に感謝いたします。また、未熟な文をお許しください。
語り部としての機会を下さった先輩方にも心から感謝します。

私はまた、野良猫のように旅に出るとします。

   
   
   
   
  ●<いとう・きくえ>日本全国スギダラケ倶楽部
   
 
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