連載

 
『東京の杉を考える』/第3話
文/  萩原 修
あの9坪ハウスの住人がスギダラ東京支部長に。東京から発する杉ものがたり。半年の連載スタートです。
 
 


杉と中央線

 
オレンジ電車 イラスト:石田紀佳

東京は東西に長い。そのまん中あたりをJRの中央線が東西に走る。ぼくの住んでいるところは、東京駅から高尾駅まで24駅ある中央線のちょうど中間あたりの武蔵境。そして、生まれてから32歳ぐらいまでは、国立に住んでいた。なので、東京育ちというのはちょっと気がひける。予備校の1年間は目白に通っていたけど、小学校、中学校、高校、大学は、家から30分で通えるところだった。

大学卒業後は、中央線で国立から市ヶ谷の会社まで通い、その後、転職して新宿の職場へ。住まいは、国立から高円寺そして今の三鷹へ移った。これまでの人生、中央線で東西に行ったり来たりしているようなもの。そんな中で感じるのは、東と西の違い。東は都心で、働く場所。中央は郊外で、住む場所。西は自然で、山の中。という図式。同じ東京でも、ずいぶん違う環境だ。

そんな東京を中央線で行ったり来たりしているうちに、新しい動きができないかなあと考えはじめた。構想したのが「中央線デザイン倶楽部」。中央線24駅の各駅に拠点をつくって、建築家やデザイナー、編集者などをつなげようという試み。はじめて3年ぐらいの活動で、ようやく昨年11月に国立に拠点ができた。これから少しずつ拠点と仲間を増やしていく予定だ。

なんでこんなことを書いているかと言うと、「スギダラトーキョー」と、この「中央線デザイン倶楽部」がなんとなく結びつきそうな気がしているからだ。東の都心と西の杉が中央線でつながらないかと考えている。まん中の郊外も含めて、西と東の関係がもう少し違うものになると、楽しいことが起きるのじゃあないかと。東ばかりに人が集まらないで、西や中央にももう少し人が集まると新しい動きが起きるかもしれない。

というわけで、「スギダラトーキョー」は、とりあえず中央線を行ったり来たりしながら、何か事を起こしていければいいと考えている。西の杉を利用して、家とか家具とか日用品をつくり、中央線を使って、東に運ぶ。そんなイメージを思い浮かべている。もちろん、それはイメージの話なので、実際にはそんな単純なことではないと思う。それでも、中央線で東と西をつなげるイメージは使えるだろう。

この連載もあっという間に3回目。そろそろ、具体的に「スギダラトーキョー」の活動をはじめたいと思う。とりあえず、6月には、第1回の「スギダラトーキョー」のミーティングをやりたいなあ。場所は国立本店。どんなことができるかわからないけど、いろいろ話をするうちに、具体的なことがはじまりそうな予感がしている。いつまでも考えるだけじゃなくて、そろそろ動きだそうと思う。

スミレアオイハウス住人  萩原 修

 

 
<はぎわら・しゅう> デザインディレクター
1961年東京生まれ。9坪ハウス/スミレアオイハウス住人。つくし文具店店主。
中央線デザイン倶楽部。カンケイデザイン研究所。リビングデザインセンターOZONE を経て 2004年独立。生活のデザインに関連した書籍、展覧会、商品、店舗などの 企画、プロデュースを手がける。日本全国スギダラケ倶楽部 東京支部長。  
 
 

   
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