特集 ようびの日用品店&裸笑庵 OPEN!!
  妹弟子の成長
文•写真/渡辺陽子
   
 
 

七月初旬見慣れた景色が目の前で変わり始めた。
三年半通い慣れた工房が若い力で生まれ変わっていく。

新しいショールームのオープンを任せられた上村。
昨年別のプロジェクトで一緒に活動した岡山県立大学の学生さんと
一丸となって取り組みが始まりました。

上村は私の次に入ってきた妹弟子。
高校3年の冬制服姿で見学にきて、職人になりたいと、熱い想いをぶつけてきた子です。
あれから二年半、一生懸命製作に励んでいる彼女。
制作現場にとっても、私の次に頼りにされる人に育ってきてくれました

   
 
  見学に来たその日の上村。不安そう。
   
 
  初日の上村
   
 

そんな人が制作からいなくなる!
どうする制作!!どうする渡辺!!!

まだまだ成長途中の上村。
彼女に足りてないものは何だろう。
やさしい性格の彼女。
お願いはできてもなかなか指示が飛ばせない。

だからこそ。リーダーになって的確な指示が出せる、
私がいない時に、目を光らせることができるようになる。
私にとっても任せられる人ができるのは、嬉しいし、ありがたいこと。

ということで、制作現場は任せなさい!!と言って応援しました。

しかーーし!しかしです。
同じ時期の裸笑庵プロジェクト進行のため、田中がほとんど制作に入れない状況となりました。
いつも5人の工房から、2人がいない状態・・・。
二倍の制作量を抱え、途方にくれましたが、
私自身も工房を預かる身!下の子が成長してるのに私も弱音など吐いてられない!!
皆が帰ってくるまでしっかり工房を守っていこう。
私自身も挑戦が始まりました。

いざ、ショールームのプロジェクトが始まると、
隣でかわいい女子大生がドリルやハンマーを慣れないながらに扱い、
みるみる壁が破壊されていき、形が出来上がっていく。

上村も、大学生の皆も、もちろん初めて携わる建築の現場。
スムーズになど進むわけは無く、必死になりながら現場を取り仕切っていました。

思えば、「ようび」初めての大きな山場、「季譜の里」さまのプロジェクトで、
上村は入社三ヶ月にして、小物すべての制作を受け持ちました。
当時は、大島夫妻と私と、上村の4人だけ。
全員から、「こんなのじゃお客様を喜ばせられん!!」
と、怒られながら、顔面蒼白になって、必死でやっていたのを思い出しました。
納期は目前なのに、一から作り直させたものもありました。
トイレから嗚咽をあげて泣く声が聞こえてきたのも、一度や二度ではありません。

そこから思えば、今回の現場では、笑顔を絶やさなかったのが印象的でした。
一緒にやっている学生もそれにつられて、落ち着いて、楽しく真剣。
追い込み作業のきつい中でも笑顔が自然とこぼれていました。
笑顔ながらに、必死さも伝わる。
これは上村の持つ性格がいい影響をもたらしているのだろうと、感心しました。

他にも上村の頑張りを見ていて、近所の土建屋の方が重機を持ち出して
手を貸してくれたり、若い子達がたくさんいるならと野菜を持ってきていただいたり、
彼女の笑顔で周りの応援団も増えていきました。
それは、同時に「ようび」の応援団にもなってくださって、本当に嬉しかったです。

私はといいますと、二人抜けた穴を埋めるのに、ガテン系でやっておりました。
木工大好き人間の私。作るのは苦にはならないのですが、
二倍の生産量は、超絶ヘビーパンチ。
部下達の成長が見えた瞬間でもあります。
何時なんどき、どんなことが待ち受けているか分からないようび、
急な差込仕事も、全て自分で受ける、皆を支える、と決めて踏ん張った数ヶ月は、
骨太工房長への道をぐっと進めてくれたように思います。

たくさんの方の応援が合って出来上がったショールーム。
オープンイベントには、多くの方々に来ていただいてとても幸せでした。

   
 
  オープニングイベントでの上村
   
 
  頑張った上村
   
 

この夏、上村以外にも
山口は、他のメンバーに代わって制作を伸ばす。
田中は、裸笑庵という古民家改修で現場監督をやりこなす。

それぞれに課題があって、
皆、頑張った先にお客様の笑顔があるからと突き進んできました。
この夏掴み取ったもので、自信がついたもの、まだまだ足りないもの
たくさんあるなか、皆さんによろこんでいただけるように、頑張っていきたいと思います。

個性の強い一人ひとりが力強いチームであること、
それが「ようび」の目標であり、最大の強みだと思います。
これからも、どうぞ、よろしく御願いいたします。

   
   
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  ●<わたなべ・ようこ> 木工房ようび 職人頭
   
 
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